札幌を拠点に、精力的に制作・発表を続ける高橋弘子さん。以前からテーマとしているオオカミを描いた「わたしを忘れないで」は、1620 × 5212 ミリの大作。100号キャンバスを4枚つなげ、ギャラリー犬養の壁一面をふさぐほどの大きさです。
向かい合う2頭のオオカミの目に金色が指されている以外は、全面がモノトーン。
2頭が左右対称なため、静的(スタティック)な印象もある一方で、にらみ合い、いまに . . . 本文を読む
札幌では4年ぶりの開催です。
毎年秋に東京・上野で開かれる本番の院展とは別に、全国各地の三越百貨店を巡回して開かれてきた「春の院展」ですが、札幌では14年を最後に毎年から隔年の開催となっています。
前回2020年は新型コロナウイルスの感染拡大のためと思われる理由で中止になりました。
百貨店の不況を受け、巡回先も、三越以外の百貨店や、美術館などが多くなっています。三越は、日本橋本店のほかは札 . . . 本文を読む
林さんはほぼ毎年、北翔大のグループ展や「CROSS WAVE」展に出品していますが、会場は北翔大円山キャンパス(旧ポルトギャラリー)とコンチネンタルギャラリーであり、個展は久しぶりです。また、中心部での作品発表を見たのは、ひょっとすると1997年のスカイホール以来かもしれません。
さらに、林さんの絵は横位置のものが多かった記憶があり、今回のような縦位置の作品も珍しく感じました。
室内には . . . 本文を読む
水彩画だけの団体公募展としては最も伝統の古い「日水」こと日本水彩画会。
その支部展も今年で62回目で、道内では屈指の歴史を誇ります。
4年前の2018年に見たときに、世代交代が起きてベテラン勢が少なくなったことに言及しましたが、その傾向はさらに進んでいます。
ベテランの減少は多くの団体公募展に共通する傾向ですが、新顔が多く加入しているのは、北海道の日水の特徴でしょう。
会場には、会員 . . . 本文を読む
札幌大谷大で教壇に立ちつつ、「CONNECT 鼓動する日本画」展の開催へ奔走するなど、道内の日本画界で最も活躍の目立つ一人である朝地信介さんの個展。
冒頭画像は「地の皮膚片」。
SNS にもあがっていましたが(今個展は撮影自由)、こうして画像で見ると、不定形の平面作品に見えます。
それ自体は誤りではないのですが、次の、裏側から見た画像で分かるとおり、背後の白い壁からかなり離して、天井から . . . 本文を読む
札幌の守分美佳さんの個展が札幌駅北口のギャラリーエッセでひらかれています。
1995年ごろから毎年欠かさず開いてきた個展を、昨年初めてお休みしました。
本人はあまりくわしく語りませんが、会場としてきたギャラリーミヤシタのオーナー宮下明子さんが死去したことや、新型コロナウイルスの感染拡大など、さまざまな要因があって、制作から少しはなれた時期があったようです(ギャラリーミヤシタは、近くクローズ . . . 本文を読む
ごめんなさい、最終日になってしまいました。
あくまで筆者の見方にすぎませんが、これまでの葛西由香さんの絵は、写生に基盤を据えた日本画でありながら、どこかクスリとさせる、笑いの要素を含んだものが多かったと思います。
背景の省略、青海波などの装飾性など従来の日本画的要素も取り込みながら、細かい筆遣いで、ユーモアを表現してきました。「きのこ・たけのこ戦争」として話題になったデビュー作「明治物語」 . . . 本文を読む
(長文です)
初の兄弟展。
32歳の若さで世を去った弟の日勝のほうが世間では有名で、NHKの朝ドラの登場人物のモデルになったほどですが、この弟が中卒で農業の傍ら絵筆を執っていたのに対し、兄の一明は、東京藝大油画科で学び(言うまでもなく大変な難関です)、画壇の芥川賞といわれた「安井賞」で最終候補に残るほどの力量の持ち主として、また北海道教育大学教授、行動展・全道展の会員として、半世紀以上にわた . . . 本文を読む
札幌から旭川に移った絵本作家、イラストレーターの個展です。
ボールペン画25点。このうち、戦中に動物園のクマが殺処分された史実をもとに絵本にした『ぼく 生きたかったよ』の原画が12点。
着彩された絵が6点。
絵皿が7点と、なかなかバラエティに富んでいます。
どの作品にも題がついていないのですが、冒頭画像中央の「クマから見たトーヤ湖」だけ、題名がついています。
ボールペンとい . . . 本文を読む
ニューオータニイン札幌の企画展として地下の廊下で毎月開かれている絵画展は、今年から「北海道の画家を応援するプロジェクト」という名に変わったようです。
昨年暮れから今年1月にかけて開かれているのが、北海道教育大岩見沢校の元同級生による2人展。いずれも20代の若手です。
太田さんはたくさんの人物が画中で遊んでいる絵である一方、三村さんはだれもいない静かな室内を描いており、対照的なところがおもし . . . 本文を読む
すみません、会期が始まったころに見ていながら、とうとう会期中にブログ執筆が間に合いませんでした。
言い訳がましいことを書けば、要するに、あまりにすばらしくて、どんなことばを紡いでも絵には勝てっこないなと、しみじみと感じたからです。
ちょっと美術史的な話をすると、近代の絵画は「いかに描くか」という課題にそってさまざまな流派や描法を生んできました。
一方、現代アートは、現代社会に即したテー . . . 本文を読む
北海道教育大岩見沢校の油彩画研究室で多くの後進を育てつつ、自らはことしの二紀展で会員に推挙されるなど、活躍めざましい舩岳紘行さんの個展が、ニューオータニイン地下の通路で開かれています。
冒頭は会場で最も大きい(F50)「アクタイオンと鳥女」。
花が咲き乱れる太古の南国のような世界で、猿がたわむれ、鳥人間が寝そべっているけむくじゃらの猿人? のところに降りようとしています。
鳥人間を見る . . . 本文を読む
先日の札幌行きで見た展覧会のうち、田村陽子さんと佐佐木方斎さんの個展がまだ残っています。
佐佐木さんは抽象画家として活動しながら、1980年代に札幌を拠点とした雑誌「美術ノート」を独立で発行していました。
長い間沈黙していて、伝説的な存在になっていましたが、ゼロ年代後半から徐々に復活しています。
一昨年の個展はコラージュに新境地を開くものでしたが、今回は、以前のような幾何学的抽象に戻っ . . . 本文を読む
(承前)
菱谷良一さんについては、新聞やテレビなどに登場していますし、このブログでも何度か書いているのでご存じのかたも多いでしょう。筆者が訪れたときも、どこかのテレビ局が取材に来ていて、自画像が並んでいる一角に据えたいすにすわった菱谷さんがカメラに向かって、アナウンサーの問いにはきはきと答えていました。100歳とは思えぬ元気さなのは慶賀すべきでしょうが、できれば、別の場所か、開場前の時間かに収 . . . 本文を読む
きのうアップした記事で書きましたが、メモ帳をなくしてしまったので、作品の題などが皆目わかりません。申しわけありません。
佐藤香織さんは札幌のイラストレーター。
ものすごい密度の点描画を手がけます。
今年6月に釧路で個展を開いた際、全作品を輸送するわけにもいかず、思い切ってプリンターを買い、複製した作品を多めに展示しました。
今回は、お店の飲食部分の壁にはそうした複製を、別室の小さなスペ . . . 本文を読む