常念が見える部屋から

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季節の移ろいに写真を添えて発信します。

カルガモの親子  父からの手紙(最終)

2008年06月13日 | 季節の便り
山際の道を下って、川沿いの道に出ると周りに早苗が風にゆれる緑の水田が広がる、朝のウオーキングコースである。
今朝 足音に驚いたらしいカルガモの親子が、畔の草むらから水田に逃げ込んで様子を窺っていた。
あいにくカメラを持っていなかったので、家に帰ってから再度親子を訪問した。
あぜ道の同じ場所に母鳥がいて、雛たちはお腹の下に居るらしい。
近づくと母鳥が口を開いて威嚇した、やんちゃなひな鳥が一羽這い出してきた。
母鳥が立ち上がって水田に入ると、雛は行儀よく一列に並び親の後に続く。総勢8羽ほのぼのとした風景である。



父からの手紙(最終)
[私は十四日以来組の宿舎である官舎に組の次席の鎌田さんの部屋に泊まって毎晩組の清潔な風呂に這入ります。
食事は可野さん宅より一層質素ですが食費は月三十円位だそうです大変廉いですね。
可野さん宅に泊まっていればどうしても百円では足らないのですよ
色々書いたが実にこちらも大変忙しくて別々に便りを書いて上げられないから要二郎の方へも北のばあさんにも近所へもよろしく申し上げて置いて下さい。
私とて多少の修業は積んだ人間なんだから何年もいたら、それなりのものは得られると思う。
しかしお前さん方親子と別々に暮らすということも余りよい事ではない。一年や二年はよいが七八年か十年も一度もあわずに居たら結果は必ず悪くなるに決まっている。
たとえ金銭上で頭を悩ますことはないにしてもね]

父からの手紙はこれで終わる。
これからしばらくして、父は体調を崩し日本に引き揚げることになる。
日本国民が満洲国に王道楽土を夢見て疑いもしなかったころである。
そこはかとなく物悲しい。
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2 コメント

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満州 (ohisama)
2008-06-15 19:08:09
hi-kanaiさんが6歳の頃(私の生まれた年)お父上が満州へ行かれたのですね。1年間とはいえやはり寂しかったことでしょう。お母上もつらかったことと思います。病気で帰国されたのは不本意だったかもしれませんが、家族とまた生活できるようになってほっとされたかもしれません。
亡くなった父(大正2年生まれ)は、農家の8人兄弟の真ん中あたりでしたが、若い頃満州に行きたいと父親に言ったら、それだけはやめてくれといって、師範学校に行かせてくれたといつか話してくれました。親父の言うことを聞いて良かったとお酒を飲みながらしみじみと言っていました。いろんな人生がありますね。
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満州国の地図 (hi-kanai)
2008-06-17 21:31:35
父の満州行きはほとんど覚えていません。
どうしてこの手紙だけが残ったのか不思議に思います。
それでも手紙を読んでいると少し思い出すことがあります。
居間の壁に大きな満州国の地図が貼ってありました。父が張っていったのか、母が張ったのかわかりません。地図の「延吉」という地名を覚えています、父はその近くに住んでいたようです。
そのころ満州は青年の憧れっだたのでしょう。
コメント有り難うございました。

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