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秋山祐徳太子さんと「泡沫桀人列伝 知られざる超前衛」

2020年04月04日 18時01分35秒 | 新聞などのニュースから
 ポップハプニングと称して1960~70年代の現代美術界で活躍し、ブリキの彫刻や、東京都知事選への2度にわたる出馬で知られる秋山祐徳太子さんが死去しました。

 秋山さんは北海道出身ではないのですが、再三、札幌にいらしています。
 たとえば、2012年に阿部典英さんの大規模な個展が道立近代美術館で開かれた際にはトークショーで来ているほか、かつて札幌の西屯田通にあった「アトリエムラ・ギャラリー」でも阿部典英さんとトークを行っています。
 2014年、Gallery Retara での「札幌現代アート交流展」にも参加しています。
 2007年に、財政破綻に直面した夕張市を元気づけようと開かれた Finish and Begin 夕張市美術館の軌跡1979-2007、明日へ では、例の「ダリコ」のシャツを着たご本人の写真に
「走れ! 夕張、大逆転!」
とサインしたものを出品していました。
(ちなみに、冒頭の画像は、東京駅のステーションギャラリーで開かれた「パロディ、二重の声」の会場で撮影したもの)
 そういう事情で、道内でも会ったことのある関係者は少なくないと思います(筆者は一度もありませんが。あ、関係者じゃないか)。

 筆者にとって、秋山祐徳太子さんといえば、「泡沫桀人列伝 知られざる超前衛」という本の著者です(2002年の筆者の感想はこちら→ http://www5b.biglobe.ne.jp/~artnorth/subbooks02b.htm )。
 アートに関する本で、これほど笑える書物には、いまだ出合ったことがありません
 全裸でギャラリーにたっていたり、自分の結婚式でウンコを掲げて神社を走り回ったり、ヘンな(ほめ言葉)前衛アーティストが50人紹介されています。秋山さんはバカにしているのではなく、自らも都知事選の「泡沫」候補であったこともあって、愛情をこめてそのはちゃめちゃぶりをつづっているのです。

 この本に、道産子の画家がひとり登場します。
 苫小牧の故池本良三さんで、秋山さんとはムサビの自治会活動で一緒だったらしく、北海道出身ということで「マサカリでクマを退治した」といううわさがたったとか、砂川闘争や警職法反対闘争などでともに頑張った(1950年代は学生運動が盛んな時代でした)というエピソードが掲載されています。
 もし古書店や図書館で見つけたら手にとってほしいです。


 ご冥福をお祈りいたします。

 最後に共同通信が配信した記事を引いておきます。

 秋山 祐徳太子さん(あきやま・ゆうとくたいし=現代美術家、本名秋山祐徳=あきやま・すけのり)3日午前11時18分、老衰のため神奈川県座間市の病院で死去、85歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行う。喪主はいとこ佐藤正(さとう・ただし)さん。

 60年、武蔵野美術学校(現武蔵野美術大)彫刻科を卒業。キャラメル「グリコ」の箱に描かれたランナーの格好で街を疾走する「ダリコ」など、ポップハプニング(行為芸術)と称するパフォーマンスを展開した。

 政治のポップアート化を目指し、75年と79年の東京都知事選に立候補した。著書に「恥の美学」「ブリキ男」「通俗的芸術論」など。


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