らんかみち

童話から老話まで

大般若経によって凡人の域に

2015年02月28日 | 暮らしの落とし穴
2015大般若経転読会

 
 旧暦1月10日は大般若経の虫干し日。かつては200巻の大般若経を転読した後、箱に収納したお経を天秤棒で担いで村の全戸を回り、人々はその下をくぐったもんだ。そうすることで知恵を授かるとされてきたわけだが……御利益のほどは定かではない。いやそうじゃなく、知恵を授かったからこそ凡人の域に達することが叶ったと、おおそういうことだったのか!




F1種のインフォームド・コンセント

2015年02月27日 | 酒、食
 春蒔き蕎麦の種を分けてほしいという打診がくるけど、昨年収穫した「春のいぶき」の種が使えるのかどうか、ぼくには分からない。播種したら出芽するのは間違いないけど、ちゃんと稔実するかどうか、それが美味しいかどうか自信がない。

 今現在発売されているそばの種の多くは交配種(F1種)という一代限りのもので、それらは子孫を残せないか、残せても親とは似ても似つかない性質になってしまう。そばの薬味としての辛味大根を栽培した経験では、二代目は辛くもなければ甘くもなく、大根の形はしているのに食用に耐えられる物じゃなかった。

 ただ、「信州大そば」と「信濃1号」を栽培してみた限りでは、二代目でも稔実したし食べて美味しかった。そうはいっても、秋そばの成功例が夏そばに適用できるかどうかやったことがないし、連作障害の懸念もある。
 ぼくの持っている種を使う人には、人柱となる可能性を否定できないよ、と覚悟をしてもらうしかない。これもインフォームドコンセントっていうのかね。

フラクタルな1日

2015年02月26日 | 暮らしの落とし穴
                  

 Rearlly? マジでレリゴーかい! 本日の英会話クラブは、まさかの♪Let it goで始まったけど、おいら全然歌われへんがな、しゃーないなぁ、ったくぅ! 難しい構文や知らない単語もほとんど使われてないのに内容が盛りだくさんで、これ本当に子ども向けの歌なの?
 たとえば「Fractals」って、どう訳したら良いの、まさか文字通りの「自己相似図形」と訳すわけにもいかないし……雪の結晶をイメージするんだろうけどねぇ。

 産直市で知り合いが珍しい野菜を販売していた。ロマネスコあるいはカリブロという名前らしく、作っている人は少ない。お客さんも「綺麗ねぇ!」と手には取ってみるけど、得体の知れない野菜を食べる気にはならないみたい。
「この規則的な模様をフラクタルっていうんですよ。味はカリフラワーとブロッコリーの中間的な感じです」と、生産者になりかわって説明してはみるけど、当地の人々は食材に関してコンサバなもんでね。Let it go、しゃーないな!

病院の大物とは

2015年02月25日 | 暮らしの落とし穴
 入院していた病院、というかぼくが入院していた病棟では、動かせないほど重篤な患者さんのことを「大物」という隠語で呼んでいたかもしれない。
 オペ直後のぼくも、導尿こそしていなかったけど酸素マスクをかぶせられ、6本ほどの点滴が終了する翌朝までベッドから下ろしてもらえない大物だった。つまりトイレに行かせてもらえず、尿瓶で用を足していたということ。

 俳人の金子兜太さんが「俳句王国」というテレビ番組で、ご自身が尿瓶を使っていることを告白していた。告白どころか、「あれは気持ち良いもんだ」と尿瓶を推奨していたけど、達観しているからこその言葉ではなかろうか。
 カーテンで仕切られただけの6人部屋で初めて尿瓶を使うのは、夢の中で小用を足すような危うさがあり少なからず困難が伴った。
 これは夢であって、目が覚めたらオネショをしでかしているんだから、やめておけ、という声がどこからともなく聞こえてきた気がする。

 そういった未知の体験を乗り越え、いびきの合奏のも耐え、さまざまな苦痛に抗いながら一夜を明かしたら、いつしかぼくは大物から小物に成り下がっていた。翌朝のオシッコは、そりゃあ気持ちよかった。入院していながらこんな幸せを感じて良いのか知らん、というくらいの快感だった。人って、探そうと思えば至る所に幸せが転がっているんだねぇ、小物で良かったよ。

世界ふれあい街歩きの裏側

2015年02月24日 | 暮らしの落とし穴
「世界ふれあい街歩き」というテレビ番組を観て驚いた。ガイドブックを片手にカメラを担いで一人で街を歩くというスタイルは安上がりなので、アマチュアで真似をしている人は多いと思うけど、本家は練りに練られたストーリーと徹底した仕込みがあるんじゃなかろうか。

 どっかの待合だかて観たのはハワイ編で、マウイ島のホキパビーチをカメラマンの旅人が歩いている。とそこへ、ウィンドサーフィンのギアを抱えたおじさんが現れて波に乗り始める。おい、そのおっさん、ロビー・ナッシュっていう世界チャンピオンじゃないか!

 彼をそこいらの爺さん扱いしていたので、思わず立ち上がってNHKに抗議電話をしようとしたら、「やつはウィンドサーフィン界のレジェンドだ」みたいな解説を現地人がしていた。それで良いんだ。

 あれは絶対に仕込みだった。第一線を退いたとはいえ、ロビーのような人物がカメラの前にたまたま現れ、フォワード・ループみたいなマニューバを気安く披露してくれるわけがない。小さい波だったから、失敗したら笑いものになるじゃないか。 
 ぼくが知らないだけで、あの番組には意外な大物が登場しているんだろう。ぶらりと入った鍛冶屋さんが、実は世界的な名工だったりするんじゃないかな。郷土料理をこしらえているのがカリスマ主婦だったり、楽器を演奏していたのは知る人ぞ知る名演奏家だったりするんだろうな。一見のんびりした番組だけど、テレビの前で畏まっていないとね。