常念が見える部屋から

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でんぶ(田麩)

2010年10月19日 | 季節の便り


地区の老若男女が集まって、公民館で運動会の慰労会が盛大に開催された。

取り寄せた料理の中に、美しく彩色された具が詰まった海苔巻が入っていた。

目を引くピンクの食材は「デンブ」だった。

聞くと若い人はデンブを知らないという。

運動会の楽しみはデンブが入った海苔巻き弁当だった。

デンブは細かにほぐした白魚肉に、たっぷり砂糖を入れて、薄紅色を付けた気持ちが浮き立つような食材である。

寿司飯の上に甘辛煮の干瓢を延し、桜デンブを多めに散らして手際よく巻きあげる。

切りそろえて、切り口が少し見える様に重箱に詰めると仄かに海苔の匂いが漂う。

子供たちは固唾をのんで呑んで見守った。

両端から出た小さな切れ端は、見守る観客の口に入った。

デンブの甘さが体中を駆け巡って、何とも幸せな気分だった。

 


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