北海道美術ネット別館

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「挽歌」:本と出会う日(1)-2009年11月28日

2009年11月28日 23時34分40秒 | つれづれ日録
 結局、27日夜は、北海道美術ネット(いわゆる本館)の表紙の更新に午前3時までかかってしまった。

 28日は朝9時に家を出発して、新さっぽろギャラリーの小笠原み蔵さんの木彫展を見に行くつもりであったが、寝坊。
 老人が連日のハードスケジュールに耐えられるわけがない(と言い訳)。

 行きのバスでも、なんだかくたびれていて、持参した新聞を読む気がしない。

 HOKUSEN ギャラリーivory、gallery new starをへて、FAB CAFEの2階にある「十一月」へ。
 古ぼけた階段に本棚が置かれ、300円均一の古本がならんでいる。
 その中に、原田康子「挽歌ばんか」(東書房版)があった。

 原田康子さんはことし10月20日亡くなった小説家である。
 「挽歌」は、初期の代表作で、1956年に出版され、70万部を超えるベストセラーになった。
 
 いまでも文庫本で読むことができるが、最初の版である東書房版は、意外と古書店の店頭で見ることは少ない。

 筆者は、生前の原田さんにお会いしたのは2度ほどしかないし、「挽歌」のほかに読んだ本も数冊しかないので、あれこれ語る資格を持ち合わせていない。
 ただ、故三浦綾子さんとならび、道内在住の女性小説家を代表する存在でありつづけたことは、まちがいない。

 最後のページに、刊行当時の原田さんの写真が載っていた。
 幣舞ぬさまい橋を見下ろす公園に、コートのえりを立ててたたずんでいる。
 さびしげな風貌と風景が、旅情をさそう。

 ちなみに、ほぼおなじ場所には現在、中江紀洋さんの彫刻「地殻交信機」が設置されている


 本を買い、十一月の中で、いとうみなこさんの写真展を見る。
 どこかの炭鉱跡(明示されていない)の、銭湯の廃墟などを撮ったカラー写真が展示されていた。
 おそらく初冬。夕張だろうか。
 会場にふさわしい、廃墟っぽさを強調するのではない、静かなたたずまいの作品だった。


この項続く


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