らんかみち

童話から老話まで

地域おこしの優等生

2013年02月28日 | 暮らしの落とし穴
 どこからか毎日のように手紙が届き、行事だの研修会だのお寺だの神社だのといった予定が入ってくる。中には本日のように、パフォーマンスの色彩が濃いものもあるけど、行政とお付き合いさせていただく上で、出席は義務ともいえる?

 本日の研修会では地域再生事業の進捗状況が披露されたわけだけど、内容は概ね知っている。「12使徒」と呼ばれる(ぼくが勝手に呼んでいるだけ)地域おこし協力隊から3名が卒業するんだけど、一人が結婚、他の二人はカフェを開店したり、本格的に農業を始めるという。
 行政から給料をもらって縛られている時間はない、ということだろうか。立派だと思うし、定住して事業を始めてもらうという地域おこし協力隊のミッションは果たしたといえるんだろう。

 しかしだ、余所者の目で地域を再発見して島に新しい血脈が流れるよう促す、という点からすると早すぎる卒業じゃないだろうか。2年の契約期間を満了して延長1年というオプションを選んだって、「給料泥棒」などと後ろ指を指す人は誰もいない。総務省から資金が出ているんだしね。

 起業するという二人は相当綿密な計画を練って協力隊に応募してきたか、こんなの後一年もやってられるか! と短絡したかのどちらかじゃないかと邪推している。「ベンチがアホやから野球がでけへん」という名言を残して引退した選手がいたけど、早すぎる卒業の背景に同じような状況があるのだとしたら残念だ。

 研修会が終わってみると、「なんだか、ずいぶん簡単に地域おこしができるような話だったねぇ」という感想が多かったけど、うんうん激しく同感。この制度が総括される日が来るのかどうか知らないけど、その頃には関わっていた偉い人たちはどうしていらっしゃるやら。きっと出世しているんだろうね、悪い試みではないんだし。

今治市はバリイ市に改名しません

2013年02月27日 | 暮らしの落とし穴
 今治市(いまばりし)は「バリィさん市」に改名します、てぇ? そんなわけ無い。市町村合併で、「今治市」と市を書けるようになって田舎者の肩身の狭さを払拭できたのは嬉しかったとして、昔から島に住む島民はやっぱり今治市内を、「町に行く」とか「今治に来ている」と表現する。
 島に住む人は「バリィさん市」になっても平気なんだけど、今治市民にしてみれば「ふざけよったらいかんかろ」となるに違いない。ぼくだって住所欄にバリイさん市と書くの、気恥ずかしくないといえば嘘になるしぃ。

 本日はバラ祭り2013の実行委員会が開かれた。島で随一の押しも押されもせぬイベントで安定した集客力を誇っているから、新しい催しなんて要らない。この前のようにゆるキャラ仲間なんかが集まった日にゃ、受け入れ体勢を拡張せにゃならん。
 バラは年中咲かせることができるらしいけど、大勢の人には来てもらいたし、来られたらしんどいし、というジレンマに悩んでいるのが真相ではある。それに、年中同じイベントをやっていたら飽きられるしね。
 ややマンネリ化したイベントになると思うけど、ぜひお越し下さいな。5月の25日と26日です。

哀しいかな、日本酒ファンなんだ

2013年02月26日 | 酒、食
 バーボンでもスコッチでも、原材料と製法は高級品であろうが普及品であろうが同じらしい。どんな樽で何年間寝かせることができたか、その結果として味が良くなった樽のウィスキーが高級品なのだとか。そこから更にブレンドして我々消費者に届く、けど高級酒はぼくらには飲めないんだよね。

 日本酒はというと、まず山田錦とか松山三井といった酒造好適米のどのブランドを使うかによって高級品かそうでないかに分かれるらしい。そこから何パーセント磨いた米の芯の部分を使うかによってランクが分けられる。純米とか吟醸とかだけど、そこから更に搾り方をどうするかによっても味に差が出るそうだ。酒造メーカーによっては低温で熟成されたものを古酒として出荷する場合もある。

 我々が飲んでいる一般的な酒は、糖類、酸味料、醸造用アルコールを添加して水で薄めたのが普通らしい。良く分からないのは、米を磨いた糠を使って作ったアルコールを加えて水で薄めても純米酒と呼んで良いということ。
 酒造りに携わっていたお爺ちゃんに聞くと、非常に度数の高いアルコールがタンクローリーで蔵に運ばれてくるという。それは酒の匂いとか焼酎のそれではなく、純粋なアルコールという感じだったらしい。そうやって混ぜたものが美味しいなら良いわけだけど、美味しくないから日本酒離れが止まらなかった。

 老舗造り酒屋が高級酒に普通種を混ぜて大吟醸や純米吟醸を謳っていたとか、さもありなん。本来食用にしてはいけない事故米を使って酒を醸していた事件があったけど、あれで業界のデタラメぶりを知ってからは、自分が旨いと思ったものしか信用していない。言葉を換えれば、日本酒に失望してしまった。
 それでも日本酒を飲んでいるのは、素敵な酒に遭遇することがあるからだろうか。純米と表示されているものを選ぶようにしているけど、糠から作った酒が入っていても純米。分かってはいても信じるしかないのが現状だ。

 米だけの酒、という時点で既におかしい。「葡萄だけのワイン」なんて表現は無いはずで、日本酒の定義がいかに緩いか、いかに酒造りにモラルが求められていないかってことだろう。三増酒を許す酒税法に問題があるのは明らかとしても、業界がモラルを欠いているんだろうか、それとも消費者にも責任の一端はあるんだろうか。
 事故米で酒を造っていた蔵はつぶれ、名前を変えて再起しているらしい。今回も、問題を起こした蔵はもちろん、全ての酒蔵が白い目で見られるんだろう。日本酒ファンとしては慚愧に堪えない。

シルバーの磨き方

2013年02月25日 | クラシック音楽


 フルートが真っ黒になっている悪夢を見たので、約5年ぶりに取り出してみたところ、やっぱり! いわゆる燻し銀になっているのは一部だったけど、ちょっとショッキング。
 もしこれが銀食器だったなら、アルミホイルと塩と熱湯という組み合わせでジャブ漬けにしたら還元するらしいけど、フルートを水に漬けるわけにはいかない。こういう場合のために、良い商品が発売されてたんだね、知らなかった。

 管楽器を扱う店なら「BUZZ SILVERCLEANER」という商品を置いていて、これを使えばフルートのメカニカルな部分を傷めないでクリーニングできるらしい。銀は酸化して錆びることはあまりないらしいけど、硫化して黒ずんでしまう。
 クリーニングするにはシルバーポリッシュという研磨剤で黒ずんだ表面を磨く手もあるけど、フルートの精密なメカニズムを磨くのは骨が折れる。ところがこのクリーナーは、液体に浸した脱脂綿が容器に入っていて、少しちぎって銀の黒ずんだところを軽く拭くだけで良いというじゃないか。

 今治市内の楽器店にも置いてあったので早速買って試したところ、こいつは便利だぞ! 綿をちぎってピンセットでつまみ、メカニズムの複雑な部分に突っ込んでいける。化学反応で黒ずみを取るので、ポリッシュのように力を入れて擦らなくても、液が乾いて白くなったのを拭き取るだけで良い。
 完璧に光らせたいと思ったけど、細かい部分はいいや。そんなことより、フルートは吹かないと役に立たないよねぇ。どこかに練習場でも借りられるならやりたいけど、現状では難しいな。

海割れの奇跡がもたらす災い

2013年02月24日 | 暮らしの落とし穴


 見ようによっては防波堤が勃起したみたいな……何なんだこれは! 実はこのパイプ、防波堤の内側に溜まった雨水を排出させるための穴なんだけど、こいつが仇となって高潮被害をもたらすことがある。
 京都府の舞鶴辺りに住んでおられる方には信じがたい話かもしれないけど、当地では干満の差が3m以上ある。6時間ごとの干潮と満潮が1日のうちに2回繰り返されるので、大潮の干潮のときなんか離れ小島に歩いて行けたりする。つまり旧約聖書の出エジプト記に出てくる海割れの奇跡が起きるんだね。

 海割れで現れた細道を恋人と歩いて渡り、離れ小島で誓いの言葉を交わす二人には永遠の愛が約束される、という伝説が当地に伝わっていないわけではない。いや、そういう伝承があるのだ。などと二重否定の強調構文を用いたりすると、かえって胡散臭いよね。でも本当に♪海が割れるのよ~!
 海が割れて小島への道が現れたら住んでいるぼくでも結構な感動もんで、歩いて島に渡れるんだって、ついつい渡りたくなるけど、帰りが怖い。昔のように安全な道じゃなくなっている。

 そいつぁともかく、海の水を引き込んで塩田を生業として栄えた当地だから、満潮になると海抜以下の平野が多いのは仕方ない。塩田が無くなった今ではこの状況が災いして高潮被害を招く。去年も一昨年の秋も被害に見舞われたので、行政に対策をお願いしていたところ、写真のようなミニ・フラップ・ゲートを設置して下さったという次第。
 どれほどの効果があるか不明なので3カ所に設けただけなんだけど、良いんじゃない? これまでは企業に依頼して土嚢を積んでもらっていたんだけど、これで安心だ、ありがとう。

タラの木を掘り返してみたところ

2013年02月23日 | 暮らしの落とし穴


 タラを増やそうと思うと、芽が出始める前に掘り返さなくてはいけない。初めてのことでいつ頃芽が出るのか分からないのでネットを検索しているけど、雪国での栽培例が多くて、雪解けを目安にしているらしい。
 で、1年目の木から根を掘り出すらしいけど、うちのは2年目の木だ。なぜ2年目ではいけないのだろうと不思議に思ってきたけど、やってみたら分かった。「タラは浅い場所で縦横無尽に根を張る」とあるけど、掘り返してみたらメデューサの頭のような瘤が出てきた。
「根を傷つけないように掘り出すのはとても骨の折れる作業だ」と書かれていたけど、そんなもんじゃない。「2年目の木では拷問のような作業になる」とでも書いてくれていたら、やらなかったのに。



 根が深いところにまで伸びていて掘れども掘れども抜けてこない。たぶん先っちょの毛みたいな部分が必要なんだろうけど、移植ごてでちまちまやっていると途方に暮れてしまって……。
 沢山とれなくても良いからと適当なところで手を打って、掘り出した根っこを殺菌する。リドミル水和剤というのを使うと書いてあったけどJAさんに聞いたら「ベンレートが登録農薬になります」とおっしゃる。食うのじゃなくて根っこを殺菌するだけだというのに、どうしてもこれにしろと。リドミルなら少なくて半額だったのにぃ。
 ベンレート粉末を1000倍の水に溶いて30分浸漬した後、ベンレートを仕舞おうと倉庫の棚に行ってみると、あ、あるっ! いつ買ったのか分からないけど、同じような殺菌剤を母が使っていたんだ。やるもんだね、母ちゃん!

 これほどの苦労をして分根と挿し木を作ったのに、もらってくれる人が少ないんだ。というのは、当地には棘のあるタラの木が自生していて、「鬼杭(おにぐい)」と呼んで嫌う。節分にはこの棘のある木を10cmくらいに切ってトベラの葉と干し鰯をくくりつけて邪鬼祓いとする。
 もちろんタラの芽は当地でも食用にするけど、邪鬼祓いほどには執心しない。食べたかったら買えば良いのであって、自分で栽培するもんじゃないんだね。もらい手が見つからなかったらこっそり山に植えてみるか。鬼杭の隣にでも。

焼き鳥の正しい食べ方

2013年02月22日 | 酒、食


 長く焼き鳥屋に通った甲斐もなく、焼き鳥ってどの部位をどうやって串に刺すんだ? 肉は豚だろうが牛だろうが、獣の肉を串に刺して焼いたら焼き鳥と呼んで良いらしい。今治の焼き鳥は直火ではなく鉄板の上で焼くから、厳密にいえば炒め鳥? 
 たぶん店によって焼き鳥の定義はまちまちなんだろうけど、ぼくが言う焼き鳥はセセリとする。ネックとも呼ばれるけど、これの塩焼きが一番焼き鳥らしいと勝手に決め込んでいるのだ。

 タレ焼きこそ焼き鳥だとする意見に耳を貸さないわけじゃないけど、タレを味わいたいわけじゃないし、タレ焼きにすると何の肉のどの部位かどうでも良くなってしまうからね。
 セセリは小さい軟骨がくっついている所があって、これを取り除くのが面倒だし、串に刺すというより巻き付ける感じなのも手間がかかる。その割に味にインパクトがあるわけじゃないのでメニューにない店もあるだろうか。でも逆にいえば、塩焼きにしたらどんな酒にも合う。ワインでもウィスキーでも、その日に飲みたい酒に焼き鳥を合わせなくても良いんだ。
 でもこのセセリという肉、細長いので串に巻き付けて焼くのが一番なのかも。扱いやすくはないんだよねぇ。

脛に傷持って思うことにゃ

2013年02月21日 | 暮らしの落とし穴
 もう20年以上も前だろうか、南国といわれる県を営業で回っていたときのこと、宿で目を覚ましてふと気がついた。弁慶の泣き所という脛を怪我したのか、直径5ミリほどのかさぶたができている。
 痛くも痒くもなかったけど、当時かさぶたというのは剥がす喜びのために存在していると信じていたので、血が出るだろうか、それとも傷が癒えてポロリと剥がれ落ちるか、ぼくは賭に出た。それこそがかさぶた剥ぎの醍醐味だと疑わなかったから。

 利き手の中指を使ってかさぶたの周辺に爪を引っかける。ぐいっとひとかきしたとき、普通のかさぶたじゃないなと違和感があった。さらに引っぺがしていくと、皮膚の下から何かが抜けてくる印象を受ける。む、蟲だっ!
 皮膚の下から抜け出てきたのは蟲の頭と思われた。動いていたかどうか記憶にないけど、気持ちが悪かったのですぐにつぶした。これで全ては終わったはずだったが、実は始まりだったと後で分かった。

 この脛の傷跡は一週間経っても癒えなかった。オロナイン軟膏を塗ったけど、いつまでもジュクジュクした感じが治らない。痛くもなかったのでそのままの軟弱な治療を続けていたところ、一月ほど経ってようやく傷口に本物のかさぶたができた。
 南京虫だと思った。不衛生な安宿に泊まり続けたので、そういうこともあるのかなと話したところ、南京虫は血を吸うけど弱い虫で症状も違うらしかった。

 最近になってマダニが話題に上るようになった。出血熱を患って亡くなった事例があるという。注意を促す新聞記事も読んだけど、野山を歩くときは手足が露出しない服装をなんて、できるか! そんなの外に出たらどこにもいるわけで、一々完全防御をして農作業ができるわけがない。
 20年前のときだって、野山を分け入って営業してないぞ。あれがマダニだとしたら宿でも咬まれるんだろうか。野山を歩いたか、その前の記憶がはっきりしないので何ともいえないけど、脛の傷は今でも残っている。

棚上げという選択を嗤えない

2013年02月20日 | 暮らしの落とし穴
 案の定、企業との交渉は全く進展がなかった。お金に換算したら中途半端な額じゃないので当然と言えるが、金額の多寡の問題でもない。不協和音という通奏低音がずっと鳴り響いていて解決を難しくしているのだ。
 この問題は国民感情に配慮しなくてはいけない領土問題と似ているように思うが、尖閣諸島を国有化して問題がこじれたような二の舞は選択できない。あちらと違って、ここには人が住んでいるのだから。

「棚上げ」。選択肢は少なくとも二つはありそうだけど、お互いに今はこれしか思い浮かばない。解決はできないけど、話し合いは続けるということで合意はできた。いつの日にか、お互いを取り巻く環境が変われば問題解決の道が開ける、と夢見て歩き続けよう。もちろん別角度からのアプローチは水面下で継続するつもりではあるけど……。

本日のお勤め事情

2013年02月19日 | 暮らしの落とし穴


 ぼくが身体障害者協会の世話人になることは免れた。いくつかの会合に出席したりするだけの些細な仕事なのでやっても良いんだけど、「やってあげらい」と言ってくれた志を尊重させていただこう。って、これが意外な人だったので嬉しかったというのもあるな。

 さて本日は村の金比羅神社に伝わる大般若経の転読会。通称「般若さん」だけど、本日みたいな霙交じりの日に虫干しって効果があるんだろうか。それはともかく、菩提寺のご住職と息子の副住職お二人で勤めて下さったのでつつがなく終わり、お大師さんの正月のお勤めも済ませていただく。

 明日は某企業との折衝。ぼくが損長になってからずっと続けてきた交渉もいよいよ煮詰まってきた。企業側からなんらかの条件が提示されるはずで、さてどこまで譲歩すべきか。
 もしかしたら交渉の打ち切りを通告されるだろうか。ある程度先の見通しがついたので、それならそれでかまわない。どちらも少しだけ歩み寄れば問題の解決は簡単なのには違いないのだが……。領土問題にちょっとだけ似ているかな。