春眠暁を覚えずと言いますが、(旅が多い)移動の秋もよく眠ります。いえ、正確に言えば一年中いつでもよく眠ります。ただ年と共に、やや眠りが浅くなった感はありますが。
何が言いたいかと申しますと、移動中の読書がやや停滞気味で、今読んでいるのは大変面白いのですがスラスラ読めるものではないので、未だ読後感を書けずにおります。
というわけで、最近知った漫画の話をします。そのタイトルは「チ。」というもの。ラジオでその存在を知ったのですが、タイトルを「ち」としか言わないので、何を言っているのかと訝しんでしまいました。お話はかつて天動説が信じられ、地動説は異端として弾圧されていた頃のお話。間違っているのは天動説で、地動説の方が正しいのではないかと感じ始めた人々が、その仮説を明らかにする意思と研究を継承していく物語です。
絵は私の好みとは違うのですが、もう骨太のストーリーが素晴らしい。第一章というべき最初の主人公は12歳の少年で、彼は天才的に頭がよく、処世術にも長けているため、順風満帆の人生が約束されていたも同然でした。が、異端として弾圧を受けながらも地動説を研究する男との出会いで人生が一変。最終的に地動説を信じることを裁判で宣言したため、拷問が開始される前夜毒を飲んで自死します。死の直前、冷酷な異端審問官と会話する時間があるのですが、その中の少年のセリフが本当に感動的で、これだけでも読む価値があります。タイトルの「チ。」は、地動説の「地」、流された多くの「血」、それでも真理への探究心の源となった「知」をかけているものかと思いますが、他にも意味があるのかもしれません。
この漫画は完結しているようなので、いつもなら大人買いをしてしまうところなのですが、実はアニメ化されて絶賛NHKで放映中なのです。そしてこのアニメの完成度がとても高いので、こちらを優先してみようかと悩み中。こうして秋の夜が更けていくのでした。。。