らんかみち

童話から老話まで

遠い親戚もまた佳きかな

2014年02月28日 | 暮らしの落とし穴
 曇り空の下、おばさんの葬儀に参列した。あいにくPM2.5の空模様だったけど、春本番を思わせる温かさで、1時間半の道程も苦にならない。
 正直言うと、おばさんのことは良く知らない。幼くして亡くなったいとこを病院に見舞ったときが初対面だと記憶しているけど、その後は法事などで会うくらいだったかも。母を連れ出せたら積もる話もあるだろうが、このところの下血騒ぎで厳しい。

 葬祭会館は何度か訪れている。読経のこえをどこかで聞いたことがあると思ったら菩提寺のご住職だった、なんとこともあったな。でも今日の導師は、同じ真言宗でもかなり特異な読経の僧正であることは判っている。叔父さんの告別式で、初めてその読経を聞いてびっくりした。

 読経は短調としたもんだろうけど、今日の導師の手にかかると、転調はあるし強弱も著しい。発想記号でいうと、そこをソット・ボーチェにするのか! おお、今度はエスプレッシーヴォじゃないか! ほかにも、休符はあるしフェルマータは多様する、というふうに読経に表情がある。
 
 菩提寺のご住職は、地獄の閻魔様も震え上がらせるかと思うほどの迫力で沈鬱な読経をなさるが、今日の導師は、閻魔様も踊り出さんほどの軽快さで明朗な読経をなさる。読経は宗派によっても異なるんだろうし、読経に正解はないのかもしれないけど、今日の導師は個性派といえるだろう。

 告別式を終えて拾骨を待つ間、いとこたちと故人の思い出などを語り合う。知られざる事実も明らかになったりして有用なひとときを過ごすことができた。なによりも、これからの付き合いが、途絶えてしまう寸前で繋がったのに意味がある。
 遠い親戚より近くの他人ということはあるにしても、共通の過去を持った親戚って、やっぱり素敵なもんだ。

押し売りの、今、昔

2014年02月27日 | 暮らしの落とし穴
 押し売りという言葉にノスタルジーを禁じ得ない人も多かろう。ぼくが子どもの頃に家に来たことがあって、何を売りに来たか覚えていないけど、とても怖かった記憶はある。
 押し売りは、法律の整備などによって絶滅した職種と考えているなら大間違いだ。古典的な押し売りは今も存在し、ノウハウは連綿と受け継がれて今日に至っている。のみならず、巧妙な手口を使った新手の押し売りが増殖しているばかりか、「押し買い」なる亜種まで誕生しているという。

 昨日来た押し売りは22歳の小柄で可愛い女の子だった。大阪の繁華街などを、ほろ酔い気分で歩いていると、「○○国の難民を援助しています」みたいな寄付の呼びかけを受けたもんだ。
 酔いが覚めて自分が買ったぬいぐるみとかを見たとき、酒のなせる業とはいえ、300円の品に5000円を払った我が身の愚かさを嘆かないことはなかった。

 強面の、正統派を自認する押し売りも絶滅したわけじゃない。「昨日ムショから出てきたばかりで飯が食えねぇんだ。これを買ってくれ」と、パンツのゴムを売りに来る伝統的な押し売りは現存している。一般家庭を訪れることはないかも知れないけど、お寺には頻繁に現れるらしい。

 菩提寺のご住職に、そういう押し売りの輩をどうやって退治するのか聞いたけど、「困っておられるのなら、寺の庭掃除をしてください、報酬は差し上げます」と提案するのだとか。
 それで大概の押し売りは「チッ、強欲坊主が!」とかって捨て台詞を残して立ち去るらしい。寺に慈悲を求めるならいざ知らず、寺から銭をせしめようとは身の程知らず。

 押し売りに来た可愛い女の子だけど、たぶん某キリスト教系新興宗教の信者と思う。あるときは北海道の珍味売り、あるときは健康食品売り、あるときは……。
 彼ら、質素な食事をしながら団体生活で修行をしていると、自分の考えってのをいつしか持てなくなる。
 純真な連中だからこそ教団から救い出してやりたいと思うが、門前払いをするのが精一杯だった。なんだか、後味が悪い……。

またもルーターに裏切られ

2014年02月26日 | PC WEB
               

 ルーターが怠慢かましてくれるので、今月の初めに販売店に持ち込んだらその場で新品に交換してくれた。ブロードバンド・ルーターは修理という概念のない商品なんだろうね。ワンロット作っておしまいだから、部品や設計に問題があったら全て不良品ということになる。だから「新品にしてもらっても無駄じゃないかな」と店員さんに告げはしたものの「これで様子をみてください」なんて言われたので、おとなしく従った。

 そうやって昨日まで我慢したんだけど、やっぱ同じ症状なので、ついにプッツンした。店の対応にじゃなく、メーカーに愛想を尽かしたので、別のメーカーのを同じ店で買った。安物を買っちゃダメなんだ、と自分に言い聞かせながら。
 そういうわけで「大幅値下げ」には負けんぞ、と心に決めていたはずだったが、NECの製品なら安売りされていても大丈夫だろ? 高をくくったというやつかね。

 今晩セッティングしてみて、安売りの対象になっていた理由が判った気がする。取扱説明書がショボイ。年末に買ったルーターは、機器こそボロだったけど取説は良くできていた。
 今度のに付属していた取説を読んで、初心者がちゃんとセッティングできるんだろうか。スマホを接続するときにも余計な手順が必要な気がして、これは「安売り品だから文句を言うな」てな意味か? みたいな勘ぐりをしたくなる。

 機器の動作は問題ないとしても、「安物買いの銭失い」という教訓は、ぼくのためにあるんだぁ!

春告烏賊と書いてミミイカと読む?

2014年02月25日 | 暮らしの落とし穴
 瀬戸内に春の訪れを告げる魚介の一つにミミイカがある。耳を持ったタコのような姿がミッキーマウスを彷彿させて可愛いと、フィギュア愛好家の間で人気のイカだ。瀬戸内海以外では釣り餌として流通する程度で、食卓に上ることは少ないそうだ。

          

 足の親指くらいの大きさを最大として、手の小指くらいのまでが同じパックになって380円で売られていた。生でも食べられるんだろうけど何の保証もないので「お前、食ってみるか」と、野良とおぼしき猫に与えてみたところ、とても喜んだので、これは食えるぞ!

         

 猫が食ったとはいえ、ぼくは生で食べたことがない。小さいけど、というか小さいから丸ごと食べるので、内臓の旨味とかアクも強く、何かのアレルギーがあると咽に違和感を覚えるだろう。それが好まれて食べられているんだろうけど、ぼくも大きいのはダメだなぁ。

                    

 ミミイカは別名「稚児イカ」とも呼ばれるが、地元では「ちんこイカ」とも。茹でてみたら後者の名を支持したくなるね。
 こいつは小さくても墨をたっぷり抱えているので、ぼくは一度水洗いをしてから塩茹でにする。茹で上がるとカラス鳶や目玉を取りやすくなるからね。



 目玉やカラストンビを除いてからバターで炒め、塩胡椒で味を付けてみた。捨てるつもりだった島ラッキョウの葉の部分も抱き合わせにしてみたわけだが、炒め過ぎて島ラッキョウの味を殺してしまったしまった。
 ミミイカってのは、いわゆるイカ臭さのない淡泊な肉質と、内臓の野趣溢れる旨味を同時に味わえるのを醍醐味としたもんだけど、どんなに小さくても墨黒くなるのと、砂っぽさを感じるのがネックだ。
 ミミイカを捌いて調理すればそれらの欠点を克服できるだろうが、ミミイカを食べる喜びを見いだせなくなるのは必定。次回は絶対に刺身で食うぞ!

コンビニ猫に未来はあるのか

2014年02月24日 | 社会
              

 コンビニに屯している猫たちは兄弟かもしれない。体格に違いはあるようだけど、どちらも真っ白で顔つきも似ているような気がする。
 初めて見かけた3か月ほど前は痩せていて汚らしかった。飼われている様子はないから今でも綺麗とはいえないけど、健康そうに見えるようになった。客も何か与えているんだろうけど、店員の兄ちゃんに良く懐いているみたいだ。

 彼ら野良猫にとって当地を楽園と呼ぶには過酷じゃなかろうか。イノシシの罠を設置する人や、毒を撒く人もいる。違法性や動物愛護の視点はさておき、毒入り肉団子を食って死ぬペットは少なくないという。現場を見ていないので断言は避けるけど、近所で飼われていた大人しい犬も「毒を食べたようだ」と診断されて動物病院で点滴されながら死んだ。

 イノシシはハンターが来て撃ってくれる。その肉はボタン鍋とか焼き肉として頂くようになった。当地はもちろん、都会にも流通しているはずだ。
 だからイノシシ被害については一段落したけど、タヌキはどうしようもない。子どもの頃だったら、タヌキが民家の近くにやってきたらニュースになった。冬の連中は丸々として可愛いからね。

 タヌキの被害はイノシシのように大規模ではないけど、防ぐことができない。フェンスをよじ登るとか下をくぐるとかして畑に侵入する。それをくい止めようと罠を設置する人が現れ、地域の人たちから歓迎されているけど、猫も同じ罠にかかる。それをどうするのか聞いたんだけど、明確には答えてもらえなかった。察するに、罠ごと海に沈めているんじゃないかと……。

 我が身の幸せすら良く分からないのに、野生動物の幸せを決めつけることができようはずもない。けど、罠ごと海に沈められたタヌキや猫の魂が浮かばれることはないだろう。
 それはしかし、タヌキや猫の被害に遭ってない者の主張に過ぎない。被害に遭う人たちは瀬戸際に立たされているのだ。
 聞くところによると、猫を捨てに行く地域、というのがあるんだそうだ。でもそこは猫の楽園じゃなく、海に沈められる地域らしい。捨てに行く人は、知ってか知らずか……。

2月23日(日)のつぶやき

2014年02月24日 | 暮らしの落とし穴