それに、「あなたの『たばこ百景~けむりのゆくえ~』エピソード募集」という公募があるんですが、この募集趣旨は「愛煙家の擁護」にあるようなんですね。なので、「寝たばこで火事を起こして一家離散。体調をくずして入院したら、肺癌と喉頭がんを併発していて、余命いくばくもないと宣告された」などといった、ぼくの好きな教訓話は書けないわけです。
嫌煙を擁護する立場で投稿してみようかとも思ったりしますが、応募するには必ず個人情報を添付しないといけません。これがまたいやじゃないですか。だから消費者金融とかには応募したくないわけですよ。場末の飲み屋なんかで、「いま債務者の追い込みをかけとってな、成功報酬が30パーセントや!」なんて話を漏れ聞くと、更にモティベーションが下がるというものです。
サラ金だけじゃないですよ。ある商品を購入してクレームを付けたら、ぼくの個人情報を検索されたことがあります。ちゃんと返品も返金もできましたが、ちょっと気分が悪いですよね。ましてぼくなんて、某ウィスキーメーカーをこき下ろした日記を書いていたりするので、うっかりそんなところに応募できない事情もあります。
でも世の中にはしっかり自己主張している方々もおられて、儲かりもしないのに大手の会社を相手取って真っ向から告発しているブログに出会うこともあります。ところが最近はGoogleさんの検索精度が上がったせいか、逆切れとか、逆恨みしているみたいなブログがヒットしにくくなってしまった気がします。
仮にピアノ買取とか引越しとかをGoogleで検索したら、ヒットするのはほとんどがちょうちんブログで、ネガティブで生な情報が得られないのです。つまり、ぼくがエッセイに応募するのと同じで、企業がブログの体裁をとって世間をたばかっているんですね。
こんなこと書いているようなぼくが企業になびくのは潔しとできませんから、気乗りしない公募に向けて書かないのです……というのを書けない言い訳に使っているのは、既にお察しのことと思います。