らんかみち

童話から老話まで

ドラマ『ラブレター』を観て魚を煮付けました

2009年02月25日 | 酒、食
 ドラマ『ラブレター』の第七話で里孫の美波が「みんなは、わたしと仲良くしたくない」と、殻に閉じこもるのを里爺がさとすシーンがあります。
里爺「この魚、食うてみぃ」
   里爺が美波に魚の煮付けを差し出し、戸惑いながら箸でひと口食べる美波。
里爺「うまいか?」
   うなずく美波。
里爺「ビングシいう魚やけど、そない大きいのは市場にはあんまり出えへん。食べたかったら自分で釣りに行くしかない。欲しいもんは待っとっても手に入らんのや。友だちもいっしょやで。おまえから歩み寄ったら、相手は必ず応えてくれる」

 ビングシてどんな魚やろ? 瀬戸内の魚ならたいていは知っているはずなのに聞いたことがなかったので調べたら、な~んや、タモリのことか。と分かりました。別名ムクダイ、またの名をモミダネ。タモリは田守、モミダネは籾種でしょうか。察するに田植え前後が旬の魚かもしれません。
 
 多くの名を持っているということは、それだけ愛されている魚ということ。実際ぼくも子どもの頃から今まで良く食べてますが、小骨がなくて白身の淡白な身のように思えるのに、深みのある味わいが特徴でしょうか。スーパーに行ったら三割引で売っていたので、ドラマに触発されて買いました。
 
 酒100cc、薄口醤油20cc、みりん20ccを調味料とし、生姜を薄切りにして煮付けます。味付けはこれだけです。もしかして、賊くずれの漁師もどきが作る魚料理なんて、どうせ残酷煮とかの野蛮なもんに違いない、と思われた方には猛省を促しておきます。
 たしかに海賊の末裔が漁にたずさわっている当地かもしれませんが、海賊然とした親父さんたちの魚料理は、繊細かつ手の込んだ薄味なんです。この島の料理屋で食べてもその印象はほぼ同じ。漁師の親父さんたちは、自分が釣った素材の持つ味をどれだけ引き出せるかに腐心しているんだろうと思います。
 
 このタモリというのは、鯛と同じくウロコが取りにくくて下ごしらえが厄介なうえに、生臭さも一人前。酒だけで煮るのは、生臭さをアルコールに吸収させて飛ばそうという寸法です。香水などと同じように、匂いの元はアルコールに溶けやすいからです。またアルコールの沸点は60℃なので、煮込んだら先に飛んでしまって酔っ払うことはありません。
 
 熱湯をかけて霜ふりをし、ウロコと血合いの臭みも取り、調味料を入れて魚を火にかけ、落し蓋をしたら待つこと10分。最後に山菜なども煮てみました。その結果は、調味料の味に良く反応してトロリとしたゼラチン質の皮には甘みがムギュッと染み込み、その身には旨みが閉じ込められて、みりんはいらなかったくらい深みのある味わいに仕上がりました。
 
 さてドラマですが、この第七話が小学生編のクライマックスかと思われます。里爺にさとされ、里親に付き添われてしぶしぶ登校したのは授業参観の日。そこでヒロインを待っていたのは……。
 韓国の動画サイトに、日本での放送そのままの動画が投稿されていたので、明日にでもリンクしてみます。


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