佐野さんの絵は、ことしの道展でも見た。
今回の個展にも出品されていた「絹糸の夜を紡ぐ」という作品だ。
だけど、そのときは、正直なところ、それほど強い印象は残らなかった。
むしろ、人間の描き方が中途半端なように感じられた。
今回の個展は、ギャラリーでは初めてのもので、ちょっとした回顧展のようになっている。
全体を見て、この絵はいわゆる人物画ではなくて、いろいろな色が飛び散っている背景も含めて佐野さんは描きたかったんじゃないだろうか、という気がしてきた。それなら、あの絵も納得できる。
1枚だけを見ると、やはり人物に視線が行って、背景にはほとんど視線がいかなくなる。
でも、佐野さんの意図は、背景の色も含めた、全体的な感じとか雰囲気なんだろうと思った。
その意味では、筆者の一番好きな作品は、2002年の「夜言夢言(よごとゆめごと)」だ。
縦位置の大作。女性がふたり。ひとりは画面の上方に横たわり、もうひとりはやや右側に立っている。白いワンピースのようなものを着ている。
これだけでは構図が不安定だと思ったのか、左側にフクロウのようなものが描かれている。
しかし、この絵の魅力は、全面に満ちる多様な色彩だ。青、赤、紫…。或る色はしぶきとなり、また別の色は垂れ落ちる。
さまざまな色が氾濫して、ちょっと見には、青木繁の絵がゴージャスになったかのようなのだ。
04年「夜の扉」のあたりはほぼ抽象画。
このへんの絵は、4プラホールで見た。
さまざまな青が入り乱れ、不思議な深みのある画面がつくられている。
「感じ」という視点で見ると、小品だけど、ことしの「Green Oasis」は興味深い。
今夏のライジングサンロックフェスティバルへ行った筆者はすぐにピンと来た。こういう名の演奏会場が、会場の一角にあったのだ。
佐野さんは、Green Oasisを、リアルに描いているのではない。かといって、抽象的にしたりデフォルメしたりしているのでもない。
ここに描かれているのは、まさに「それらしい雰囲気」「なんとなくの感じ」なのだ。
あそこでロックに酔っていた筆者にはそれがすごくよくわかるのだ。
どうやら、Sleepy.abのステージの時、彼女もそこにいたらしい。
あと、やはり新作で「夜のカケラ」も興味深い抽象画だった。
3点組なのに、左端の1点だけがちょっと大きいのはどうしてだろう。
そういう視点で見ていくと、あまり人物がはっきりと大きく描かれているものは、むしろ佐野さんらしくないのかなあと思ってしまった。
07年11月14日(水)-25日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)、火曜休み
茶廊法邑(東区本町1の1)
□Taeko展(佐野さんのサイト) http://taekopage.at.infoseek.co.jp/
■佐野妙子 富樫はるか二人展(06年)
■panorama展(03年、画像なし)
今回の個展にも出品されていた「絹糸の夜を紡ぐ」という作品だ。
だけど、そのときは、正直なところ、それほど強い印象は残らなかった。
むしろ、人間の描き方が中途半端なように感じられた。
今回の個展は、ギャラリーでは初めてのもので、ちょっとした回顧展のようになっている。
全体を見て、この絵はいわゆる人物画ではなくて、いろいろな色が飛び散っている背景も含めて佐野さんは描きたかったんじゃないだろうか、という気がしてきた。それなら、あの絵も納得できる。
1枚だけを見ると、やはり人物に視線が行って、背景にはほとんど視線がいかなくなる。
でも、佐野さんの意図は、背景の色も含めた、全体的な感じとか雰囲気なんだろうと思った。
その意味では、筆者の一番好きな作品は、2002年の「夜言夢言(よごとゆめごと)」だ。
縦位置の大作。女性がふたり。ひとりは画面の上方に横たわり、もうひとりはやや右側に立っている。白いワンピースのようなものを着ている。
これだけでは構図が不安定だと思ったのか、左側にフクロウのようなものが描かれている。
しかし、この絵の魅力は、全面に満ちる多様な色彩だ。青、赤、紫…。或る色はしぶきとなり、また別の色は垂れ落ちる。
さまざまな色が氾濫して、ちょっと見には、青木繁の絵がゴージャスになったかのようなのだ。
04年「夜の扉」のあたりはほぼ抽象画。
このへんの絵は、4プラホールで見た。
さまざまな青が入り乱れ、不思議な深みのある画面がつくられている。
「感じ」という視点で見ると、小品だけど、ことしの「Green Oasis」は興味深い。
今夏のライジングサンロックフェスティバルへ行った筆者はすぐにピンと来た。こういう名の演奏会場が、会場の一角にあったのだ。
佐野さんは、Green Oasisを、リアルに描いているのではない。かといって、抽象的にしたりデフォルメしたりしているのでもない。
ここに描かれているのは、まさに「それらしい雰囲気」「なんとなくの感じ」なのだ。
あそこでロックに酔っていた筆者にはそれがすごくよくわかるのだ。
どうやら、Sleepy.abのステージの時、彼女もそこにいたらしい。
あと、やはり新作で「夜のカケラ」も興味深い抽象画だった。
3点組なのに、左端の1点だけがちょっと大きいのはどうしてだろう。
そういう視点で見ていくと、あまり人物がはっきりと大きく描かれているものは、むしろ佐野さんらしくないのかなあと思ってしまった。
07年11月14日(水)-25日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)、火曜休み
茶廊法邑(東区本町1の1)
□Taeko展(佐野さんのサイト) http://taekopage.at.infoseek.co.jp/
■佐野妙子 富樫はるか二人展(06年)
■panorama展(03年、画像なし)
私って話しかけづらいですか?
小心者なので話しかけられるのを待っていたらいつのまにか帰られていてちょっと凹みました..。
ヤナイさんの書いているように私の中では人物はもっと背景に溶けて欲しくて今その表現を模索中です。
入ってすぐの横顔の絵の感じがイメージに近い感じです。でも抽象画に意向したいというわけでもないので両方を描きながら自分のバランスの良い所を探していきたいです。
私は夜というテーマが好きなのですが 夜の空気とか匂いとか全体的な雰囲気が.. 形のないものなので
それをどう表現するかということでそれもこれからも
色々描いていこうと思います。
大きさが違うことには特に意味はありません。
タイトルは見るきかっけになればいいなぁと思っていて 見る人が自由に見て想像してもらうのでよいのですが、何も手がかりがないのも不親切かなぁと思ってつけているだけなので、深い意味はないんです。
すいません。
Green Oasisは私の自己満足の絵なので、分かる人だけ
わかればいいやと思っていたので、共感できてちょっとうれしいです 笑 知らない人が見るとあれだけ異色らしいです。
私は文章が苦手なので話すのもですが..
次は直接お話したいので話しかけてください。
私もがんばって話しかけるよう努力します..
帰るときにさがしたつもりだったんですけど、すいません。
>人物はもっと背景に溶けて欲しくて今その表現を模索中です。
予想がはずれていなかったのはうれしいです。
素人ながら勝手なことをいえば、全身を描かずに、不自然にならない手を見つければよいのではないかと思います。
「Green Oasis」の絵、いいと思います。
それだけ浮いているとは感じませんでした。
また機会があったら見せてください。