■藤倉英幸と旅のイメージ （3月22日まで）

　藤倉英幸さんといえば、JR北海道の車内誌（特急列車に乗ったら座席の背のポケットに入っていて無料で持ち帰りできる雑誌）の表紙でおなじみの切り絵作家。
　今回の展示は、藤倉さんの表紙絵の原画はもちろん、くだんの広報誌に登場する人たちの写真やイラスト、JR発足当時の旅行ポスター、さらには、北海道の旅のイメージの源流ともいえるグラフィックデザイナーの大御所、栗谷川健一の作品も展示しており、JRの関係者と鉄道ファンが見たら泣いて喜ぶのは確実といえそうな内容だ。
　いったいに、道立文学館の特別展は、「えっ、これで終わり？」と、金返せーとおもわずさけびたくなるものと、「わー、こんなにあるんだ」というてんこ盛り展覧会に二分されるような気がするが、今回は、まちがいなく後者です。
　もう一度書くね。

　鉄は、必見！

　前にも書いたけど、藤倉さんの絵を見てると
「プロの仕事だな～」
とつくづく感服する。
　原画は横位置のこともあるので、車内誌の表紙にする際には大きくトリミングするのだが、それでも構図が破綻はたんしないのは、すごい。
　また、雑誌の表紙という性格から、文字が入るためのスペースも必要という制約もある。

　それらをクリアして、誰にでも親しまれる平明でやさしい画面を毎月作りだしているのだなあ。

　展示会場は、原画を2段がけし、その真上の天井附近に、掲載された車内誌「THE JR HOKKAIDO」を斜めに傾けて貼っているので、にぎやかな雰囲気でいっぱいだ。

　藤倉さんのほか、名エッセイスト堀淳一さんの二眼レフカメラによる風景写真、小檜山博さんの直筆原稿用紙、ズウさんの愛称で知られる渡邊俊博さんの原画、「時の旅人」シリーズの写真家藤泰人たいとさんや、「忘れがたき駅前ふるさと」シリーズが、それこそ忘れがたい飯塚達央さんのモノクロ写真などもあり、とにかく見どころに事欠かない展覧会である。

　そうそう、中村善策が原画を描いた秋田県の観光ポスター、なんていうめずらしいものもあった。


2010年1月30日(土)－3月22日(月)午前9：30－午後5：00（入場は30分前まで）　原則月曜休み
道立文学館(中央区中島公園)

4月16日（金）－6月9日（水）道立帯広美術館、9月11日（土）－10月11日（月）網走市立美術館に巡回

□Northland Wind　～北海道の風～　藤倉英幸さんのサポーターズ・ホームページ（オフィシャル）

■藤倉英幸はり絵新作展　あの日、見た風景たちへ （2009年5月）
■藤倉英幸新作展　時にたたずんで （2007年）



・地下鉄南北線「中島公園」駅の3番出口から徒歩5分
・同「幌平橋」駅から徒歩7分
・中央バス、ジェイアール北海道バス「中島公園入口」から徒歩4分
・市電「中島公園通」から徒歩8分