「松風庵日記」 心はいつもお茶日和  

後半の人生の楽しみ方見つけましょう!

三度目の「赤楽茶碗 無一物」

2012年06月19日 | お茶三昧

台風が近づいているという天候でしたが、
日中は何とか持つだろうと、予定どおり根津美術館に行ってきました。

今回の展示は、
コレクション展
『中世人の花会と茶会』(ちゅうせいびとの、はなのえとちゃかい)

私の目的の一つは、長次郎の「赤楽茶碗 無一物」との再会です。
始めてあったのが、もう40年近く前になります。
お茶を始めて二三年のころですが、
なかなかお目にかかれないと聞いて、
もの好きにも、名古屋まで新幹線に乗って見に行きました。
せっかくですから、名古屋城も見てきましたが。

この時の感動は忘れ難く、他の何にも似ていない、比べるもののない姿は、
何時までも記憶に残っていました。

それから30年ほどして、東京で二度目の出会い。
「あのお茶碗に又会える」と飛んでいきました。

そして今日が三度目。
手の届かぬ心の恋人に又会える、そんな気持ちで再会してきました。

同行の友達は、「写真で見たいたものと実物が全く違う」
と感想を漏らしていました。
そうですね。写真は綺麗に撮れ過ぎますね。
実物の侘びた風情が伝わらない。
迫力も、今はやりの言葉でいうとオーラも伝わらないかもしれません。

始めて会う方の感想はそうかもしれませんが。
三度目の私の感想は、
「会うたびに少しずつ違って見える・・・・」でした。

あんなに食い入るように良く見て、脳裏に残っているお茶碗なのに、
「ああこれ・・また会えた」という気持ちと同時に、
おかしなたとえですが、
「今日は少しさびしげではないですか」とか
「少し痩せました」と久しぶりに会ったあこがれの人に言うように、
何かひとこと言いたくなるのです。
会うたびに同じていて、どこか違って見える。

たぶんそれはその間にいろいろなものに出会って、
自分が違っているからなのかもしれないと思うのですが。

400年を生きてきた器が、
毎日使っていたならともかく、
40年なんかで姿が変わるとも思えませんものね。
それとも・・誰かが・・
そんなうらやましいこと想像しただけでも、ため息が出ます。

今回のコレクション展、中身が濃いですよ。
こんなに一度に見てはもったいないと思いました。