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■谷口能隆写真展「Dead End / 十間坂」 (2018年1月9~14日、札幌)

2018年01月11日 22時20分06秒 | 展覧会の紹介-写真
 正方形のモノクロ写真およそ40点。
 これまでパリの街路などを美しいモノクロプリントで切りとってきた札幌の谷口能隆さんですが、今回は小樽・手宮地区の坂という、ずいぶんとピンポイントのテーマ設定です。




 十間坂は、手宮市場の横から「荒巻山」のほうに上り、頂上の手前で行き止まりになっている坂です。
 会場の説明文によると、小樽市は荒巻山を越えて色内地区と結ぶ道路を計画していましたが、買い物客の流出を恐れる手宮地区の根強い反対で、今日まで開通していないとのこと。
 ちなみに、札幌時計台ギャラリーのオーナーにしてSF作家の荒巻義雄さんの先祖の関係でこの名がついています。

(テキストの全文は、ニコンイメージングのサイトに載っています。「近年、住民の高齢化や世代交代による商店の廃業、建物の老朽化に伴う廃屋・倒壊が加速化している。この坂のこうした歴史的な流れ・変遷は、今日の国内のみならず世界的に見られる保護主義的な世相の結末とオーバーラップする」という問題意識が目を引きます)

 たしかに地図では、十間坂から道なりに線を引くと「本通り」につながります。
 市内を走る中央バスの基幹路線は、本通りからいったん海側に迂回して手宮方面へと走っているので、十間坂が色内側に開削されていれば、便利だったと思います。

 写真展は、小樽らしいレトロな街並みはもちろん、祭りに集う人々、坂道に捨てられたごみまでを含む、多角的な視点で、坂をとらえています。
 雪の重みでつぶれた木造家屋などもとらえており、単なるノスタルジックな写真展とは一線を画しています。


 個人的に思ったこと。
 これは、ヤバい!

 自分は小樽の街並みが大好きです。これほどまでに郷愁をかきたてられる街は、ほかにありません。
 古い木造家屋が雪の中にいくつも並んでいる光景がいつ行っても見られるものだ―と、勝手に思い込んでいるところがありました。
 しかし、今回の写真展を見て危機意識にかられました。当たり前の話ですが、小樽といえども、古い建物はほうっておくとどんどん姿を消していくのです。
 これは早いうちに手宮へ足を運ばなくては…。そういう意味での「ヤバイ」であり「危機意識」というわけです。


2018年1月9日(火)~14日(日)午前10時~午後7時
コンチネンタルギャラリー(札幌市中央区南1西11 コンチネンタルビル地下=北洋銀行のあるビルです)

□ Yoshitaka Taniguchi official web - Y's photo space http://www.photospace.info/

■谷口能隆写真展 「Paris & Prague」 http://blog.goo.ne.jp/h-art_2005/e/f7bb341eee2101f677e6e0dcf93ad8d9 (2010)
さっぽろフォトステージPart2 (2009年12月)
谷口能隆写真展「Paris」(2008年)





・地下鉄東西線「西11丁目駅」2番出口から約50メートル、徒歩1分
・市電「中央区役所前」からすぐ

・じょうてつバス、ジェイアール北海道バス「西11丁目駅前」から約50~250メートル、徒歩1~4分

・中央バス、ジェイアール北海道バス「北1条西12丁目」から約490~570メートル、徒歩7分
(手稲、小樽方面行きのバス全便が止まります。都市間高速バスも利用できます)


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