らんかみち

童話から老話まで

道徳家の人権侵害

2007年10月24日 | 社会
 ここまで来るともう笑ってしまいますよ、まだ早過ぎますって知事! と言いたくなります。何がって? それは道徳家になるってことがです。

藤田知事発言に非難の声(中国新聞) - goo ニュース

 実業家でもお笑い芸人でも、職業に関係なく人生を成功裏に終えようとする御仁はたいてい道徳家になるもんです。自分が今までどれほど悪辣なことをやって他人を蹴落として成り上がったとしても、過ぎてしまえばどんなことでも美化してしまうんでしょう。生まれた町に多額の寄付して自分の銅像を建ててもらうのもこの一環でしょうか。

 この知事も大変優れた性格をなさっているに違いないと思います。自分のことを棚にあげられるほど羞恥心に拘りが無いっていう、ぼくが日ごろより目ざしながら決して到達できそうに無い高みを60歳で既に踏破しているのです。きっと銅像も二つや三つは建っていそうです。

 知事の、「朝の3時ごろまで、盛り場でうろうろしている未成年もどうかと思うんでありますけれども、」っていう発言それだけを取り上げたら、ぼくだってもちろん賛同します。ですがそれに続いて、「米兵による暴行事件が起きました。誠に遺憾であり、強く抗議したい」って聞いたら、唖然となるんです。

 ぼくの住んでいる今治市は人権都市宣言をしているんだそうですが、いっぺん全国の知事を集めて人権教育して差し上げたらどうかと思うんですよ。例えば、国連に定められた世界人権宣言の第 29 条ですが、

「あなたには世の中を自分もいちばん自分らしく成長していける場所にしていくための義務があります。法律は人権を保障します。どんな人でも、ほかの人の権利や自由を尊重しなければなりません」

というのはどういう意味なのか、道徳教育と人権教育をごちゃ混ぜになさっている、広島県知事みたいな人こそ、世界人権宣言を深く理解できるようにして差し上げたいのです。