らんかみち

童話から老話まで

モッツァレラチーズの製造工程

2012年05月31日 | 酒、食
 モッツァレラ、あるいはモッツァレッラ、ともするとモツァレラとも表記されるフレッシュ・チーズを作ってみる。最も重要なのは低温殺菌牛乳とプレーンヨーグルトの鮮度であるらしい。温度管理も重要だが、最初の乳酸発酵時は34度以上40度以下ならそれほど厳密に管理できなくても良いらしい。ここでは2リットルの牛乳を湯煎し、25グラムのヨーグルトを種菌にして投入。



 1時間後に、10ccの水に0.5グラムの塩とレンネットを0.035グラムを溶き入れておいたものを牛乳に投入して更に1時間かけて発酵と凝固をさせると下のようになる。凝固したものはカードと呼ばれ、カードカッターなるもので1cm角くらいに切り刻む。といっても、絹ごし豆腐より軟らかい感じなのだが。



 カットしてかき混ぜ、10分ほどかけて40度まで温度を上げると、ホエー(乳清)と呼ばれるものが分離してくる。



 ホエーを取り去り(栄養価が高いので捨てるのはもったいないとはあるのだが)更に小皿のような重石を載せて水分を抜いていく。



 2時間かけてホエーを除いたら、漉し布に入れたまま80度のお湯に浸けながらまとめ、漉し布から取り出して捏ねる。



 ここまでは上手くいったが、最後の最後で失敗した。小さく千切りすぎたというのもあるが、冷やしながら丸くしようとしたため、温度が下がってくっつかなくなった。塩水に30分ほど浸してラップでくるんだのだが、塩辛いものになった。



 自分で作ったのだから、それなりに美味しかった、といえば我田引水に聞こえるかもしれないが、いや本当に美味しかったんだって。

モッツァレラチーズキットを使うのは

2012年05月30日 | 酒、食


 ただ今乾燥中のお窯ちゃんが焼き上がった暁には、真っ先にマルゲリータを焼いてみようと、畑でトマトとスイートバジルを育ている。ゆくゆくは小麦も自家栽培するとして、今回はモッツァレラチーズも手作りしてみようと思う。というのも、モッツァレラは100グラム300円と、カマンベールのように熟成させてもいないのに思いのほか高いのだ。

 スーパーで半額の牛乳を買ってきて作れば安上がりだろうと、写真のようモッツァレラチーズキットをWEBで買った。カードカッターくらいなら作れそうだけど、実は写真右上の茶色の小瓶に入っているレンネットという凝固剤を手に入れるためにキットを購入したといっていい。

 さて牛乳を買いましょうとキットに同梱の説明書を読むと「低温殺菌牛乳を使わないとカードが固まらない」とあるじゃないか。なんでも、レンネットで牛乳を固めるためには牛乳中のカルシウムイオンが必要で、高温殺菌した牛乳からはこのカルシウムイオンが無くなっているというのだ。

 まあいいだろう、低温殺菌牛乳なんてどこにでもあるし値段も少し高いだけだ、と思ってさがしたのだが、とんでもない思い違いだった。以前住んでいた関西方面ではどこのスーパーに行ってもあったように記憶しているが、今治市内のスーーパーを5、6軒ハシゴしてみたけど、たった1軒に置いてあったのみ。しかも値段は高温殺菌のより3割ほど高く、1リットル223円。

 甘かったなぁ、いや牛乳じゃなくて、安易に考えていた。1リットルの牛乳から作れるモッツァレラはおよそ100グラムなのだ。この時点で既に、製品を買った方が得策だとの結論に達してしまったではないか。
 行きがかり上モッツァレラ作りを中止するわけにはいかないが、今回の目論見は本末転倒だった。つまり、モッツァレラチーズを作りたければ、乳牛を飼うことから始めるべきなのである。

そば屋は廃業

2012年05月29日 | 暮らしの落とし穴
「惨劇の予測」というのは的中するとしたもので、「小窯ちゃんが機能したらNPOは分裂するだろう」との予言は、小窯ちゃんの完成を待たずして成就してしまった。

 喧嘩したってわけじゃないけど、あれやこれやと兵站線を伸ばしてしまったがゆえに、メンバーの思いと実際のベクトルとの乖離が大きくなってしまった。
 いや、ベクトルというものがそもそもなく、迷走したといって過言ではない。早い話が、皮相的なものだけで結果を表そうとしたため、根無し草になってしまったということ。

 ボランティアの賜である地場産そば粉は貶められ、もはや精神的にも物理的にも蕎麦を打つことが叶わない。ピザ打職人に場所を譲ったものの、いつまでたってもそんな職人は現れないどころか、また一人要人が足抜けしそうな気配だ。島おこしって初心、どこへ行ってしまったのやら……。

今夜はテキーラなんだが、ライムがね・・・

2012年05月28日 | 酒、食
 メキシコ産のライムが手に入ったので、こりゃもうテキーラを買うより無いだろう。しかしそうそう売っている酒ではないので、量販店を回って1500円のをゲット。
 巷ではサボテンから作ったアルコール度数の高い蒸留酒というイメージかもしれないが、原材料はサボテンじゃないしアルコール度数もウィスキーと変わらない。

 ちなみに、最もアルコール度数が高いのは「スピリタス」という名のヲッカだ。96度もあるので、そのまま飲むとえらいことになる。ロックにしてもお勧めはできないが、正味のアルコールを味わいたい向きや、女性を酔わせようと企むならカクテルにお勧めする。

 テキーラは香りが甘いので、石炭酸臭いスコッチが好きなぼくとしては距離を置きたい酒なのだが、たまには飲みたくなることもある。それに、日本で手に入らないだけで、ボトル一本で数十万円もするテキーラだって存在する。焼酎と同じで、安価なものがあるからといって決して品質の悪い酒ではない。

 しかしだ、問題はライムで、今日のもレモンの出来損ないみたいな香りだった。レモンの3倍以上も投資したというのに、これかい! 本場に行って本物のライムとテキーラをやってみたいもんだ。

クジラのコロって、なんだろう

2012年05月27日 | 酒、食


 コンビニからおでんが消えて久しいというのに、今夜はおでん。またもや夏炉冬扇のエラーに挑むのは、「太地名産くじらコロ(おでんにどうぞ…)」をいただいたから。しかしこれ、賞味期限が過ぎているぞ!

 コロといえば大阪の関東煮(かんとだき)では定番とされるが、どこのおでん屋でもいつでもあるというわけじゃない。見つけたら必ず食べていたが、臭みが鼻についてムッとなるケースもある。が、美味しいやつは病みつきになりそうなほどで、他に似たような食感のものを思い出すのが難しい。

 20代のころ関西に住んでいたから、ある日友だちとガイドブックを片手に老舗おでん屋の暖簾をくぐった。厨房を囲むように設置されたカウンターは常連客とおぼしき御仁たちで埋まっている。「ギボシでよろしいですか」と案内されたのは、橋の欄干にある丸くて装飾の施された柱が陣取る末席だった。

 目の前におでん鍋があり、真っ先にコロを注文したところ、「それはコロやおまへん、サエズリでんがな」と、注文を受け付けてくれない。仕方ないので、「それ二つ」と、郷に入って郷に従った。
 友だちが「スジをください」といったら、「それはスジやおまへん」とつれない返事が返ってくるだけ。
 牡蠣を注文してしまってから時価であることに気が付いたが、目の前には伝票代わりの木札がどんどん積まれる。
 たかがおでんを食うためになんでこんなに緊張せにゃならん! と、ほうほうの体でお愛想した。20年以上も前のことだが、それなりの値段だったと記憶している。

 で今宵のコロだが、昨日から水に浸しているのに油が抜けず、臭みもとれない。臭いというのはアルコールに溶けるものだから酒で炊けば良いんじゃないかと試してみたが、少しマシになったという程度。
 このままでは他のおでん種を汚染するんじゃないかと懸念しつつも、見切り発車。醤油のご利益か、はたまた味醂パワーのおかげか、絶品というほどではないが許せるものに仕上がった。

 例のおでん屋さんは4代目が亡くなって閉店したと聞いていたが、先ごろ5代目が復活させて人気も回復したらしい。しかもネットショップまで手がけているとは、時代が変われば変わるもんだ。
 新装成った今でもサエズリは人気らしいが、本日のコロとは違うものであることが分かった。気位の高いというか、高飛車な店員さんに叱られるような気分で食べたサエズリの味は思い出せないが、チャンスがあればまた食べに行ってみたいと思う。
 

野良猫の処遇は

2012年05月25日 | 暮らしの落とし穴
 年中というか、一生の大半を発情して過ごす人間と違って、猫は1年に2回繁殖するらしい。子どものころ野良猫と付き合っていたけど出産に立ち会ったことはないし、猫の赤ちゃんを育てたこともない。
 だから、おばちゃんに「猫のがうちの納屋で子どもを産んるんよ、どうしたらええ?」と聞かれても……オレに飼えっていってるのか? そんなの損長の仕事じゃねぇ~!

どうせ夏炉冬扇の人生さ

2012年05月24日 | 暮らしの落とし穴
 冷麺が店頭に並ぶ時候になって煮込みラーメンとはいかにも夏炉冬扇だが、美味しいよと、そそのかされて年末に買ったのをこしらえてみた。なぜかくも遅れたかというと、てっきりあの歌手の似顔絵が描かれているとばかり思っていたから。
 大嫌いというわけじゃないんだが、あの方の顔を思い浮かべながらすするラーメンに食指が動かなかった。しかし良く見たら、パーケージのどこにもあの顔は描かれていないじゃないか、よっしゃ!

 2人前とか4人前の作り方しか書いてないので、味を見ながら1人前の味噌スープを投入しようとしたところ、こ、この味わっ! あれだあれ、まつやさんの「とり野菜みそ」の味に酷似しているのだ。
 愛媛県というところは食に関して保守的なところで、サニーレタスを食べるようになったのだって、つい最近なのだ。この味が愛媛県で受けるんだったら、まつやさんは全国展開に打って出ても良いのではなかろうか。
 婚活やら何やらで忙しく、とり野菜みそのことを忘れていたけど、生協に提案してみるか。しかし夏場に向けてこれはなぁ、やっぱり夏炉冬扇の誹りを免れんかぁ……。

 ところで婚活の結果だけど、3組のご成婚という運びになったとか。10組、20人の参加者があって打率3割なら、こりゃ首位打者級の成果じゃなかろうか。「師匠」などといじられながら蕎麦打ちを教えた甲斐があろうってもんよ。
 こぼれ話みたいなのも耳に入ってきたけど、あからさまにするのも気が引けるので、たとえていうならこんな状況が生まれていたそうな。

「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。
 はじめより我はと思ひ上がりたまへる御かたがた、めざましきものにおとしめ嫉みたまふ。それより下の更衣たちは、ましてやすからず」

 フムフム、さもありなん。だけどぼくは気が付かなかったなぁ……いかんせん夏炉冬扇の男なもので……。
 

日本の夏、節電の夏

2012年05月23日 | 暮らしの落とし穴
 日本の原発が全て停止したのを受け、こりゃ本腰を入れて節電しないと、「ほれ見たことか、やっぱり原発は必要でしょ」と、原発再開派を勢いづかせるようなことになるな。
 原発での雇用ということを考えたら直ちに再開したいし、町の財政を原発からの税収とかに頼っているなら、存続の危機を迎えている自治体も多かろう。そこのところは理解できるけど、代替の雇用創出とか停止中の補助金といった議論は十分なされているのだろうか。

 今朝の新聞によると、電力会社の利益の7割は家庭用からだという。企業向けの電力は安く設定されているため、利益の3割を占めるだけらしい。
 知らなかったなぁ、てっきり大口の企業が電力会社を支えているものだとばかり思い込んでいた。一般家庭に節電させたくないわけだ。
 こうなったら自家発電も含めて嫌がらせのような節電に徹したくなるわけだが、我が家には電食い虫がいるんだよね。1年前に比べて倍の電気料金が発生する月もある。

 ソーラーパネルを設置している知り合いに電気料金の明細を見せてもらったら、先々月は中国電力に売電して利益を上げていた。
「電気使用料金より買い取り料金の方が高く設定されとるけん、好天の続いた月はこういうこともあるんよ」ということはつまり、一般家庭にソーラー発電が普及してしまうと電力会社は経営が成り立たなくなるってことか。

 自家発電といっても、うちはソーラーパネルを設置していないし、屋根がパネルの重さに耐えられるかどうかすら危うい。売電とかのことではなく、中国電力さんによる嫌がらせ停電があったとき(そんなことは無いと信じているが)せめて冷蔵庫くらいは動かしたいと思っている。
 ポータブルの発電機もあるにはあるが、古すぎて現行機種の半分程度しかない出力が泣き所か。

 電力会社は一般家庭に節電を促しているわけではないし、ましてや雇用とか自治体の税収を心配しているわけではない。一般家庭にソーラー発電が普及するのを恐れ、燃料の安価な原発を稼働させて目先の利益を上げたいだけだ。
 そんなことより、先日から何度も中国電力さんから電話をいただいている。それも同じ内容の違う担当者からで、更にいうなら文書で回答済だっての。自治会に関することなんだが、あんたらこそ速やかな仕事をして節電につなげてくれよ!

美味しく感じる酒器ってある

2012年05月22日 | 陶芸
 地元の陶芸家から丁寧な詫び状をいただいたのは 昨年のちょうど今時分だったろうか。それから半年して、お詫びしないといけないのは、ぼくの方だったと気が付いた。未遂に終わったけど、先生に恥をかかせたかもしれないのだ。

 お詫びにお伺いしたものやら、それとも古傷には触れない方が良いのかと悩んでいたけど、お伺いして良かった。わだかまりといったものは元より無いが、事の顛末をかいつまんで説明して分かり合えたと勝手に思っている。

 罪滅ぼしというわけじゃないが、先生の作品を買わせていただいた。ぐい飲みと題されてはいたけど、一目でぐい飲みでも湯飲みでもないと直感した。今これを書きながら飲んでいるんだけど、先生はお酒を召し上がらない方に違いない。



「茶を飲まない者は茶器を作るな、酒を飲まない者は酒器を作るな」という教えは、我が陶芸クラブのご意見番であらせられる要釉斎先生の口癖であるが、全くもってその通りだと再認識させられる。
 傲岸不遜であるがゆえに付き合いたくないアマチュア陶芸家のロクロ子先輩などは、自身が大酒飲みということもあって酒器を作らせたらポイントを心得ている。

「あたしの器をくれてやるから酒を飲んでみんかい、どんだけあたしが凄いか!」と、小銭を地べたにバラ播くような態度でくれた酒器で飲む酒は、口惜しいけど美味い。
「目をつぶって飲んだら酒の味にかわりはあるまい」といわれたらそうかもしれないが、一度不味いと思った酒器は、いくら使っても馴染めない。自分で酒器を作れるようになった今でも、実は理解できていない部分がある。

 今日買ったぐい飲みは「練り込み」という高度な技法で作られていて、決して安くはないのだが、これで酒を飲みたいとは思わない。精神的にも1年以上支払い続けた、高い授業料だったなぁ。


巧言令色、内なる暗黒

2012年05月21日 | 暮らしの落とし穴
 いつもよりは早起きしたんだけど、雲間からわずかに漏れてくる不完全金環食を数分観測できただけ。携帯で撮影してみたけど、明るすぎてだめだった。
 それにしても、黒いゴミ袋に頭をすっぽり入れて空を見上げている姿は、KKKみたいな異様さだったろうか、それともアホ丸出しだったろうか。

「まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真黒に腐っている」という、石川達三さんの小説「金環食」の冒頭の言葉を思い出しながら今朝の日食を観測した人も多かったはず。中学1年の頃に読んで、今年になって初めて映画を観たけど、現在でも鑑賞に耐えられる名作じゃなかろうか。

「金環食」は水力発電所の建設を巡っての政治家の汚職を扱っていたが、原発も似たようなものだろうか。大飯原発を再開するにあたって、政府が安全性を確認したというけど、本当かい! 
 地域の雇用や今夏に向けての電力事情を考慮しての決定ならまだ話は分かるけど、ウラン燃料を契約済みだとか原発の減価償却みたいなことじゃなかろうな。
 金環日食を撮影できなかったので、逃避しているっていうわけじゃ……いや、内側は自分でも分析できないけど、わりと黒ずんでいるのかも。