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■春陽会道作家展(絵画部)=12月1日で終了

2007年12月18日 20時21分01秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 春陽会は全国規模の、歴史の古い有力公募展で、絵画部と版画部があります。
 版画部にも道内に多くの会員、出品者がいますが、毎年道内の関係者が作品を持ち寄って、札幌時計台ギャラリーで展覧会をひらいているのは絵画部です。
 以前は1月に「道作家展」をひらいていましたが、2006年から11月に繰り上げられました(そのため、同年は1月と11月の2度開催しています)。

 筆者は今回あまりゆっくりと見ることができませんでした。
 個人的に興味の持てる作品はC室に集中していました。
 これは、ベテラン会員の絵がC室にあつめられていたことも理由だと思います。

 八木伸子さん「高原にて」は、ますます東洋的な閑寂さを漂わせつつ、画肌などはしっかりと洋画であるところがおもしろく感じました。
 谷口一芳さん「夢想」は、とても喜寿を迎えるとは思えない想像力のはばたきに脱帽です。
 宮西詔路さんは、いつものとおりの「馬」。モティーフは溶解しかかって、抽象画のようです。
 安田完さん「漂」は、縄でしばられたイエス(?)の像。安田さんの絵は夾雑物をそぎ落としていっそうシンプルになり、しかもユーモアと深刻さが同居しているようです。
 折登朱実さん「春を満たしに」。白やグレーで茫漠とした風景を描く折登さんですが、画面にこれほど多くの人が登場しているのは、めずらしいのではないでしょうか。そのためか、いつもより画面がうきうきしているような雰囲気さえただよいます。

 これは、雑ぱくに過ぎる印象なので、話半分で聞いてほしいのですが、安田完さんの昔の作品をふくめ公募展の絵画の大半は、二紀も独立も行動も国展も、マニエリスム的というか、たくさん描き込む方向に向かっているという気がしてなりません。そのなかで、ここにあるベテラン諸氏の絵のような、春陽(と自由美術)の一部だけが、簡素な画面を志向しているように思うのです。


 会員ではいちばんあたらしい崎山かずこさんの絵もC室に展示されていたと記憶しています。
 C室では、平間文子さん(会友)の「風に舞う花びら」も意図が明快で、好感を抱きました。

 このほかの部屋では、新出リヱ子さんや居島美恵子さんが例年のとおり、力作を発表していました。佐藤史奈さんも、題材は流氷の漂う青い海で、以前と変わらないのですが、構図はだいぶ整理されてきていると思いました。
 奥山哲三さんの絵に、会場を訪れた人の注目が集まっていました。奥山さんはひさしく、高文連の支部展に30号程度を出すぐらいで、ほかに目立った出品がなかったので、いざ本気を出すとすごいですね。もう50歳になる方だと思いますが、すっきりした画面処理のため「若手」に見られるのかもしれません。


07年11月27日(月)-12月1日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A


□春陽会サイト http://www.shunyo-kai.or.jp/

06年の春陽会道作家展
04年
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折登朱実展(07年9月)
折登朱実展(04年)


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