晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

日置のこと(38) 日置部とは-2 10/11

2013-10-11 | 上林地名考

2013.10.11(木)曇り、雨

 古代地名語源辞典(楠原佑介ほか編著)でも日置は品部である日置部に由来する地名としている。この辞典は自然地名説に基づいており、古代地名のほとんどが自然地名特に地形由来としている。しかもその多くが崩壊地形であり、日本中が崖となっている。
 その辞典でさえ「日置部に由来する」といわざるを得ないのだから、日置部に由来する確率は高いだろう。ただ、「ただし、ヘキ、ヒキの地名の中には自然地名に由来するものもあるか」と書いているが、その例、根拠は示されていない。
 日置の自然地名由来説について、「日の当たる南向きの土地」というのをどこかで見つけたことがある。上林の日置谷、宮津の日置など確かに南向きで日当たりは良く、宮津の日置などはリゾート地になっているのだが、日置のすべてがそのような地形ではなく、北向きの地であるケースもあり、納得のいかないものである。
 日置部の職掌についての三つの説についてそれらの原文を見たわけではないのだが、一応①②については妥当な説だと考えている。
 ①と②は地方と中央という地域的な相違、あるいは律令制以前と以後という時間的な相違であると思っている。
 日置氏が宮廷内で浄火の管理に携わったというのはなにがしかの文書に出てくるのだろうがおそらく史実なのだろうが、地方に散らばった日置にとっては無関係なことであって、彼らの職掌はあくまで暦法、卜占のための観測、測量なのだろう。
 問題は③の戸数を調べて租の徴収と関係するという説である。
両氏の原文を読んだことはないのだが、いくつかの書物で見る限り、伴信友は「日置の古訓はヘキであり、へは戸を表す、従って日置は戸数を調べ置く品部」と言っているようだ。同様に大田亮は伴信友の説を肯定し、「戸数を調査するのは税(租)を徴収するためのもの」と言っているのではないだろうか。
 水谷慶一氏は当初この説に否定的であったのだが、「太陽の道」を測量したのが日置氏であるとすればこの説は妥当であると述べている。
つまり大和から伊勢に至る直線「太陽の道」を作った目的は、と考えた場合に、租税を徴収することというのがもっとも妥当だと考えたからである。氏は日置氏の観測、測量に秀吉の太閤検地をイメージさせている。土地を測量し、戸数を調べることは徴税の基本である。歴代の支配者は常に検地を行ってきた。
 地図を作るということの最初の目的は人民の支配、即ち徴税であると思う。もちろん戦略上の必要性という事もあろうが、戦って領土を広げてもその地の人民を氏はしなければ何の意味も無いことである。
 秀吉が天下を統一してまず太閤検地を行ったように、大和の国家が成立するとすぐに測量、調査は始まったのではないだろうか。その任に日置氏があたり、日置部が実際の業務を行ったのかも知れない。
 しかし各地にある日置がその役所の役目をしていたという説には頷けない。つづく
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この山深い村に、古代の役所があったとは思えない。

【作業日誌 10/11】
薪割り

【今日のじょん】                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                寝ている間に雨が降っているようだったが、起きるとすっかり晴れている。これは前線の間の疑似好天というやつで、やがて雨風になるでと予想したら的中した。便利な機器ができて観天望気の必要がなくなってきている。
不便益天気予報てえのはいかがでしょう。
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朝の散歩時は晴れていたのだが、次は雨となった。
好天の空にもレンズ雲あり、荒天の兆し。

 

コメント
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