天空の日の出
日本に向かう飛行機はこの時どのあたりを飛行していたのであろうか、一眠りから覚めたのは、日本時間の午前4時半である。
窓の遮光板を上げると真っ赤な光が機内に走った、丸窓の外まだ暗い、その暗闇のはるかかなたに赤い太陽が見えた。
不思議な光景である、太陽は昇るでもなく沈むでもなくその位置を保っていた。
暫く飛行機と並走してやがて消えた、付近の空に赤絵具を原液で巻き散らしたような色だけが残っていた。
シベリア上空だろうか、ようやく明け始めた黒い大地に、鈍く光る大河が幾重にも蛇行して流れ、その軌跡は文字のようにも見えた。
桑の実
待望の桑の実が熟れはじめた。
菓子が無い時代の子供達にはとても嬉しい季節である。
こぼれるばかりに熟れた小枝を手繰り寄せてむさぼるように口に運んだ。
指先や唇がワイン色に染まって道草が一目でばれる。
しかし 指先や唇の着色をどんなに注意しても、舌への色付きは防ぎようがなかった。
桑の実は小鳥や昆虫にとってもご馳走で、カメムシなど小さな甲虫たちは良く熟れた桑の実に頭を突っ込んで甘い汁を吸っていた。
いつかそんなカメムシ諸共口に放り込んだことがある、火のつくような辛味が口中に広がって、悲鳴を上げて吐き出した。
日本に向かう飛行機はこの時どのあたりを飛行していたのであろうか、一眠りから覚めたのは、日本時間の午前4時半である。
窓の遮光板を上げると真っ赤な光が機内に走った、丸窓の外まだ暗い、その暗闇のはるかかなたに赤い太陽が見えた。
不思議な光景である、太陽は昇るでもなく沈むでもなくその位置を保っていた。
暫く飛行機と並走してやがて消えた、付近の空に赤絵具を原液で巻き散らしたような色だけが残っていた。
シベリア上空だろうか、ようやく明け始めた黒い大地に、鈍く光る大河が幾重にも蛇行して流れ、その軌跡は文字のようにも見えた。
桑の実
待望の桑の実が熟れはじめた。
菓子が無い時代の子供達にはとても嬉しい季節である。
こぼれるばかりに熟れた小枝を手繰り寄せてむさぼるように口に運んだ。
指先や唇がワイン色に染まって道草が一目でばれる。
しかし 指先や唇の着色をどんなに注意しても、舌への色付きは防ぎようがなかった。
桑の実は小鳥や昆虫にとってもご馳走で、カメムシなど小さな甲虫たちは良く熟れた桑の実に頭を突っ込んで甘い汁を吸っていた。
いつかそんなカメムシ諸共口に放り込んだことがある、火のつくような辛味が口中に広がって、悲鳴を上げて吐き出した。
本当に幸運でしたね。
原液の赤絵の具をまき散らしたような・・・
見たかったです。