二十四節気というのは中国の気候が元になった季節の名前なんだそうな。旧暦と勘違いしそうだが、太陽の運行に基づいて決まったというから、新暦での日付ということだね。それで本日4月20日は「穀雨」といい、穀物の成長を助ける雨の降る季節らしい。ということで満を持して蕎麦の種を播く。
種と一緒に畑に鋤き込む肥料も必要なので、ホームセンターで14号化成肥料20kg(1750円)と牛糞堆肥5袋(1350円)を購入した。車には店員さんに載せてもらったのだが、走り始めてみると、オゲゲ、オゲゲ、くっさ~!
牛糞だから臭いは覚悟していたが、ビニール袋に入っているのになぜ臭い? フゲゲ~、窓を全開にしても臭くて堪らん。百姓をやりたければ軽トラックは必須だと思い知らされた。
ようやくの思いで1号畑に到着して牛糞堆肥の袋を良く見たら、穴が開いている! 発酵し続けているらしく、ガス抜きの穴が開けられているのだろう。堆肥は試験的に撒いてみたのだが、臭いだけでなく扱いも面倒だった。その上に1反の畑なら20袋も必要なのだとか。
蕎麦の種は約5kg播き、14号を約10kg撒いた。種は去年の秋と同じ量だが、肥料は倍にしてみた。しかしこれで上手くいくかどうかなんて分からない。昨年のように初夏が猛暑だと、同じ轍を踏むことになるだろう。
2号畑の隣に3号畑を準備したが、これは地主のたっての頼みということで、やりたくはなかったが断れなかった。ごらんの通り切株やら何やらが残っていて、トラクターを入れるのが叶わないからだ。
だが良く見ると、これはこれで味がある。畑にも情緒ってもんがほしいと思っていたので、切株やニラを禅寺の枯山水に見立てて残す。駆地兵衛くんで耕すのは面倒だったが、趣ってもんがあるじゃないか。
継子扱いされているように見えるなら残念だが、この畑には種を播かなかったのだ。播けなかったというべきでであり、播く必要がなかったともいえる。播こうと思って一歩足を踏み入れたところ、既に蕎麦が発芽しているじゃないか、いったい誰の仕業だ!
恥ずかしながら……ぼく自身の仕業。というのは、昨秋この畑で収穫した時期が遅かったこともあるが、実に杜撰な刈り取りをしてしまったのだ。地元のおばちゃんたちの表現を借りるなら「あだれとるがね!」というように、回収しきれなかった蕎麦の実が大量に落ちたのだ。
漁夫の利ってのはこういうことか! いや絶対に違う。違うけれど、ここまで成長した命を摘み取ってまでして収量を上げる気になれなかった。
たくさん収穫できるに越したことはないが、ぼくらの農業はこの程度で良いと思う。
「儲からないと続かないよ」という声もあるし、それに反論はできないが、日本で無農薬の蕎麦を栽培しても中国やミャンマーの蕎麦に対抗はできない。蕎麦処の県じゃないので補助金もない。それでも、自家栽培の蕎麦って美味しいんだよ、というのを島の人たちに知ってもらいたい。
蕎麦を播いてみたいと思う人には無料で種をあげている。ホームセンターにも「蕎麦を播きたい人に」と、商売の邪魔をしながら種を置いてもらった。島の人たちを、ゆっくりだがそそのかしている。