必見、いや、必聴? の展覧会。
大黒さんは札幌のサウンドメディアアーティスト。1984年生まれ。
「国内外で音楽製作を行い、映像や空間のサウンドデザイン、サウンドスケープ、音と人間の相互関係をデザインするコミュニケーションツール、音の分析解析によって生み出すメディアアート作品などを製作」
と、プロフィルにある。
フライヤーはピンク色だが、個展会場から受ける印象はモノトーンである。
会場に設置された3種類のインスタレーションは、音響を視覚化することを試みた興味深い作品だった。
フライヤーの裏側には、次のように書かれている。
展示されているのは、「Sound sharow」が会場の四隅に1点ずつ。
高さ数十センチの細い台の上に円形の小さな鏡がのせられ、音により台が振動すると鏡もふるえて、壁に反射する光もぶるぶると揺れる仕組みになっている。
「phas +/-」という2点組みの作品は、上で「特殊なスピーカーを用いて空間内で音の線を作り出す」と説明されているものと思われる。
天井から極細の糸で黒い円がつり下げられており、その糸が小刻みにふるえる。
最大の作品は「sonic line」。
黒い板が宙に浮かぶように設置されている。
板の下からは配線がいくつも出ているので、ウルトラマンに出てくるビラ星人みたいにも見える。
板には指向性の非常に強いスピーカーが仕込んであるらしく、空調でゆっくりと回転すると、ときおりその方向から川のせせらぎや虫の声、鳥の鳴き声がはっきり聞こえ、またすぐに聞こえなくなる。
筆者はアンビエントミュージックには疎いのだが、川の音を耳にしてまず思い出すのが、英国発祥のロックバンド、Yes(イエス)の“Close To The Edge”(邦題「危機」)のイントロである。
まずロック史に残る傑作盤なのはまちがいないが、いわゆるアンビエントミュージックではないので、すぐにドラムやギターが入って、18分後の曲のおしまいになるまで、自然音は聞こえてこない。
ほかにも、The KLFとかThe Art of Noiseとか、この文脈で語りたい話はいろいろあるけれど、それはまた別の機会に。
話を戻すと、昔ボイラー室だった、大都市の中心にある無機質な地下室で、自然のさえずりが新鮮に聞こえるのは言うまでもない。
たぶん、その落差があまりに大きいからだろう。
もともとわたしたちにとってあまりに親しかったはずの、しかしいまでは都会人にとって縁遠くなってしまった数々の音を浴びるようにききながら、現代アートというものは、都市と自然の落差みたいな場所に発生するのかも-と、漠然と考えていた筆者であった。
2010年3月6日(土)-20日(土)午後1:00-11:00 日曜・祝日休み
CAI02(中央区大通西5 昭和ビル地下2階 地図B)
□www.junichioguro.com
大黒さんは札幌のサウンドメディアアーティスト。1984年生まれ。
「国内外で音楽製作を行い、映像や空間のサウンドデザイン、サウンドスケープ、音と人間の相互関係をデザインするコミュニケーションツール、音の分析解析によって生み出すメディアアート作品などを製作」
と、プロフィルにある。
フライヤーはピンク色だが、個展会場から受ける印象はモノトーンである。
会場に設置された3種類のインスタレーションは、音響を視覚化することを試みた興味深い作品だった。
フライヤーの裏側には、次のように書かれている。
「耳で見る」
音は空間を生み、そして時間を作り出す。
空間を音で彫刻すると、見えない価値観が浮かび上がる。
今回のわたしの作品は特殊なスピーカーを用いて空間内で音の線を作り出すことや、
聞こえない振動音を目に見えるカタチにすることによって、空間と音の関係性を構築して
音風景(サウンドスケープ)やアンビエントと呼ばれる音楽の表現としても展開している。(以下略)
展示されているのは、「Sound sharow」が会場の四隅に1点ずつ。
高さ数十センチの細い台の上に円形の小さな鏡がのせられ、音により台が振動すると鏡もふるえて、壁に反射する光もぶるぶると揺れる仕組みになっている。
「phas +/-」という2点組みの作品は、上で「特殊なスピーカーを用いて空間内で音の線を作り出す」と説明されているものと思われる。
天井から極細の糸で黒い円がつり下げられており、その糸が小刻みにふるえる。
最大の作品は「sonic line」。
黒い板が宙に浮かぶように設置されている。
板の下からは配線がいくつも出ているので、ウルトラマンに出てくるビラ星人みたいにも見える。
板には指向性の非常に強いスピーカーが仕込んであるらしく、空調でゆっくりと回転すると、ときおりその方向から川のせせらぎや虫の声、鳥の鳴き声がはっきり聞こえ、またすぐに聞こえなくなる。
筆者はアンビエントミュージックには疎いのだが、川の音を耳にしてまず思い出すのが、英国発祥のロックバンド、Yes(イエス)の“Close To The Edge”(邦題「危機」)のイントロである。
まずロック史に残る傑作盤なのはまちがいないが、いわゆるアンビエントミュージックではないので、すぐにドラムやギターが入って、18分後の曲のおしまいになるまで、自然音は聞こえてこない。
ほかにも、The KLFとかThe Art of Noiseとか、この文脈で語りたい話はいろいろあるけれど、それはまた別の機会に。
話を戻すと、昔ボイラー室だった、大都市の中心にある無機質な地下室で、自然のさえずりが新鮮に聞こえるのは言うまでもない。
たぶん、その落差があまりに大きいからだろう。
もともとわたしたちにとってあまりに親しかったはずの、しかしいまでは都会人にとって縁遠くなってしまった数々の音を浴びるようにききながら、現代アートというものは、都市と自然の落差みたいな場所に発生するのかも-と、漠然と考えていた筆者であった。
2010年3月6日(土)-20日(土)午後1:00-11:00 日曜・祝日休み
CAI02(中央区大通西5 昭和ビル地下2階 地図B)
□www.junichioguro.com