久々にスパゲッティ・ボンゴレ・ロッソを作ってみました。本当は半分の量でも良かった缶詰トマトですが、消費を待っているので応えてやろうと2回に分けて使い切りました。
イタ飯ブームが起きたのは10年、いやもっと前でしょうか。ぼくがリーマンやってた頃、会社の近所にもトリコロールを掲げた店が続々とオープンしました。その中に小さいけど評判のいい店がありました。食べてみたいなと思いつつも、行列の構成員って通行人から見ると間の抜けたように見える、というより見られている気がして並べませんでした。
そんなある日、時ならぬ出勤をしたせいか、昼時なのに当のイタ飯屋に行列がありません。チャンスとばかり同僚と二人で入りました。満席に近かい椅子に腰掛け、まわりを見回してびっくり。男性は我々二人だけで、
「あ、あのう、もしかして今日はノー・野郎・デーか何か?」
と、オーナーシェフの奥さんらしいウェイトレスさんに聞きました。
もちろんそんなことはなく、本日のサービスメニューを注文して待つこと10分少々。意外に早いな、と喜んで食べ始めました。
それが初めて食べたボンゴレ・ロッソで、こんなもんなんかな~と食べていると同僚が、
「パルメザンチーズを下さい」
と大きな声をあげ、厨房からはすかざす、「すみません、今日は置いてないんですよぅ」とシェフ。
「イタ飯屋のくせに粉チーズを置いてないとはどういうこっちゃ!」
と聞えよがしに言う同僚にぼくは、
「もしかして、ボンゴレ・ロッソにはチーズをかけて食べるな、いう意味と違うか?」
「そんなことあるかい、どないして食おうと勝手やないか」
そんなやり取りしているところへ、先ほどの奥さんが申し訳なさそうな顔をして粉チーズを持ってきてくれました。
同僚は筒状の入れ物の口の大きい方の蓋を開け、ボンゴレ・ロッソの赤を覆い隠すほどの量を降らせました。厨房の中にはその光景を悲しげに見つめるシェフと、それを気遣う奥さんがおり、二人の姿が目に焼きついて今も忘れられません。
アサリの繊細な味わいを楽しむならボンゴレ・ビアンコでしょうし、ぼくもその方が好きです。ロッソも悪くはないんですが、チーズを振りかけたくなる気も分からないではありません。しかしそんことをやったらアサリは主役から単なる具に貶められ、先ほどまで潮を吹き、生きとし逝った彼らが哀れでなりません。
早い話が、何度もボンゴレ・ロッソを作りながら、未だもって美味しいのが出来たためしがないことの言い訳でした、ハイィ……。
イタ飯ブームが起きたのは10年、いやもっと前でしょうか。ぼくがリーマンやってた頃、会社の近所にもトリコロールを掲げた店が続々とオープンしました。その中に小さいけど評判のいい店がありました。食べてみたいなと思いつつも、行列の構成員って通行人から見ると間の抜けたように見える、というより見られている気がして並べませんでした。
そんなある日、時ならぬ出勤をしたせいか、昼時なのに当のイタ飯屋に行列がありません。チャンスとばかり同僚と二人で入りました。満席に近かい椅子に腰掛け、まわりを見回してびっくり。男性は我々二人だけで、
「あ、あのう、もしかして今日はノー・野郎・デーか何か?」
と、オーナーシェフの奥さんらしいウェイトレスさんに聞きました。
もちろんそんなことはなく、本日のサービスメニューを注文して待つこと10分少々。意外に早いな、と喜んで食べ始めました。
それが初めて食べたボンゴレ・ロッソで、こんなもんなんかな~と食べていると同僚が、
「パルメザンチーズを下さい」
と大きな声をあげ、厨房からはすかざす、「すみません、今日は置いてないんですよぅ」とシェフ。
「イタ飯屋のくせに粉チーズを置いてないとはどういうこっちゃ!」
と聞えよがしに言う同僚にぼくは、
「もしかして、ボンゴレ・ロッソにはチーズをかけて食べるな、いう意味と違うか?」
「そんなことあるかい、どないして食おうと勝手やないか」
そんなやり取りしているところへ、先ほどの奥さんが申し訳なさそうな顔をして粉チーズを持ってきてくれました。
同僚は筒状の入れ物の口の大きい方の蓋を開け、ボンゴレ・ロッソの赤を覆い隠すほどの量を降らせました。厨房の中にはその光景を悲しげに見つめるシェフと、それを気遣う奥さんがおり、二人の姿が目に焼きついて今も忘れられません。
アサリの繊細な味わいを楽しむならボンゴレ・ビアンコでしょうし、ぼくもその方が好きです。ロッソも悪くはないんですが、チーズを振りかけたくなる気も分からないではありません。しかしそんことをやったらアサリは主役から単なる具に貶められ、先ほどまで潮を吹き、生きとし逝った彼らが哀れでなりません。
早い話が、何度もボンゴレ・ロッソを作りながら、未だもって美味しいのが出来たためしがないことの言い訳でした、ハイィ……。