らんかみち

童話から老話まで

ガトーショコラの誘惑

2011年11月29日 | 暮らしの落とし穴


 正当派ガトーショコラってものを食べたことがないのですが、写真のはズッチリ感とチョコの香りが印象的で、これで半日分のカロリーだろうか、ヤバッ!
 普通の主婦たち3人で週に一日だけ開店しているカフェ「しましま」に顔を出したら、大奥まで開放する大入り満員、といっても10人ほどですけどね。
「いつも忙しいわけじゃないんですよ~たまたまです」ということですが、皆さん本日のケーキ:ガトーショコラを注文されたので、じゃあぼくもってノリでした。

 しかしこの店に行ったのはコーヒーが飲みたかったからではなく、もちろんガトーショコラに飢えていたからでもありません。ちょっと風変わりな人たちと手を組み、共に島おこしに邁進しようと目論んでいるわけです。
 我々はボランティアだけど、趣味と営利との間で頑張っている人たちと協働できるはず。と、この人たちを我々のサイドに引っ張り込んだのですが、もしかしたらミイラ取りがミイラに……あちら側がダークサイドかどうか知りませんが、引っ張り込まれないように用心しましょう。

オークとトネリコ

2011年11月28日 | 暮らしの落とし穴
 うちの田舎だけの現象じゃないかと思うんですが、庭木にトネリコを植えるのがブームなのだとか。英語では「Jananese Ash」と呼ぶそうですから、日本を代表する樹木じゃないかとWikiを参照したら日本原産種だそうです。
 この日記ネタは以前にも書いたような気がしてブログ内を検索したけど、おかしいなぁ、動画を共有したはずなんだけど見つからないので、再度の共有です。

Alfred Deller sings 'The Oak and the Ash'


「オークとトネリコ」というイギリス民謡。ごていねいにも「北部出身の田舎娘がロンドンへ上京して自分を見失い、涙ながらにため息をつき、もう一度田舎に戻りたい、と激しく泣いた」みたいな訳までしたはずなんだけど、記憶って当てにならんなぁ(特に自分の)。

 この歌の中に登場するトネリコは「西洋トネリコ」という近縁種で、日本原産のものとは違うのだとか。そうなんですよね、日本原産種の木がイギリスの民謡に登場するはずがないと疑問だったんですよ、これでスッキリ寝られます。

唐箕選というノスタルジー

2011年11月27日 | 暮らしの落とし穴


 17世紀の中国で発明された唐箕。その時代のものとほとんど変わらぬものを使い、そばの種実選別をするアナクロニズムに少なからぬ郷愁と哀惜の念を喚起され、これが歳をとるということなのだなぁ……。
 幼い頃に実働しているのを見たことがあるだけの、ほとんど文化財扱いされそうな木製唐箕。材質が木から鉄に変わっただけで、同じ原理のものが今でも製造販売されている、驚くべき長寿ぶり。しかも群雄割拠の状況であるらしく、手動式29800円から、電動式49800円etc.なりぃ。

「あんたら、そばを栽培するんなら唐箕を使うかね?」と、ある日この唐箕が届けられました。これは非常にありがたいことで、数カ所の修理は必要だったものの即戦力だったのです。
 やや熟練を要す作業らしく、お百匠さんの指導の下、全体の3分の2くらいを選別し終えました。予想より少ない気はするんだけど、素人がここまでこぎ着けたんだから、10㎏の種を播いて100㎏の収穫ができたら良しとせんかい。

物事には距離というものがある

2011年11月26日 | 暮らしの落とし穴


 全国のマルK、それともご当地限定か聞いてないけど、我が島の誇るB級グルメ「ソースオムそば←new」を見つけたので買いました。これを買ったコンビニのマルKさんと、これを監修したイマイ食品さんの事務所は、ゴルフでいうならアプローチの距離です。

 焼いている現場とコンビニの距離は、スリーアイアンくらいのクラブで打つ距離でしょうか。そこを素通りし、わざわざ冷めた焼きそばをコンビニで買う理由は無いようにも思ったんですが、そこはそれ、開発者である鉄兄ぃへのエールですがな。

 距離といえば、そばのブランド「信濃一号」を育てた畑と、「信州大そば」を現在もまだ育てている畑は、石川遼くんがドライバーを振り切ったら届くような近さ。これがどれほど重大な問題であるか、今日初めて知りました。
 
 いつまでたっても最後の畑には花が咲いている。しかし12月はもうすぐなんだから、いくらなんでも刈り取らないといかんだろう。危険を感じて畑に行ってみたところ、ハウッ! な、なんぢゃあ、この種実の大きさは……もしかして、こいつは四倍体? 

 この種をくれた人は「信州そば」とだけ言ったので、何も考えずに育てたわけですが、四倍体だとしたら拙いぞ、拙すぎる! 粉屋さんが挽いてくれない可能性があるのです。
 つまり、新しい品種なので、機械が対応していない、あるいは対応させるのが難しいからでしょうか、「四倍体は、お断りやで」と聞かされていたのです。その四倍体というのが信州大そばで、通常の粒である信濃一号を育てた畑が近い。そばは虫媒花なので、交雑した可能性が大なのです。信濃一号の脱穀を始めてみたところ、大きい、ちょっと大きい気がする。どうする、どうするよ!

陶芸にも大人の事情が

2011年11月25日 | 陶芸
 久々の陶芸ネタってことは、いかに陶芸を疎かにしているかってことですよね。中学生たちの作品作りにクラブ員が協力したのは昨日ですが、ぼくは出られなかったので要釉斎先生の下、バツゲームのように作品の高台削りをやりました。



 他のクラブ員は皆さんカニ食い放題、温泉付きツアーの真っ最中です。要釉斎先生が一人ぼっちなのは、たまたま慰安旅行と予定が重なったからですが、先生の下でやりたくない、という大人の事情があるのも否定はしません。

「中学生の思い出の作品なんだから、修正しまくるのはいかがなものか。彼らが作りたかったように、あるがままにすべきではないか」というのが協力したくない理由に挙げられてますが、湯飲みなどは箸にも棒にもかからない作品があり、修正する以外に手はないのです。

 お皿は問題ないので、十数個の湯飲みをぼく一人が電動ろくろを回して手直ししたところで大した労力ではない。けど、この作業は先生のライフワークなので、手伝うのは良いけど取り上げることは出来ないのです。
 しかも電動ろくろを使うと、いかにも買ってきたような作品になってしまい、それがまた先生のお気に召さない。なので頃合いの仕上がりにして、先生の手がほんのわずかだけ必要な状態にしておく。自慢じゃないけど、これが思ったより難しいんです。

 それにしても、彼らが作ったお皿の中に、ぼくが作って販売したのとそっくりなのがあるじゃないですか。この事実は、ぼくの発想が中学生並みに柔軟であるということか、それとも陶芸を3年も学んだ甲斐がなかったということでしょうか。どちらにしても、子どもたちの作品が無事に焼き上がりますように。

どぶろく特区を見学してきました

2011年11月24日 | 暮らしの落とし穴
「地域おこし協力隊」の制度を早くから取り入れた、高知県の本山町の取り組みを視察させていただきました。といっても平成22年の4月スタートなので、まだ始まったばかりといってもかまわないでしょう。

 どんな制度かというと、都会に住む人を対象に田舎へのIターンもしくはUターンを促し、過疎地に定住してもらう作戦です。農林漁業に従事してもらうのはもちろん、願わくば過疎地で起業してくれたらうれしい。そのために3年間だけ公金から給与を支払うという仕組みを総務省が作ってくれたのだそうです。

 都会でスピンアウトした、あるいは煩悩だらけの若者が協力隊に応募してきたらどうするのか、そんな心配は杞憂なのでしょう。我々の質問に答えてくれた協力隊の若者は、とても志が高そうでした。

 さてそれとは別に、同じ本山町で「どぶろく特区」の制度を駆使してどぶろく醸造を始めたお爺さんの酒蔵を見学しました。「うちが日本一狭い醸造所でしょう」とおっしゃる通り、四畳半? それくらいの部屋を仕切り、二畳ほどの蒸留施設でどぶろくを醸してました。



「どぶろくを造っていると鹿や猿がやって来て邪魔をするので、辛口の酒に猿、甘口には鹿の絵をあしらってみました」とおっしゃるので3本購入。マイクロバス2台の見学者の半数近くがお土産に求めたので、あっという間に完売してしまいました。

 まだ飲んでないので評価は出来ませんが、あれだけ心を込めて造っているのなら不味かろうはずがない、というのが3本買った動機です。あのお歳でパソコンを覚え、毎日記録をつけ酒税の電子納税をする。その努力に敬意を払いつつ、熱い思いに酔わせていただきましょう。

長老たちの注連縄

2011年11月23日 | 暮らしの落とし穴
 しめ縄作りも最難関の菰作りを終え、いよいよ佳境を迎えるであろう明日、ぼくは高知に出張です。肝心な行程を写真に収めることが出来なくて残念ですが、何度も出席したまちおこし勉強会の一環なので、吉と出るにせよ凶と出るにせよ、結末を見届ける責任があろうかと思います。

 先日書きかけた「しめ縄用の藁」とは「青田刈り」のことですが、収量調整の減反政策や卒業前の学生に企業が内定を出す意味ではありません。しめ縄を作るためだけに苗を植え、出穂(しゅっすい)の前に刈り取ることをいうのだそうです。

 昔の稲の品種は背が高く、およそ120cmの藁が取れるそうですが、今回の藁は100cmしかありません。しかも色が淡黄土色に褪せてしまっていて、初々しい蒼さが無いのです。この短さがしめ縄作りにおいて由々しき問題であることは、実際に作業をやってみるまで理解できませんでした。



 写真は6年前に作ったしめ縄ですが、なんと見事な。長老たち、やるじゃないか!

猪づくし

2011年11月22日 | 酒、食
 ハンタさんのくれたシシ肉を村人に分けて差し上げたいのですが、みなさん怖がります。美味しいんだって、と重みに欠ける損長が申しても説得力を欠いているのでしょう、誰も受け取ってくれません。
 仕方ないので今宵は友だちの家に猪肉を持ち込み、ボージョレーなど一杯やるつもりです。

ぼたん鍋とヌーボー

2011年11月21日 | 酒、食
「ハンターさん、猟果はいかがでした」と、昨日の猪猟について聞いたところ、やっぱりうちの村の小山には住んでいなかったそうです。隣村の山はずっと深いのと、シダが群生しているから猪が住みやすいのだとか。

 というわけで隣村の山に場所を移して狩猟をはじめたところ、猟犬が猪を見つけて戦いを挑んだらしく、猪のキバで犬はお腹を切り裂かれたんだそうです。
「すぐに応急処置をして動物病院に運んだわい。内臓も出とったけん全身麻酔で手術じゃが」。

 手術は成功したそうですが、一度猪にやられた猟犬はトラウマが出るってことはないんでしょうか。猪を前にして足がすくんで動けないなんてことはないのでしょうか。
「腹を切られながらも猪に襲いかかって行くんほど獰猛な犬じゃが」
 なるほど、猟犬とはそういう犬種なんですね。



 そんなこんなでハンターさんは猪の肉を5㎏ほどくれました。
「あんたのことじゃけん、ぼたん鍋の秘伝のレシピを教えてあげよわい、他言は無用ぞ」ということなので、ここに公開することにしました。
 まず鍋に出汁を大さじ二杯、白味噌6に赤味噌を4。それを酒で溶いて入れる。冬野菜から水分が出るので濃いめに味を付ける、とのことです。

 白味噌は西京味噌みたいなものだとして、赤味噌ってなんだろう。八丁味噌のことかと聞いたんですが、どうも違うようです。麦味噌だって赤いのはあるし、米味噌と豆味噌も赤と呼んで良いはず。それとも郡上味噌のような独特な味噌を指しておっしゃったのでしょうか。それが分からない限り、やっぱり秘伝なんじゃがぁ!

 普通の米味噌でぼたん鍋を作ってみましたが、猪肉が上品すぎる。濃厚な味噌の味に肉が負けてしまったんです。写真の倍の量は入れないと野趣は堪能できませんね。残しておいた肉を塩胡椒して焼いてみたところ、ボージョレー・ヌーボーの荒々しさとピッタリでした。

しめ縄作りを始めました

2011年11月20日 | 暮らしの落とし穴
 ある朝、村の長老が訪ねて来られ「氏神様のしめ縄を作り替えるぞ」と宣うではありませんか。しめ縄には設計図というものがあって、それは前もって渡しておいたので驚くには値しませんが、今は時期が悪い!



 そばの脱穀もやらないといけないのですが、村の仕事が優先の損長なので朝から藁を裸にする作業を手伝い、抜け出してはそばを干したりの大忙し。その上に突如としてハンターから「猪狩りをやるから飼い犬を家に入れてくれ」といった要望もあったりしました。



 しめ縄をつくるシーンなんて見たこともなかったんですが、菰というものを作ってその中に藁を詰め込んで一本の縄とするのだそうです。本日はその菰を編む段取りまででおしまい。
 実はしめ縄の菰を編むための藁というのは通常の稲ではないのだそうですが、その話はまた後日ということで。