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酒井嘉也自選展(26日まで)

2006年02月24日 16時43分39秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 後志管内倶知安町在住のベテラン画家(三軌会会員)酒井嘉也さん(82)が、戦中の「船見坂」からことしの新作「緑雨」まで大小の油彩約75点によるかなり大がかりな、見ごたえのある回顧展をひらいています。
 酒井さんは、道内画壇の大御所だった故國松登さんに絵を習いました。第1回から14年ほどは全道展にも出品しています。
 戦後すぐに、冬山を描いた「朔北早春」は、物資のない時代で、グライダー用の布をカンバス代わりに使い、シッカロールから絵の具を自作して描いたそうです。馬橇が通る中央の急坂は現在の国道。北国らしいたたずまいです。
 50年代には「鳥篭」の連作など、ややキュビスムを意識したような作品もあり、寒色主体の色合いには國松さんの影響が感じられないでもありませんが、ほかは、石切り場を題材に画面を構築した作品や、おだやかな色調で海外の風景を描いた小品など、師匠の画風は感じさせません。
 80年代には「カタコンベ」など、モティーフは地下の積み上がった石室なのでしょうが、一見すると暖色の矩形を組み合わせた抽象画のような絵もあります。
 80年代以降の100号クラスの作品は、縦長のものが多く、縦の中央線に要素を集めて配置したスタティックな、きれいに整理された構図が目立ちます。なかでも「夜」は、月とバイオリンを、深緑系の色だけで描いた、或る意味で大胆で、幻想味あふれる作品です。
 小品には、夫人の肖像画や静物画などがあり、優しい視線を感じました。

2月21日(火)-26日(日) 10:00-19:00
ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル 地図A


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2 コメント

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代用布 (エゾ三毛猫)
2006-02-24 22:05:06
グライダーの翼に使う布をキャンバスにして

作品を描いたのですか。

やっぱり通常のキャンバスって高い?



高校生の頃(もう20年前?)、当時演劇部が

ヨットの帆布を背景に見立ててセットを作りました。

ライティングで陽の陰りを見事に映し出し、

布に埋め込まれた点球が星空として輝き出す

ラストは今でも鮮やかに思い出します。



当時演劇部の顧問だった菅村先生は(国語担任)、

教鞭を振るう一方でHBC放映のテレビドラマで

エキストラとして出演されていました。



そうだ在学中に、演劇部は全国優勝したんだ。

ちょっとノスタルジー、日曜日大通りGいきます。

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キャンバス (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2006-02-25 11:58:40
 高いとか安いとかという問題ではなくて、モノ不足の時代で、手に入らなかったのではないかと。
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