東の散歩道

B型ヴァイオリニストのマイペースライフ

カルチベート

2017年09月13日 20時45分29秒 | 雑記
久々に太宰治など読書中。表題作の前に、「正義と微笑」という同時収録作品を読んでいるのですが、書かれている内容は悩める若者像という如何にも太宰な感じ。ですが、思いの外筆致が明るいのです。主人公の性格が、どこかカラッとしているところが大きいのかもしれません。

この中で気になった言葉が「カルチベート」。主人公の尊敬する教師が学校を辞める時、生徒たちに言ったセリフの中にあるのです。即ち
「(勉強は)覚えるということが大事なのではなくて、大事なのはカルチベートされるということなんだ。カルチュアというのは、公式や単語をたくさん暗記することではなくて、心を広く持つという事なんだ。」
「勉強しなければいかん。そうして、その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!」
良いことを言いますねぇ。そう、学問は実用とは違うのです。
実はこの言葉が目にとまったのにはわけがあり、留学中、モーツァルトの協奏曲の二楽章を勉強していた時、師匠に「もっとカルチベートされた音を出して!」(勿論こんなカタカナ発音ではありません、念のため)と言われた思い出があるのです。
軽く、重く、甘く、歌うように等々、楽語記号にも様々な形容がありますが、カルチベートされた音と言われたのは初めて。戸惑ってしまい、カルチベートには程遠い音しか出せなかったのですが、モーツァルトの緩徐楽章に必要なものを、これほど完璧に言い表している言葉もないかもしれません。

また楽譜を開きたくなりました。何事も一生勉強、ですね。
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