晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

上林の盃状穴(10) 穿穴実験 2/7 

2013-02-07 | 歴史・民俗

2013.2.7(木)曇

 盃状穴を知ったきっかけのテレビ番組では自作の盃状穴も紹介されていた。ところが論文を書いておられる研究者の方々の記述の中にはそういったものが見られない。実験をするための準備が大変なわけでなく、石を石でこすりつけるだけだから是非やって報告して欲しいと思う。そうすれば穿穴法に関する記述も少し変わったかも知れない。
 わたしの実験では、盃状穴を作るのはそう容易いことではないということがわかった。
 まず使用した被穿石は砂岩である。凝灰岩などの柔らかい素材でやりたかったのだが、手元になかったので次に柔らかそうな砂岩を利用した。
 なるべく硬そうで尖った石を探してきて掘り始めるが、これがなかなか大変である。ある程度穴があくとそこを中心にてこの作用も手伝ってぐるぐると廻転しながら出来そうだが、その穴があかない。
 穴というより最初の疵がつかないのだ。いろいろ効率的な方法を探ってみるが、やはり最初は十字に筋を着けてその中心に向けて筋を作って行くというのが効率的な方法と思われる。ところがすり減るのは手元の石ばかりで、被穿体の砂岩には一向に穴があかない。
 一日10分ぐらいか5日間ばかし掘り続けたのだが、あいた穴は2,3mmってところか、石の方も色々取り替えてみる。
 何という石か解らないが、黒くて硬そうで叩くと金属音のするものがある。細長いものが多く穿穴には最適と思われたのだが、意外と弱く粉になるのはこちらの方が多い。強かったのはへんれい岩でこれも意外だった。P1030815
 



あけ始めは先の尖ったものがいいようだ。

 そして6日目、一向に掘り進めないので何か他に良い方法はないものかと、石で叩いてみる。擦って筋を着けるよりも効率的だと思い、数回叩き続けるといとも簡単に砂岩は割れてしまった。
 というわけで実験はここでお終い、あっけなくも情けない結果である。問題は被穿穴材の材質と薄さである。一般的に穿たれている石材はそれなりの厚さがあり、割れたところもきれいに割れているので従前から割れ目が発生していたのかも知れない。次回はもう少し大きな石で、凝灰岩系の石を探して実験してみたい。P1030814
 



割れたことより、ここまでに少ししか穿たれていないことを見て欲しい。左は角礫凝灰岩、もう少し大きいので実験してみたい。

これだけの結果だが、重要なことが解った。子供の悪戯や生半可なおまじない程度では盃状穴は穿たれないということである。
 神社などの証言で、子供がいたずらにあけたのだろうとか、中には童歌の中にそれらしきものが歌われているから子供の悪戯だろうという説もある。
 確かに子供が盃状穴に草を入れて草搗き遊びをしているのはあったようだし、元々あった盃状穴を石で大きくする程度のことはあっただろう。
 また個人的な祈願のための穿穴であっても、相当な想いのある行為だろうと思う。単に現代人が初詣の際に祈る家内安全や学業成就などという祈りではこの行為は出来ないだろう。それは根気と労力のいる仕事だからである。それだからこそ呪詛とみなされることがあるのだろう。

【作業日誌 2/7】
ウッドデッキ階段作り

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