らんかみち

童話から老話まで

うちの亀田大毅もしおらしくなった

2007年10月20日 | 暮らしの落とし穴
 飼っている金魚の一匹が病気になったっぽいので薬を買いに行きました。金魚といっても金魚すくいの水槽で泳いでいるアレですから値打ちなどありません。そんなものに金を使うだけ無駄ですし、一夜干しにでもして食った方がよほどマシな行為だと客観的には思えます。

 かといって同じ淡水魚でもフナ寿司とか鯉のアライとかならいざ知らず、金魚など食ったところで腹の足しにもなりませんし、元々赤いだけのフナですから綺麗というのでもありません。どいつもこいつも役立たずな連中なのです。ですが、もう一年以上飼っているので情が移ってしまいました。

 どれも同じに見える没個性な赤いフナどもですが、毎日餌をやっているとだんだんとそれぞれを識別できるようになってきました。体の模様も成長につれて少しずつ違ってきたようですし、何より性格の違いが分かるようになってきて驚きます。

 ぼくの姿を見つけるや、水面に口を開けてパクパクやる食いしん坊とか、せっかく餌をまいても少ししか分け前にあずかれないどんくさいやつとか、元々片目がが無いやつはもちろん、今回病気になったやつだって可愛いもんです。

 しかし問題なのは二つある水槽の小さい方で一匹のいじめっ子が他の二匹を追い回して困ることです。なので病気のやつを隔離するための水槽をもう一つ用意したついでにクラス替えをしてやりました。そしたらいじめっ子のやつ、大きな水槽の中でその他大勢の一匹になり、すっかり大人しくなってしまいました。

「お前なあ、亀田大毅やあるまいし、さっきまでの威勢はどないなったんや?」
 などといじめっ子だった金魚に話しかけて、ちょっと可哀想に思ったりするんですが、ああいうやつって喉元過ぎてほとぼりが冷めると、また偉そうにやると相場は決まってるんです。同情は彼らにとって火に油にはなっても、薬になることは稀です。