心が麻痺する時代の中で
胎内の子どもに異常がみられた場合、親はどうするだろうか。遺伝子検査を行って、異常があることがわかった妊婦の97%が堕胎をしたというニュースを最近聞いた。2年ほど前からだったと思うが、血液検査で異常があるかないかが、わかるようになった。こうした事態は予想されたことであったが、実状を知らされて、人間のなかにある生命倫理感にめまいをもよおした。
しかし、私も自分の子どもや嫁が同じような状況に至ったとき、はっきりとものを言えるだろうか。この一年に起こった殺人事件に、「誰でもいいから、人を殺してみたかった」というのがある。いずれも加害者は未成年だった。これまた、いったい日本の教育や文化はどうなってしまっているのだろうかと、末恐ろしくなった。
テロリストたちが、人を誘拐して、意が適わぬと平気で殺害する。それをネット上で流し、誰もがそれを見ることができる。恐ろしい時代になったものだ。人の命が、いとも簡単に抹殺される世の中である。残酷なシーンもいくらでも見ることができる。人々の心は麻痺する。
テロリストたちに誘拐されているジャーナリストのGさんは、キリスト者である。内戦で犠牲になっている現地の人々に寄り添って、真摯で良心的な報道を行ってきたという。今日の日没がリミットということで、日本中の誰もが心配し、心が折れそうになっている。生還されることをただただ祈るのみ。人が生きることをどの宗教も教えてきたではないか。
平良師