1958年北京生まれで、NHK 水墨画講座の講師を担当するなど、日中を往復して活躍している水墨画家、王子江おう す こうさんの個展が、空知管内浦臼町「えみる」で始まりました。
浦臼出身のコレクターがいる縁で、今回の個展が実現しました。
2016年に札幌の茶廊法邑や岩見沢で個展が開かれていますが、今回は、このほど浦臼町に寄贈された、別の作品による会場構成になっています。
冒頭画像の横 . . . 本文を読む
三岸好太郎美術館は公立の個人美術館の先駆けといわれ、妻で画家の三岸節子から寄贈された好太郎の代表作の多くを所蔵しています。
1年を四つぐらいの会期に分かち、一つは「特別展」、他は所蔵品展と銘打って彼の作品などを展示していますが、展覧会ごとにテーマを設定し、新たな知見や「見る角度」を提供してくれるところには、ほんとうに頭が下がる思いです。
出世作「檸檬持てる少女」(冒頭画像の左から2枚目)や「 . . . 本文を読む
およそ20年ぶりに制作・発表を再開したのが2010年。
それ以降の瀬川葉子さんの精力的な活動ぶりには目をみはるものがあります。
とにかく巧いし、手法は独特だし、質量ともにたいへんな仕事だと思います。
会場にあった略歴によると瀬川さんは1954年生まれ。
「特美」の略称で知られ多くの作り手を輩出した北海道教育大札幌校の特設美術過程を卒業しました。
瀬川さんの作品は抽象絵画といえますが . . . 本文を読む
(承前)
会期終了間近なので、いったんアップします。
なお、この後の9月17日から24日まで
「画家生活25周年記念 盛本学史絵画展 第二部 盛本絵画の住人たち」
と題して、個展が続きます。
盛本学史もりもとさと し さんは旭川を拠点にする画家です。
学校の先生でしたが、若くして教壇を離れています。
この会場の「ピカソ画廊」を会場にした絵画教室を開き、肖像画なども手がけていますが、 . . . 本文を読む
道内の個人美術館のはしりである、後志管内岩内町の木田金次郎美術館が、ことしで開館30周年を迎えたそうです。
個人美術館というと、いつ行っても展示物は同じではないかと思っている人がいるかもしれませんが、木田金次郎美術館は違います。企画展では毎回斬新なテーマと切り口で、画業に新たな角度から光を当てています。
さらに、開館後も、作品の寄贈や寄託が相次いでいます。筆者もはじめて知ったのですが、開館当 . . . 本文を読む
2021年に52歳で亡くなった札幌の吉川聡子さんの画業を振り返る展覧会が、生前に教壇に立っていた、北海道芸術デザイン専門学校の玄関横にあるギャラリーで開かれています。
吉川さんといえば、筆者には、高い描写力で若い女性を描いた日本画がすぐに思い出されます。
道展の会員で、「越境する日本画」などのグループ展にも出品していました。
今回は、イラストや、絵本とその原画も数多く展示してい . . . 本文を読む
北海道新聞9月7日付朝刊に以下の文章を発表しました(ウェブ版はこちら)。<展覧会>宮崎むつ展 線が生む自在で深い境地:北海道新聞デジタル1980年代からさまざまな美術家が粒よりの個展を開いてきた札幌のギャラリーミヤシタ。2022年の閉廊以降、発表をしていない作り手も多い。どんな空間にどう作品を並べるかは...北海道新聞デジタル
198 . . . 本文を読む
昨年に続いての札幌・ギャラリー犬養での個展。
佐藤菜摘さんは秋田県出身で、道教育大在学中から道展で賞を受けるなど、若いころから頭角を現してきました。その絵は、不思議な空想の生き物「気持ちちゃん」などが画面で躍動するのですが、いわゆるキャラクター絵画とは異なる雰囲気をたたえています。
今回の個展は、気持ちちゃんたちキャラクターがメインに登場するかわりに、背景を生かした絵が多くなっています。
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銅版画を中心に、リトグラフ、シルクスクリーン、謄写版、石版画…。
札幌芸術の森版画工房で指導しているだけに、木版以外のすべての版種があるのではないかと思われるほど、バラエティーに富んでいます。手彩色の作品も多いです。
1995年生まれの若手。5年ぶりの個展だと聞きました。
作者のことばを引用しておきます。
通勤で森の中を歩くようになってから、
植物や昆虫など、見かける景色の小さな変化 . . . 本文を読む
(承前)
■奇跡のシールアート 大村雪乃の世界 (2024年6月29日~8月18日、釧路)ー2024年夏の旅(14) - 北海道美術ネット別館(承前)現段階で「2024年夏の旅」シリーズは(1)~(5)と(7)(8)しかアップできていませんが、(14)を先に更新します。この展覧会がきょう8月18日で終了するためです。とはいえ、...goo blog
すでに会期終了した展覧会ですが、 . . . 本文を読む
ことしの新道展で会員に推挙された札幌の小谷良さん。
会場で、76歳ですとあいさつされましたが、とてもそうは見えない、精力的な活動ぶりです。
「20回目を盛大にしようと思ったら、もう81歳なので、どうなるかわからない。それで今回、(15回の節目で)過去の作品などもたくさん持ってきました」
という意味のことを話しておられましたが、きっと健筆をふるっておられることでしょう。
画歴は長いですが、発 . . . 本文を読む
札幌拠点の画家、井桁雅臣さんは、キャンバスに絵の具を直接染み込ませるステイニングという手法の絵画を制作しています。
この技法は、20世紀米国の画家モーリス・ルイスがよく知られているほか、道内では故・杉山留美子さんがいますが、井桁さんの絵は2人とは異なります。
共通しているのは、「かたち」が後景に退き、色彩が純粋に浮き上がってきたような感覚を受けることです。
絵の前に立つと、自分が見ているの . . . 本文を読む
すみません。初日に見に行ったのに、アップが遅れてしまいました。
帯広在住の画家の浅川茂さんが札幌で絵画の個展を開きました。
筆者は、札幌に当時あったアートスペース201で開いた個展(2019)や、帯広市民ギャラリーでの個展(2022)は見ていないので、個展を拝見するのは実に7年ぶりとなります。
作品は全道展で見る100号サイズよりは小さめで、計20点。
タイトルに「2000ー2022 . . . 本文を読む
十勝管内新得町の画家で全道展会員の森弘志さんの音頭で始まった5人展です。
近年は全道展に、魚やカニを写実的かつ大きく描き、近年はやりの写実絵画をわらうかのような(本当のところはわかりませんが)絵画を出している森さんですが、今度は木々の幹だけを描いた絵を並べています。
左から
「シラカバの木」「クルミの老木」「プラタナスの木」「イチイの木」
です。
通常の絵 . . . 本文を読む
「ゲゲゲの鬼太郎」などではなく作者の妖怪画に焦点を当てた絵画展。
水木しげるの妖怪画はとにかく背景の描きこみが細かいこともあり、タブローとしても十分な強度を持っており、見ごたえがありました。プロダクションの制作であり、すべてのペンを水木本人が入れているわけではないのでしょうが。
前半部で、水木の生い立ちや戦争体験をパネルで簡潔に解説するとともに、神田の古書店街で入手した鳥山石燕の画集や『 . . . 本文を読む