常念が見える部屋から

ここから北アルプス常念岳が眺望できます。
季節の移ろいに写真を添えて発信します。

路地2

2009年12月21日 | 季節の便り
太陽をさえぎる林
 


お客は居なかった、狭いカウンターの内側で女将は一人お酒を飲んでいた。
「前を通ったら明かりがついていたので寄ってみました、もう店は、やってないと思っていました、みんな昔のままですね」。
「何度もやめようと思ったのだけれど、古い常連さんに励まされてね、でも櫛の歯が欠けるように皆さん居なくなってしまってさ、私も87だからねえ」としみじみと言った。
私は熱燗の杯を傾けながら、遠い日のことを思い出していた。
「先代会長が亡くなって、もう13年になります、会長とよくここにお邪魔して、おでんをいただきました、モツ煮もおいしかったなあ」
ひとしきり昔話で盛り上がった店を出た。
「本当によく来てくれた うれしいよ また訪ねておくれよ」女将の目も声も潤んでいた。
お酒のせいもあるけれど、頬にあたる風が心地よく、暖かい気分で次の会場まで歩いた。


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 路地 | トップ | 一週間ぶりの対面 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まるで (ohisama)
2009-12-21 22:38:16
映画のワンシーンのようですね。
ほのぼのとした情景が浮かんできました。
返信する

コメントを投稿

季節の便り」カテゴリの最新記事