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■宮崎むつ展 (2024年9月3~15日、札幌)

2024年09月10日 07時23分00秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 北海道新聞9月7日付朝刊に以下の文章を発表しました(ウェブ版はこちら)。

<展覧会>宮崎むつ展 線が生む自在で深い境地:北海道新聞デジタル

1980年代からさまざまな美術家が粒よりの個展を開いてきた札幌のギャラリーミヤシタ。2022年の閉廊以降、発表をしていない作り手も多い。どんな空間にどう作品を並べるかは...

北海道新聞デジタル



 1980年代からさまざまな美術家が粒よりの個展を開いてきた札幌のギャラリーミヤシタ。2022年の閉廊以降、発表をしていない作り手も多い。どんな空間にどう作品を並べるかは、私たち見る側が想像する以上に、作る側にとって重要なことなのだろう。

 宮崎は道教育大の特設美術課程(特美)を1969年に卒業した札幌の画家。ここ30年ほどはミヤシタで3年に1度個展を開いてきた。身近な草花などから着想を得て、細かな線を主体とした抽象画を地道に制作してきた宮崎の作品は、古民家を改修した「ミヤシタ」の空間によくなじんでいた。今回の個展は、作家にとって初となるレタラスペース。大きなガラス窓から日が差し込む明るい雰囲気で作品を引き立てている。

 「庭のおしゃべり」など近作8点を展示した。「庭からの響き」は4枚組。ボールペンで大小の円などを描いた上から油絵の具を重ねていくという、綿密な作業により作られる画面は、各S10号という大きさからは想像できない広がりと深みをたたえている。最後に、初めて用いたというアクリル絵の具で、小さな花と、茎のような白い点線を走らせた。宮崎の絵画に具象的なモチーフが描かれるのは久しぶりだが、強い色の線の導入は画面を効果的に引き締め、画家も「自由な線を描いていたら楽しくなった」と顔をほころばせる。

 細かな線の集積は、身の回りのささやかな自然を対象化するのはもちろんだが、それ以上に、自己の内面と向き合い、そこに降りていく行為の集積でもあっただろう。今個展で登場した白い線の軽快さは、作者が到達した画境の深まりと自在さをうかがわせ、静かな感動を呼ぶ。

 15日まで。レタラスペースは札幌市中央区北1西28。







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宮崎むつ展 (2002、画像なし)





・地下鉄東西線「円山公園駅」2番出口、円山公園駅バスターミナルから、約420メートル、徒歩6分
・地下鉄東西線「西28丁目駅」3番出口から約510メートル、徒歩7分

・中央バス、ジェイ・アール北海道バス「円山第一鳥居」から約690メートル、徒歩9分


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