らんかみち

童話から老話まで

当面の課題は、囲碁を打つこと

2013年10月31日 | 暮らしの落とし穴
 ぼくが骨折している間、おいちゃんの面倒は誰が見るんだって問題はある。といっても、デイサービスとヘルパーさんでは限界があるものの、地元密着の商店が惣菜や弁当をこしらえて宅配してくれるので、電話さえかけたら食生活に不自由することはない。

 97歳にして初めて携帯を使うハードルがどんなものか心配ではあったけど、洗濯機でもポットでもボタンが一つ増えただけで使い切れない母と違って、おいちゃんは携帯を使いこなしている。ぼくは必要ないといえばそうなんだけど、ヘルパーさんのヘルプをしているのはぼくだし、家の片付けはずっと続いている。

 食材を買ってきたり、日曜日のおかずを一品作ったりもしていたぼくだけど、一人王様生活に突入した今は、自分が食べることでいっぱいいっぱいだ。それでおいちゃんが恙なく暮らせるのかといえば、実はおいちゃんもぼくが骨折したのと同じ日に骨折で入院してしまった。
「家で転んで骨折しても知りませんからね」と、おいちゃんの主治医が釘を刺したことが現実となり、足首を折ってしまっただね。

 囲碁サロンを開くという目標は達成したのに、おいちゃんがいなかったら誰も来てくれない。「生きている限りは厄介者呼ばわりはさせないぞ」というくらいのキーマンなんだね、恐れ入るよ。
ぼくが囲碁を打てるならどうにかなるんだろうけど、残念ながら将棋の方なんだな。

 こうなったら自分で囲碁を覚えるしかないってことで入院中に入門書を読んだ。といってもルールと勝ち負けを理解しただけだけど、なんとか19路盤で一局の碁を打ち終えることができるようになった、かな? 当面は爺ちゃんたちにハンディ戦で教わることが目標となった。

体内の異物と共に生き、死んでいく

2013年10月30日 | 暮らしの落とし穴
 診察の日で、先生はぼくの襟元をめくるなり「あぁ~血だらけですね、ごめんなさいねぇ」と声を上げた。ぼくも気が付かなかったけど、実は昨夜から着替えていないんだ。服の上から装着するバンドなので、そのまま寝て病院に直行したからね。でも先生の処置が悪かったわけじゃなく、元々寝相が悪いのに酒を飲んで寝返りをバンバン打ったぼくの責任だ。

 骨折していながら酒を飲むとは何事か、と叱られそうだけど、骨の形成に酒は関係ないそうだ。問題なのは喫煙で、骨の付きがとても悪いらしい。そういえば20年ほど前に骨折して入院したときはタバコを吸っていたせいか、3か月も入院してしまった。もっとも、股関節から足の甲までギプスを巻かれていたのので、術後に直ぐ退院しても独りでは生活できなかったろうけど。

 自分の中では恥ずかしい怪我ではあり、詳細を語ったら「バカだね」と一笑に付されるに違いないんだけど、隠してはいない。逃げ隠れしたいのはやまやまなんだけど、病棟でも知り合いにあったし、今日の診察でも知り合いに会った。今日配達に来た生協のお姉ちゃんも既に知っていたから、ぼくと親好のある人たちにはバレていると思っていた方が良いならしい。

 抜糸というか抜鉤(ばっこう)まで一週間。20年前にもステイプラーはあったかも知れないけど、旧態然とした縫い方だったので痕が今でも明瞭に残っている。ヌード写真集を出版するわけじゃないので、この歳になって傷跡が残ろうがどうしようが腹は立たないけど、20年前は蟠りがあったなぁ。

 チタンプレートやチタンネジを入れたままで一生を終える決断をした。バイクレーサーは半年ほどで再手術をして体内から余計なものを除去するようだけど、もう異物と共に生きていかねばならない歳らしいね、残念だけど。

術式は、チタンプレート固定

2013年10月29日 | 暮らしの落とし穴


 オートバイの世界最高峰といえば、1000ccのモンスターバイクで戦うMotoGP。その昨年のチャンピオンはホルヘ・ロレンソ選手だけど、今年6月、金曜日のフリー・プラクティス中に転倒して鎖骨を折ったが、その日のうちに手術をし、日曜日のレースを走って5位に入り世界中を驚かせた。

 公開されたレントゲン写真を見る限り、普通の人なら手術をしないケースかも知れなかったけど、8本のネジでプレートを止める術式だった。ぼくの場合は6本のネジと1本の糸で、4つに折れた骨の3つまでをくっつけた。ま、手術の大きさでいえば、ロレンソ選手に勝ったかな。

 手術後のレントゲン写真を見ると上手に大工仕事がなされていて、非常に美しいと感じたけど、外側は実に醜い。しかしこれもぼくの歴史の1ページなんだから、いつまでも顔を背けていられるわけもない。それに、消毒もせずガーゼも使わないという医学の進歩に感動したので、恐る恐る写真を撮ってみた。
 傷口には薄いフィルムが最初に貼られ、その上には更に薄いフィルムが貼られている。下のは傷の保護、上のは撥水の役割があるんじゃなかろうか。スケスケなのでスキン・ステイプラーが痛々しく輝き、まるでムカデが這っているように見える。

 術後1週間の明日は異常がないかどうかの診察日。問題が無ければ、抜糸はその1週間後となるはず。それまでバンドに締め上げられる苦痛に耐えないといけない。猫背矯正ギプスだと思って頑張るわけだが、大リーグ養成ギブスを装着された星飛雄馬に感情移入できるぞ!

胸を張って生きろって言われても

2013年10月28日 | 暮らしの落とし穴


「胸を張って生活しましょう」と、執刀医=主治医。うれしいこと言うてくれるじゃないの。時速5キロという低速、というか止まっているに近いシチュエーションで転ぶ失態に、世間を憚って生きていかねばならないと卑屈になっていたからね。
 のみならず、陶芸で椎間板ヘルニアを患ってこのかた、どうしても腰をかばうような姿勢になりがちで、猫背に拍車がかかっていた気がする。目には見えない重い十字架を背負って生きて来た気がする。

「いえ、そういった精神論ではなく、医学的に胸を張って生活して下さいという意味です」
 あらら、人間としての生き様を諭されているのかと思ったら、猫背は鎖骨に悪いという理由なんだとか。
「意識付けの意味もあってバンドを装着して生活して下さい。2週間くらいです」
 そういうわけでリュックサックの袋が無いようなバンドをされた。なんだか、遍路道を歩き始めたときに、知らない爺さんからリュックの背負い方を指導されたのを思い出すなぁ。

 いずれにしても、今の生活を続けることはできん、一度リセットする必要があるんじゃないか。そんな危機感を持っていたのでね、ちょうど良い転機と前向きに考えたらバンドで締められる苦しさも半減するかな。などと前向きに取り組んではいるけど、胸を張って生きるって、結構苦しいよ。

一人王様は空しい

2013年10月27日 | 暮らしの落とし穴


 月曜日に診察して火曜日の午前中に入院。水曜日に手術して土曜日に退院。予想通りの展開に不満はないけど、ぼくと同じ鎖骨骨折で同じオペを受けた青年はまだ入院している。しかもぼくより2日遅れて怪我をし、2日早く手術したはずなのに。それどころか、ぼくよりも軽傷で既に肩を自由に動かしているってのにだ。
 この扱いの差は、彼が良い患者だから。ぼくは悪い患者なわけだけど、病院にとって良い患者というのは、大きな声じゃ言えないけど、労災とかっていうケースね。

「先生、退院後はどういう生活を心がけたら良いのでしょう」
 退院の前日に、術後のレントゲンを見せてもらいながら聞いたところ、「王様のような生活をして下さい」とのこと。
「では、フライパン振ってチャーハンを作ったらいかんのですか」
「王様は自分でチャーハン作らんでしょ?」
 なるほどねぇ。だったら王様の主たる責務である「側室巡り」はどうなんだろうという疑問は湧いたものの、主治医には尋ねなかった。本妻もいないのに側室も無いもんだわな。アホな質問でもしようものなら、かえって自分が空しい思いをするだけだろう。

 重い物を持ってはいけない、肱が肩より上になる動作は禁忌、といわれてもねぇ、鎮痛剤で痛みを感じないと、ついついやってしまいそうになるよ。エグい傷口を見たら無理はできないなと思うだろうけど、「見ない方が良いんじゃない」なんて先生にいわれると……況んや撮影してブログにアップなどできん。
 傷口は10~15cmほどだと思うけど、それを縫っているのは糸じゃなくホッチキスのような金属針で、写真のようなスキン・ステイプラーという器具をカチャカチャ打って止めていく。「今は消毒はしないしガーゼも使いません。整形医は大工と同じ」と主治医はおっしゃるが、最近は楽になったんだねぇ。

 ともあれ、家に帰って一人王様生活を始めたわけだが、いつもと同じじゃないか。オレって王様だったのか! てっきり下僕とばかり思っていたけどねぇ、王様だったとは。
 ああしかしだ、一人エッチも空しいが、一人で王様やっていても空しいぞ!

鎖骨手術から回復して

2013年10月26日 | 暮らしの落とし穴
 生きて帰れるかな……という心配をするほど若くはないっていうか、様々なバカをしでかしてきた経験の為せる業か、「ちょっと海外旅行など」と関係各方面に気楽な連絡をしておいた。

 全身麻酔の手術といっても、島を出て海を渡った先の病院で4泊5日のバカンスを楽しむんだと考えたら、ノープロブレムだよな。ただ台風がいくつか近付いているので、村の保安は元自治会長さんにお願いして憂いの無いように入院した。

 入院した夕方から雨が降り始め、後で聞いたら村はすんでのところで床下浸水だったとか。ぼくはその頃、痛みは薄れはしたものの、ガクガクと折れた骨同士が擦れ合う違和感と抗っていた。
 
「鎖骨が折れたくらいなら、どうってこと無い」という意見は聞くけど、戦国時代に落馬してぼくのように鎖骨がばらばらになった武士はどうやって治療したんだろう。
「首から鎖骨に繋がっている筋が縮んでしまうので、このまま放置して折れた部分がくっつくことはありません」と主治医のいうように、武士としては戦えなかったろうね。

 手術をしてみると、ぼくの鎖骨は4つに折れていて、3つまではくっつけられたけど、残りの1つは「下手にいじると神経を傷つける恐れがあるので自然治癒に任せましょう」と妥協したらしい。

 台風が過ぎ去ると共に退院できたけど、鎖骨を保護するバンドは着けている。
「意識付けっていう意味はあるんですが」とドクターはいうけど、これが少なからず苦しい。他にも可動域を制限されていたり重い物を持ってはいけないらしい。具体的には、また明日。

祝 しまなみサイクリング2013

2013年10月21日 | 暮らしの落とし穴
 今朝の新聞によると、しまなみサイクリング2013の参加者は2500人だったとか。募集は3000人だったはずなので、悪天候によるキャンセルが500人あったということだろうか。
 気合いの入ったサイクリストだったら昨日程度の雨など、ものともせずに完走を目指したと思うから、恐れをなしたのはビギナーという見方もあるんだろうか。それでかどうか、追突などによる骨折や脱臼の事故は3件だったらしい。少なくて良かったね。

 御陰様でっていうか、ぼくは病院に受け入れられ、明日入院して明後日手術の運びとなった。安全走行を心がけて下さったサイクリスト様方、ありがとうございました。
 まあ、県知事が先頭を走ってペースメーカーを務めたら、当然の結果だろうか。県職員や県警、警備会社など、関係各方面は神経を使ったろうね、お疲れ様と申し上げたい。

 がしかし、来年の本大会は10000人の募集ということで、とんでもない事態が起きそうな気がする。今回は自分が怪我をしていなくても外出は自粛しようと考えていたけど、来年は四倍の自転車が来るんだよね。
 橋を渡るのがメインで、地道を走る自転車は少ないはずだけど、やっぱり地元民は緊張を強いられることになるだろう。それを腹立たしいと思わないといえば嘘になる。だったら自分がサイクリストになって本イベントに参加すればいいのか? オプションの一つと位置づけておこうか。

刺青から死臭か!

2013年10月20日 | 暮らしの落とし穴


 サイクリングしまなみ2013の本日はあいにくの小雨模様となり、濡れたブルーラインの上でサイクリストが滑るんじゃないかと心配でならない。
 主催する愛媛県サイドとしても小さな事故は想定内だろうけど、重大事故でも起きたらどうなるんだろう。たぶん来年の本大会が吹っ飛ぶのはもちろん、「しまなみ海道は自転車の聖地」なんてキャッチコピーも空しく響くことになるだろう。

 レースじゃないんだからしゃかりきになる人もいないだろうけど、トライアスロンに出るくらいスペシャルなサイクリストから、昨日今日自転車を買ったようなチャリンカーまで、いろんなレベルの人が混走する怖さってあると思う。
 頼むから事故らないでくれよ、と祈りつつ生中継を見ていたら、救急車のサイレンが遠くに聞こえるじゃないか!

 正直にいうけど、サイクリストの身を案じているというより、地元民の絡んだ事故が起きないことを願っている。いや、それも偽善か。確かにマナーの悪いサイクリストに悩まされている側面はあり、「この大会で地元民の怪我でもあったら許さん」という構えを見せている人もいるんだけど、ぼくの場合は違う。

 3000人が走るわけだから、路面コンディションのせいで1パーセントの人が転んだとして30人。そのうちの半分の人が救急車のお世話になったとしたら日曜日なのと医師不足で……ぼくの手術はどうなるんだ? 
 命に別状は無いし痛みも和らいできたから直ぐにどうこうはないけど、写真のように、あわや折れた骨が皮膚を突き破ろうかという怪我なので、腫れが引いて見ると、まるで入れ墨だね。

 洗面台の鏡に映して見ていると、なんか気のせいだろうか、皮膚の腐るような、死臭のような臭いがしてくるじゃないか。サイクリストの皆さん、お願いだから今日だけは事故らないで! 
 な~んて取り越し苦労はさておき、明日病院が受け入れてくれたら入院の運びとなるはず。いったいどうなることやら。

オペのたらい回しナゥ!

2013年10月19日 | 暮らしの落とし穴
 だめだ、手術を断られた! 手術そのものの困難さではなく、おっさんだと予後が悪い、ということらしい。意訳、もしくは邪推してみると、ネジやプレートに対して拒絶反応を起こし、骨形成が遅れると面倒」ということか。
 もっとも、表向きには「局所麻酔は痛いから全身麻酔の方が良いでしょ」と気遣ってのことらしいが、嫌なオペを無理強いするなんて、患者にできるわけないよな。

 あ~あ、最初から救急車を呼んで当番病院へ行けば良かった。なんて後の祭りを悔いても仕方ないが、休日をまたぐので3日も痛い目に遭わねばならない。
 それに休み明けになったからといって、紹介病院が受け入れてくれるかどうかも分からない。ベッドは空いていてもドクターがいない、というのがこのところの傾向。当番医はその点で良かったんだけど……これ以上はちょっと……。

鎖骨を折っちまった!

2013年10月18日 | 釣り船とバイク
 怪我なんかするはずの無いような転び方というか、どうして時速5キロくらいで転倒したんだろう。不思議に思いながらバイクを起こそうとしたけど、左肩が激しく痛んだ。ああっ、鎖骨が折れている!
 
 右手で左鎖骨の辺りを押してみると、骨がぐらぐらしている。これはもう間違いないと確信したけど、救急車を呼ぶかどうかで迷った末にバイク屋さんに助けを求めた。二人に来てもらって、一人にバイクを家に乗って帰ってもらわねばならないから。

 もう一人に整形クリニックまで送ってもらったんだけど、先生はレントゲンを撮るなり「やっぱり折れてるね、どこの病院に行きたい?」と、変に弾んだ声で聞く。どこっていわれても……安心の病院を紹介してくれとしか、ねぇ。

「三つに折れてるので、もしかしたら手術」てな調子なので心配になり、見立てが良いという評判の整形外科を指名させてもらった。ひびとかってレベルじゃなく、ぽっきりと折れているもんねぇ、酷く痛いし。
 それなのに湿布を貼って三角巾で腕を吊っただけ。「これで寝られるよ」とボルタレンを処方されたけど、動いたら骨が肉に立つ感覚が気持ち悪い。

 にしても、なんでコケた? その瞬間を反芻してみて理由が判明しそうだけど、今日はとりあえず寝ることに全力を傾注したい。