
札幌のギャラリー門馬アネックスで毎年、インスタレーションの個展をひらいている合田尚美さんが、昨年トルコのイスタンブールの古い寺院で行った発表を再現した個展とのことらしいです。
合田さんは、地球が生まれ、生命が誕生した遠い太古の世界を再現する-というねらいで制作したそうです。
たしかに、FIX! MIX! MAX! アワードで発表した写真などは、ゲルの滴や水面などを被写体にして、原初の生命が生まれる瞬間を表現しているような感じがします。
今回は、それらの写真6枚を壁に貼ると同時に、写真プリントで大小の筒を作って床に配し、筒の中に、キャンドルと、LEDのあかりをしのばせています。
キャンドルから漏れる光は黄色みを帯び、LEDの光は青々としています。
夜に見ると、黄色と水色の光の楕円が、そこかしこに浮かんでいるかのようです。
さらに、LEDの筒の中には、透明な小さな樹脂製の容器に水を入れ、アカハラという小魚を泳がせたものが2つあります。
1つは1匹、もう1つは2匹です。
筒から漏れ出る光が会場の天井にうつるのですが、魚が泳ぐと、ときおりその光がゆらゆらと揺れるので、その効果を狙ってのことだそうです。


上の2枚、ちょっと露光オーバー気味です。
昼間だと、もうすこし壁の写真が強調されるのだそうです。

LEDのあかりを仕込んだ筒を、真上からのぞいてみた写真。
光源のすぐ左側に小さな魚がいるのが、わかるでしょうか。
合田さんはこれまでも、いそがしい仕事のかたわら、前向きというか、明るいインスタレーションを発表してきました。
今回は、生命の実相に迫るという点で、いつにもまして、見ていてジンとくる作品になっていると思いました。
「虫の声が入ってくるのがいい」
と合田さん。
秋の跫音がきこえます。
08年8月12日(火)-20日(水)13:00-19:30
ギャラリー門馬アネックス(中央区旭ケ丘2)
■07年の個展
■06年の個展
■03年の個展(画像なし)