晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 秋山記行(続) 6/18

2013-06-18 | 雨読

2013.6.18(火)曇り 「雨読 秋山記行」は2013.6.3

 牧之が秋山郷を訪ねた際(文政11年、1828年)椀のことを御器という言葉は無かったものと思っていたら、茶碗を石五器というところがあるという一文に驚く。
 秋山郷で一般的には使われていなかったのだろうが、一部の集落で椀のことを御器、五器といい、茶碗のことを石五器と呼んでいたのだろう。「秋山物語」の御器に関する聞き取りは上ノ原の山田某となっている。
 わたしは御器という言葉は木地屋が持ち込んだ言葉ではないかと思っているのだが、「秋山物語」に出てくるクリ師は上結東に居住していたとあり、木地屋と御器の関係は今ひとつ定かでない。
 文中に幾度か白木の盆というのが出てくる。かんな役という雑租の一種にあり、数枚を物納している。椹(さわら)の木で出来ていて、轆轤で細工したものかと想像したが、どうやら手斧(ちょうな)で削りだしているようで、木地屋とは無縁のもののようだ。
 牧之のすさまじい好奇心と観察力で、ありとあらゆる物や習慣、言葉や景色が表現されており、現代の民俗学的書物を何冊読むよりもこの一冊で一目瞭然と言ったところである。それはその時代に現実に見聞きしたことを書いているのであるから当然であり、あたかも自分自身がその時代に秋山を旅しているような錯覚にさえ陥る。
P1040580



見出紙をつけて項目を書いておけば民俗辞典となる。

気になる一つ一つの事象を見出紙を貼り付けてメモ代わりにしているのだが、ありがたいことに文中に一覧にされている。例えば、

 
外より来たる人を改めて上の言葉は、貴丈様と申す。
 寺院方を影にて其名を唱ふに、皆殿附けなり。
 目下たのものを呼ぶには、にしと云。
 子供の隠れんぼを、かくねっこうと申。

などという索引のような個所が三個所ほどあってさながら民俗辞典の様相である。
蝦夷や奥羽を巡った「菅江真澄遊覧記」同様、江戸時代の地方の様子を探る最適の書物である。

【今日のじょん】明日6月19日はじょんの来じょん記念日である。5周年を期してしまだ屋さんで一杯飲もうということになったが、生憎明日は定休日なので今夜行くことにした。おいしい生ビールと冷酒で食事をいただいたが、当の本人、いや本犬は家で留守番をしておった。ワン。P1040627



朝の散歩時からしまだ屋さんの方を見て、行きたそうにしていた。そんなわけないか。 

コメント
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