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北海道美術ネット別館

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■夕張清水沢アートプロジェクト(1) たくさんのブログで紹介されていることの意味

2011年12月11日 21時54分09秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 2011年9月17日~10月16日の土、日、祝日に開かれた夕張清水沢アートプロジェクト。
 筆者は10月15日、閉場30分前に入り、駆け足で見てきた。

 あらためて、公式サイトを見ると、見逃してしまった作品もあるし、周囲のズリ山や駅での写真展など、時間の制約でパスせざるを得なかったところも多い。

 また、じぶんの撮った写真をあらためて見ると、露出不足か手ぶれのものが半数以上を占めており、とても人様にお見せできるようなシロモノではない。
 このプロジェクトの雰囲気を知るために好適なブログは、ネット検索してみると、いっぱい出てくる。
 下にリンクを貼っておいたので、そちらを見てください(このほかにもたくさんあるけれど、見ておもしろそうなものだけ抜粋した)。
 乱暴に非難しているようなブログはない。

 さらに、公式サイトのブログでも、個々の作品についても的確な解説がされており、いまさら筆者ごときが加えることはあまりないような気もしてくる。

 ただし、写真が上手なブログはいっぱいあるし、「廃墟、よかった~」的な感想もあちこちでみられるのだが、このアートプロジェクト全体についてきちんと論じたブログは意外と少ない。
 さんざん検索しても、札幌の美術作家、澁谷俊彦さんのブログぐらいしか見当たらなかった。

 やはり上遠野敏さんたちが同じようなコンセプトで、三笠で展開した幌内布引アートプロジェクトのときは、この「北海道美術ネット別館」が一番詳しく写真も多かったはずなので、今回これほど多くのブログで紹介されていることは「すごいな~」と思う。産業遺跡に対する関心も高まっているのだろう。
 また、メーン会場となった旧北炭清水沢発電所の圧倒的な存在感が、口コミで広まったということは、じゅうぶん考えられる.

 そして、それだけでも、このプロジェクトを行った意味は十分ある。

 はっきり言って、これだけ圧倒的な建物に、作品そのもので立ち向かうには相当な困難が伴う。

 だから単純に
「アートの負け」
だとは、筆者は考えない。
 なぜなら、今回のプロジェクトがなければ、これほど多くの人が清水沢にまで足を伸ばすことはなかったのは、確実だからだ。

 いわば、このプロジェクトでは、アート(個々の作品)は、北海道の歴史に興味を抱かせるための「触媒」のような役割を果たしているのだと思う。 

 非日常的な体験や歴史については人は後世にまで語り継いでいくものだが、往々にして、日常的な事項に関しては伝承の網の目からするりとこぼれ落ちてしまうことがある。
 石炭も同じで、50代以上の(とくに北海道の)人にとってはあまりにも日常的なもので、あらためて「石炭とは」などと語る気も起こらないだろうが、40歳以下の世代では、そもそも石炭を見たことも使ったこともない人が大勢いるだろう。

 ごくありふれたものだったときには見向きもしないのに、それが失われて滅んでいくことを知ると急に保存や保護を言い立てる人が出てくる。
 そのことを批判しようとは思わないが、完全に滅んでからではもう遅い。

 北海道がかつて石炭で栄えた歴史を、実際に清水沢へ足を運ぶことで知る。
 そういえば、北海道には、50代以上には「あたりまえ」で、40最以下には「なに、それ」的なことが、ほかにもあるだろう(北洋漁業とか青函連絡船とか)。
 いわば「開拓と発展の影」の部分に、わたしたちは目を向けていかなくてはならないだろう。




・公式サイト 
http://www.shimizusawa.com/

・このブログの関連エントリ
【告知】夕張清水沢アートプロジェクト
幌内布引アートプロジェクト(2009年)

・夕張市水沢アートプロジェクトについて書いたブログ(の一部)
人の創りしもの Mix the gland pulse ※写真がたくさん。しかも大きいので見ごたえあり。うまい写真だと思う。 □その2 □その3 □その4 □その5 □その6

ゆるたん。 ※写真大量。詳しい紹介
SHE'S THE RED ONE □続き ※独特の感性で撮られた写真。アートより建物の画像が多い
探索の痕跡 ※こちらも写真大量。文章は少し 

露口啓二blog「ぼさく」 ※写真の枚数は少ないが、さすがプロ。

blog Toshihiko SHIBUYA ※美術作家による分析。こういうちゃんとした文章でこのプロジェクトに向き合っているブログは、実はあまり見当たらない

柴犬たぬ吉のお部屋 ※フロッタージュ系の作品写真は、他のブログには意外とない
そらとらてとらぶ~
FREE PAPER WG Official Web  ※ツアーの同行記ですかね?
ともべの日がな一日。 ※子連れの探訪記
北海道人の独り言 ※2度にわたり訪れています
炭都召し上がれ 2nd
Cafe Kitakamome - 北海道の旅と写真 -
虚の中の美〜夕張清水沢アートプロジェクト〜 ※写真のみ
ICHINOHE Blog ※テキストメーン。写真はフリッカーで、周辺を撮影したものが多い。


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