晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

上林の盃状穴(23) 番外編 6/7

2013-06-09 | 歴史・民俗

2013.6.7(金)晴れ 

考察(1) 
 京都帝釈天の盃状穴についてこの時点での考察をしておきたい。もちろん今後も調査や聞き取りをして確かめたい事柄は数多くあり、その結果によって考察した事柄も変化するわけだが、その変化こそが歴史や民俗を探究する醍醐味であると思っている。従って歴史や民俗学に結論や結果はあり得ないものである。重要なのは、限りなく結論に至る、その道程なのである。

1.参道入り口、石灯籠の地輪に見られる穴は盃状穴だろうか。
 二義的盃状穴と思われるのだが、即断できない情況である。
 最大のものは屋敷側で直径約8cm、その付近には盃状穴らしき形状のものがいくつかあるが、道路側に至ってはかなり掘りが浅く不鮮明なものが多い。従って正確な個数を把握するのが難しいが、一応19個が数えられる。
 石灯籠の材質は確かなことは言えないが、砂岩のように思われる。石段などによく見られる凝灰岩質のものよりは硬いようだ。
 一般に言われるように雨だれの痕という説には疑問を感じる。笠の部分が地輪よりも大きく、雨だれは地輪よりも外に落ちると考えられるからだ。
P1040504

笠の縁から水滴が落ちれば地輪の上には垂れることはない。


 ただ笠と地輪が現在と別のものであって、傷んだために取り替えられたということがあれば話は別である。目視する限り、石灯籠の各パーツは同様の石材で作られており、経年の様子も同様で途中で取り替えられた様子は無い。
 しかし石灯籠の写真を何度も見ている内に、雨だれが笠の縁から垂れるとは限らないのではという考えも出てきた。家の屋根などは雨水が壁面の方に入ってこないように何かと工夫してある。ところが石灯籠ではそんな気遣いは不要で、何の細工もなさそうだ。つまり笠の縁から水平に石が切ってあるだけだ。これだと雨水は笠の縁から直接落下するよりも少し内側から落ちるのではないだろうか。だとすると、この地輪の穴は言われているように雨だれの痕かもしれない。
河牟奈備神社の鳥居台石の見事な穴が、実は雨だれ痕であったことが思い出される。(2013.1.27参照)
 石灯籠の管理者西村さんが笠と地輪の大きさの相違を納得してくれなかったらその場で水をかけて実験してみようと思っていた。いずれにしても次回実際に水をかけて実験してみたい、そうしないと先に進まないからだ。

 つぎに穴の大きさがまちまちであることについて考えてみたい。
 当初まちまちであるから盃状穴だという風に考えていた。雨だれ痕なら均一の形状になると考えたからだ。ところが石灯籠の上に民家や小屋の屋根の庇があったらどうだろう。現実に今では西村家の屋根が上部にある。樋があるのでほとんど雨はかからない状態になっているが、過去には屋根は麦わら屋根か板屋根で樋は無いだろう。そしてその屋根の庇から落ちる水が、石灯籠の真ん中ではなくて、参道に向かって左側に落ちていたとすると、左側に落ちるあまだれは断然多いものとなり、大きな穴を穿つ結果となるだろう。P1040574

参道に向かって左側は大きな径の穴となっている。

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参道に向かって右側は小さく浅く不鮮明なものが多い。

 雨だれが石に穴を開ける年数というのはどのようなものだろう。数十年で開くのか、数百年かかるのか、これは調べようが無い。
 案外短い期間で開くのではないかと思っている。例えば河牟奈備神社の鳥居の穴を考えてみよう。神社は古いものだが創建時から鳥居があったとは思えない。鳥居自体は人工のものだから、移転や取り替えがあっただろうし、極小さな一点に水滴を落とすことが出来る年数はそう長くはないと思うのである。つづく

【晴徨雨読】225日目(2007.5.9)大歩危~美馬
西祖谷山村鉾神社にある鋳掛屋から取り返した銅鐸、吉野川の甌穴、池田町の庚申塔、三加茂町木地屋文書など妙なものばかり見てきた。すべて本文に写真掲載しているので省略するが、掲載していない面白い写真を紹介しよう。
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池田町庚申塔の付近
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三加茂町歴史資料館の外に無造作に置かれていた磐座。
館内説明では弥生時代祭祀跡と言われている。矢筈岳、桟敷峠というのも気になる。



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三加茂町歴史資料館にあった羽口の資料、南面の山には銅山があり、引地地名がある。




【作業日誌 6/7】ドッグランど、柵作り

【今日のじょん】健康診断のため早起きして散歩に行くと、空気が違うが、景色も違う。じょんが気にしているのは子供たちの登校だ。毎朝7時にスタートしているようだ。こちとらまだ寝てるぞ。上林小学校の徒歩通学としては一番遠い地区である。P1040586




※6月8,9、10日は繁忙のため記事の掲載をお休みします。

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