らんかみち

童話から老話まで

高潮注意報を乗り越えて

2011年09月30日 | 暮らしの落とし穴
 安芸の宮島では厳島神社が高潮の影響で冠水したのだとか。写真を見ると異様な光景に映るんですが、あちらさんは元々浸水することを想定した作りになっているので、世界遺産が被害を受けたと悲観する必要は無いでしょう。

 島が隆起して平野が出来た、あるいは島と島の間を埋め立てて平野を造成した当地ですから、海抜以下の面積は相当なものです。かつて幾度となく高潮や台風で床下浸水を繰り返しているなら、高床式の建物があっても不思議ではないと思うのに、そういうものは見たことがありません。その代わり水門とか排水ポンプの類があちらこちらにあります。

 本日も高潮注意報が発令されていて、昨日よりは少し好条件だったものの、やはり潮で道路は冠水しました。タイミングの悪いことに、というより満潮を1時間ほど過ぎて豪雨を迎えてので、むしろタイミングが良かったのでしょうか、排水ポンプを稼働させて事なきを得ました。明日の潮位も決して低くはないのですが、10cmのマイナスは心強いです。

高潮注意報に気が抜けない

2011年09月29日 | 暮らしの落とし穴
     

 郵便屋さんが「潮があふれて道路が浸かってますよ」と警告してくれたので確認に行きました。村人も出てきて「いったいどういうことぞ!」と、道路にあふれる海水を見てぼくを詰ります。
 どうやら堤防に開いている雨水排水のためのパイプから海水が逆流しており、こればっかりはぼくに言われてもどうしようもないので支所に「高潮被害」を訴えたところ、「あと一時間しんぼうしてください」と。お役所に訴えてもこればっかりはどうしようもないのでした。

「これほどの潮位は見たことがないぞ、昭和17年以来の高潮じゃなかろうか」
 地元の年寄りが見たことないというのだから余程ですが、これが台風と重なっていなくて本当に良かった。
「床下浸水の恐れがあるようなら土のうを積むなりの対策は考えております」とお役人さんがおっしゃるように、村でも対策を練った方が良いのかも知れません。

 潮汐表によると明日の潮位は今日より4cm低いだけ。少しマシなんですが、天気占いは凶と出ております。すなわち気圧が下がり降水確率は50%で、今日と同じく高潮注意報が発令されております。
 不幸中の幸いなのは風が高潮を追い戻す方向であること、でもちょっと待てよ、それだと対岸の村がダメじゃん! 損長は明日も気をぬけないのです。

王座戦に見た世代交代

2011年09月28日 | 暮らしの落とし穴
 将棋の7大タイトルの一つ王座戦が昨日終わり、渡辺竜王が王座を襲いました。羽生二冠が一回り以上も若い渡辺竜王に敗れたことにより、将棋界に世代交代の波が到達した印象を多くの将棋ファンが持ったことでしょう。(以下敬称略)

 さすがの羽生も今回ばかりはやられるだろうとぼくは思っていたし、その前の王位戦も羽生の負けと読んでましたが、それは良い意味で裏切られました。この歳になると、そうそう新しい将棋指しのファンにはなれないので、羽生を応援しておるのです。

 名人:森内。竜王、王座:渡辺。棋王、王将:久保。王位、棋聖:羽生と、7大タイトルを4人で分け合っている勢力図でも依然として羽生は最強だと思いますが、渡辺に弱いのには理由があります。

 渡辺は小学生名人戦で優勝し、当時の羽生名人に握手をしてもらいました。しかし谷川九段ファンの渡辺にとって羽生は谷川の敵役なので、握手をしてもらいながらも「プロになってこの男をやっつけてやる」と思ったのではないでしょうか。羽生のことを、谷川教を衰退に追いやった新興宗教の教祖みたいに見ていたとしても不思議ではありません。

 その羽生は中原世代なので、小学生名人戦で優勝して当時の谷川名人に「これから勉強していけばプロも夢じゃない」と激励の握手してもらいました。そのとき羽生は「中原先生をいじめる谷川なんてぼくがやっつけてやる」くらいに考えたのではないでしょうか。

 その谷川は大山康晴世代なので、「中原なんて……」と、いやこれは違いますね。谷川は「中原先生に名人のままでいてもらわなければ困る」と、中原をリスペクトしてましたから。

 羽生さんも41歳。男ってのは40台半ばから急激に衰えますからね。谷川さんも40歳を少し過ぎたころからタイトル戦で勝てなくなったどころか、登場すら出来なくて今に至っています。
 まあしかし今回の王座奪取は羽生さんが弱くなったというより、渡辺さんがハブ退治からハブ料理のコツをつかんだのではないでしょうか。世代交代と言い切ってしまうには、まだ少し早いような気がします。

逆境もまた楽なり

2011年09月27日 | 暮らしの落とし穴
 神経ブロック療法がどういうものか良くは知らないのですが、母が相変わらず痛みを訴えるので「再入院して局所に注射を打ちましょう」と先生がおっしゃったと、兄。
 母のことは兄がサクサク面倒を見てくれるので、来月は多忙を極めるぼくとしても大助かりです。

 前のケアマネさんに落ち度というほどのものはなかったんですが、遠くから来られていたこともあり交代してもらいました。今度のケアマネさんは若い男性です。地元の方ということもあって、1時間ほど話したらバラバラに散乱していたピースが繋がり、今まで見えなかった地元のことが急に見えるようになってきました。
 
 思えば損長を拝命したのは去年の今ごろでした。難題を抱えている村なので、ガラではないけど政治の世界に足を踏み入れてみたりしました。それで何か解決したのかと問われたら、実は何も解決できていない。
 ではあるけど、もがいていたら手を差しのべられることもあり、施行をしていたら憐憫をかけてくれる人もいる。「瓢箪から駒」を期待しているわけじゃないけど、なんとかなるさって思うことにしました。

デジタル一眼レフが来た日

2011年09月26日 | PC WEB
    

「デジカメがダメになった」と書いたら、上の姉から一眼レフが送られてきました。2004年に発売されるや、一躍デジタル一眼レフ市場の人気者になったといわれるNikonD70です。
 当時このセットで20万円くらいしたんじゃなかろうか。画素数だけを比較すればダメになったコンパクトデジカメの半分くらいしかないのですが、重さ以外の使い勝手はこちらの方が数段上です。

 しばらく放置していたらしく、グリップやレンズがネトネト、ニチャニチャ、ベチョベチョしてます。ホールド感を良くするためにゴムコーティングされていたんだろうと思いますが、経年変化で溶けたんでしょうね。クリーニングに一苦労でした。
 綺麗になったところで撮影に出かけたんですが、パソコンに取り込んでみたら、全ての画像の同じ場所にポツンと黒い点があります。撮像素子にゴミが着いていただけなんですが、これがデジタル一眼レフの欠点らしいです。

 長年にわたって銀塩フィルム一眼レフを使ってきたけど、ゴミのことは致命的な問題じゃなかった。フィルムにゴミが着いてもその一枚だけだから。でもデジタルとなると全ての写真の同じ場所にゴミが写り込むんですね。
 デジタル一眼は昔の一眼レフとも違うしコンデジとも異なるもののようで、なんだかんだと勉強しないと使いこなせないみたいです。

 それはさておき、姉お得意の新聞紙をクッションにした梱包で届いたんですが、宅配便の伝票の内容物欄には「食品」と明示されているではありませんか。スペースが余ったので食い物も同梱してくれたんだろうと、くしゃくしゃにされている新聞紙を全て広げてたたみ直して確認したんですが、食品の類はついぞ現れませんでした。
 ぅう~ん、これゎぁ、「デジタル一眼レフを糧に成長したまえ」と解釈すべきなのか、それとも……。

古い洗濯機に郷愁

2011年09月25日 | 暮らしの落とし穴
    

 わざわざ洗濯機の写真など撮影してアップすることもなかろうと自粛するつもりだったんですが、これ、ちょっと感動してしまいました。前洗濯機は20年選手、いやもっと前かも知れませんが、サンヨーのファンだった父が買いました。それを襲った今回の「濯屋くん」もまたサンヨーです。
 まだサンヨーって会社があるの、と不思議だったんですが、パナソニックの子会社となって以降の新製品は発売を終えたということのようです。

 勝手に「濯屋くん」という命名をしたのはサンヨーへのオマージュであって、中国ハイアール社に洗濯機部門を売却したことへの抗議ではありません。というより、濯屋くんはハイアール社で生産されたものじゃなかろうか。そうですよね、日本で作っていたら23800円なんて値で売って儲かるわけがないか。
 
 最低価格帯の濯屋くんですが、そんな少ない水で洗えるの? と驚くほど早い段階から回り始めるではありませんか。濃い洗濯液で洗い始めることで洗浄効果を高めるのだといいます。洗濯物が少なかったからかも知れませんが、自動で判定して少ない水で洗い上げてくれました。
 風乾燥という機能もあって、少ない量の化繊の洗濯物なら3時間も回すと乾いてくれるらしいのです。他にも色んな機能があって、すすぎの方法もシャワーすすぎというのがあるのだとか。
 
 使えるものなら自分で修理をしてでも使いたい派なんですが、ここまで古い製品との性能差があると、今までどれほどの水を無駄遣いしてたのか考えるのも嫌になります。
 家の照明にしても、「母と兄が点けっぱなしにする」とぼやいていたら、兄が人感センサー付きのLED電球を買ってきたんですが、なるほど、最初からこれにしておけば無駄な電気を遣わずに済んだんですね。

 原発を夢の発電と信じて騙されたくちなので、昨今の科学の進歩に著しい嫌悪感を抱いておりましたが、科学の力という長いものに巻かれるのも心地よいものじゃないですか。
 それにしても、先代濯屋くんを回収してもらった後、彼の最初で最後の写真を見ながら、オヤジが買った洗濯機、騙し騙しならまだ使えたのにな、と少しだけ未練を覚えました。

この世の順序が分からない

2011年09月24日 | 暮らしの落とし穴
 ついに洗濯機が壊れました。なんとか洗濯をしようと回り始める努力も空しく、途中で止まってしまうのです。分解して修理しようかとも考えたけど、電気屋さんに言わせば「部品を換えるのもバカらしい」ので(ホームセンターで手に入るベルトは交換した)買い換えることにしました。

「決算大処分」と、扇情的なフライヤーが新聞に入っていたので、何も考えずに最安値の洗濯機をチョイス。兄に電気屋まで出向いてもらい、現物を確認して他機種との比較を店員さんに尋ねたところ、「安価な乾燥機付きの洗濯機は、乾くまでに3時間程度かかる」とのこと。迷わず注文してもらいました。

 テレビも遺産を運用して観ているありさまで、順番では次に液晶テレビを買うことになるはずですが、パソコンも危ない状態だし(壊れると村の仕事に支障が出る)あっそうだ、デジカメもダメなのか!
 デジカメを買い換えてもね、実を言うと、ぼくのパソコンでは最新規格の動画を再生出来ないんです。ビデオ編集なんて、とんでもない。だけど、もしかしたらビデオカメラを真っ先に買うことになるかも。それが、実は正しいものの順序かもしれない……。

村に凱旋門がぁ!

2011年09月23日 | 暮らしの落とし穴
     

 モーパッサンを読んだこともないくせに僭越ですが、彼は「いまいましいエッフェル塔を見なくて済むのは、パリではここだけだ」といいながら、エッフェル塔の一階にあるカフェに通ったそうです。
 今は世界遺産の一部として登録されているエッフェル塔も、建設前後には異を唱える人も多かったらしいですが、見慣れたら美しいと思えるようになったのでしょう。だったら、この村の凱旋門も、いつか見慣れて美しいと思える日が来るのでしょうか。

 数日前に撮影した「村の凱旋門」は、今日辺りでほぼ完成じゃなかろうか。村人のなかに建設反対の意見があったのは、企業による事前説明を欠いていたから。何をしているのか問うて初めて、水害の起きる可能性のある工事だと判明し、一部を修正していただいたのです。
 その後も色んな意見はあったものの、正当な企業活動を妨害する気もないし、雇用も創出されて地域の発展に貢献することなら、我慢すべきところは我慢しようとなりました。
 だけどねぇ、村の真ん中に凱旋門ですからねぇ。いや、ぼくにとっては「敗戦門」のような気がして、この門型クレーンの真下で毎日コーヒーを飲みたい気分です。

 当地は造船の町ですから、景観条例の中にも「産業景観」を謳っております。造船所の風景も、保全すべき景観の一つであるということです。それはその通りで、ぼくも軍艦島のような産業遺跡、あるいは産業遺産が大好きなんです。
 ただの廃墟じゃないかという人もいるでしょうが、パルテノン神殿だって廃墟じゃないですか。廃墟に立って往時を偲び、そこに生きた人々に思いを馳せる。廃屋を前にしても同じゾクゾク感を覚える身としては産業景観も是ではありますが、門型クレーンが村の真ん中で威容を誇っているってのはどうよ。

 この件が明るみに出たときから、このビルの6階建ての高さに相当する門型クレーン(高さ18m)を凌ぐ巨大な何かを建設できないものかと考え続けているんです。たとえば淡路島にある大観音像とか、室戸の修行大師のようなものです。
 あるいは意味不明なオブジェでも良いですけど、それが存在するから人がやって来るような見応えのある何か。過疎化する一方の限界集落を保全する一助になるものを作れないか。だれも真剣に聞いてはくれませんが、各方面には打診しております。だけど、もう一回バブルでも来ないと無理かなぁ……。

永眠の予行演習

2011年09月22日 | 暮らしの落とし穴
 母のことなどで兄がチャッチャカ動いてくれるようになったきました。可愛い兄には旅をさせよの言葉通り、コイケダ見習いの苦行が活きてきたようです。
 その兄が家の裏手で紙おむつを発見したというので、あぁそれでトイレの窓が開いていたのか、と合点がいきました。母が脱いで投げ捨てたのではないかと思われます。

 ついこの前まで普通の生活だったはずなのに、一月半の入院で一気に認知症が進んだような気がします。しかも元気なころは不眠を訴えていたにもかかわらず、表に出なくなった今は日がな一日眠っているのです。
 永眠の予行演習でもしているんじゃなかろうか、と不吉な予感に脳内が占拠されていることに気がつき、底冷えを感じました。

 実際、台風が過ぎてから急に冷え込むようになって、ぬる燗なんぞに切り替えたんですが、兄は相変わらずハイボール。それも母を飲み屋のママさんに見立て、母と一緒の食卓でしゃべりながら飲むもんだから、母もつられて食が進むようです。
 肉体の回復が認知症を遅らせることを期待しているし、家族にとって貴重な時間のはずなのに、つい二人に説教をしたくなるので距離を保ってます。明日も晴れでありますようにぃ……。

3月のライオンはドラマ化されるのか

2011年09月21日 | 童話
 


 イギリスには「三月は獅子のようにやって来て、羊のように去っていく(3月は荒れた気候に始まり、穏やかな気候で過ぎゆく)」ということわざがあるそうです。なるほど、日本でも春一番が吹き荒れるころであり、三月が去るころには桜の季節を迎えるとともにヴィヴァルディの「四季」から「春」が耳に響きます。

 羽海野チカ(うみのチカ)さんの漫画「三月のライオン」は“March comes in like a lion and goes out like a lamb. ”から付けられたタイトルらしいですが、いわれてみればエンディングは予定調和を想わせます。
 いかにも少女漫画といった画風なので、第一話のみ読んだきり(どの雑誌か忘れたのもある)になっていたんですが、単行本がコンビニに並んでいたのでついつい買ってしまいました。

 第一巻を読んでいて、なんと伏線(背景とかの絵)だらけで分かりにくいんだ。第一話しか読まなかった理由がなんとなく判明してきます。それにしてもこの作者、絵が上手い! 
 囲碁の漫画といえば「ヒカルの碁」が一世を風靡しましたが、将棋の漫画としては3月のライオンは出色じゃなかろうか。ヒカルの碁も原作は女性だけど、こちらも勝負の世界を丹念に描いて真に迫ります。
 コンビニに並ぶだけあって売れているんでしょうね。この作品は原作の完結を待ちきれず、実写でドラマ化されそうな予感がします。