女声合唱団「九月の風」の演奏会。
八月の公演が一度台風で延期になり、
名前にふさわしい、九月に開かれることになったのですが。
女性合唱とピアノのための~或る星の降る夜~
という姪の作曲した曲が、初演されました。
今日本にいない姪の代わりに、友人と聴いてきました。
阿部公房の若き頃の詩に曲をつけたという作品は、
詩人の瑞々しい言葉の流れに、これも若き作曲家の感性が伴って、
夢と孤独と、絶望と憂いとかすかな希望を静かに、響かせていました。
姪のおかげで、やっと聞きなれてきた現代音楽の響き。
最近は混乱なく聴けるようになりましたよ。
その曲を平均年令70才を超えると伺った合唱団の方達が歌う。
そのひたむきな姿に心打たれるものもありました。
もちろん身内への思い入れが、
私にこんなにも一生懸命耳を傾けさせたのでしょうが。
演奏会が終わり会場を出ると、雨もすっかり上がり、
少し涼やかな風が吹いていました。
気持ちが良いので、地下鉄の入り口まで来た時、
「このまま銀座まで歩かない」と。
勝鬨橋から銀座までぶらぶら歩くことにしました。
以前通っていた職場が近くにあり、バスで通いなれた道です。
もう30年以上も昔のことですが。
懐かしくて思わず写真を撮りました。
夕方五時を過ぎ、ライトアップの灯が点りました。
築地市場、本願寺、歌舞伎座と、通り過ぎ、
30分ちょっとの散歩は、これも九月の風に吹かれながら、
のんびりとした幸せな時間でした。
それにしても築地や勝鬨当たりの景色は、ずいぶんと変わっていました。
あの頃はめずらしった高層ビルが、たくさん立ち並び、
たびたび入ったお店も様変わりしていました。
最後は土曜日の夕刻の、まだにぎわう銀座から地下にもぐり、
九月の風を楽しんだ一日が終わりました。