太陽をさえぎる林
お客は居なかった、狭いカウンターの内側で女将は一人お酒を飲んでいた。
「前を通ったら明かりがついていたので寄ってみました、もう店は、やってないと思っていました、みんな昔のままですね」。
「何度もやめようと思ったのだけれど、古い常連さんに励まされてね、でも櫛の歯が欠けるように皆さん居なくなってしまってさ、私も87だからねえ」としみじみと言った。
私は熱燗の杯を傾けながら、遠い日のことを思い出していた。
「先代会長が亡くなって、もう13年になります、会長とよくここにお邪魔して、おでんをいただきました、モツ煮もおいしかったなあ」
ひとしきり昔話で盛り上がった店を出た。
「本当によく来てくれた うれしいよ また訪ねておくれよ」女将の目も声も潤んでいた。
お酒のせいもあるけれど、頬にあたる風が心地よく、暖かい気分で次の会場まで歩いた。
お客は居なかった、狭いカウンターの内側で女将は一人お酒を飲んでいた。
「前を通ったら明かりがついていたので寄ってみました、もう店は、やってないと思っていました、みんな昔のままですね」。
「何度もやめようと思ったのだけれど、古い常連さんに励まされてね、でも櫛の歯が欠けるように皆さん居なくなってしまってさ、私も87だからねえ」としみじみと言った。
私は熱燗の杯を傾けながら、遠い日のことを思い出していた。
「先代会長が亡くなって、もう13年になります、会長とよくここにお邪魔して、おでんをいただきました、モツ煮もおいしかったなあ」
ひとしきり昔話で盛り上がった店を出た。
「本当によく来てくれた うれしいよ また訪ねておくれよ」女将の目も声も潤んでいた。
お酒のせいもあるけれど、頬にあたる風が心地よく、暖かい気分で次の会場まで歩いた。
ほのぼのとした情景が浮かんできました。