行こうとしているチビを引き止めてしまったのだから、ずっと側にいようと思って、徹夜を決めた。
部屋の寝床に横たわるチビは、体力気力ともにないのに、要求は一人前である。手を伸ばして何度もダンボールをガジゴジこする(どこにそんな力が残っているのよ???)。
元気だった頃、チビは私に注目してほしいときはひたすら音をたてたものだ。ベランダの戸に体でぶつかって呼び出す、部屋の中に入って絨毯でガガガと爪とぎをする。そのたびに私はチビの相手をせざるを得なくなる。
寝たきりになってもそれは変わらない。「寝返り」の手助けをするが、チビの要求はそうではないらしく、やっと「暑い!」ということがわかった。床暖房を切ると大人しなくなったが、30分ほどすると「クシュンクシュン」とくしゃみ。そのたびに鼻づまりで苦しそうなので、ふきとってやる。ときどき声にならないのに「ニャア」と鳴く。低温にして再度床暖房を入れると、心地よかったのか静かになった。私も、ウトウトした。
まだ声を出すのだから、もしかしたらまた元気になるかも・・・なんて思ったりした。今までだって何度、諦めかけたかわからないもの。
はっと気がつくと朝6時半、聞き取れないほどの寝息。今日の仕事はキャンセルしようと思いながら30分後、「チビ」と声をかけて首筋をなでてみた。暖かいけれどなんだか変・・・。
7年前、チビはマンションの庭で生まれた。兄弟もみんなこの庭で生まれ育ち、そしていつしかいなくなった。チビは母乳の摂取量が他の兄弟に比べて悪く、体質的に問題を抱えていて、手を差し伸べずにいられなかった。とにかく世話のやける子だった。体力的な発育が遅く、口元に病気を持ち、後年は腎臓も病んでいた。
最後の力を振り絞って、あの晩チビがどこに行きたかったのかわからない。母に手伝ってもらい、庭の桜の木の近くに埋葬した。
今頃、家族に会って喜んでいるような気がするなあ。
チビの写真を探したが、兄弟と幸せそうに過ごていた時代の姿ばかりが残っている。この姿を見ているから、どうしてもチビを家猫にすることができなかった。
我が家のベランダにチビの姿がなくても、この庭のどこかでチビは猫仲間と一緒に楽しそうに暮しているんだろうなと、思うのである。
部屋の寝床に横たわるチビは、体力気力ともにないのに、要求は一人前である。手を伸ばして何度もダンボールをガジゴジこする(どこにそんな力が残っているのよ???)。
元気だった頃、チビは私に注目してほしいときはひたすら音をたてたものだ。ベランダの戸に体でぶつかって呼び出す、部屋の中に入って絨毯でガガガと爪とぎをする。そのたびに私はチビの相手をせざるを得なくなる。
寝たきりになってもそれは変わらない。「寝返り」の手助けをするが、チビの要求はそうではないらしく、やっと「暑い!」ということがわかった。床暖房を切ると大人しなくなったが、30分ほどすると「クシュンクシュン」とくしゃみ。そのたびに鼻づまりで苦しそうなので、ふきとってやる。ときどき声にならないのに「ニャア」と鳴く。低温にして再度床暖房を入れると、心地よかったのか静かになった。私も、ウトウトした。
まだ声を出すのだから、もしかしたらまた元気になるかも・・・なんて思ったりした。今までだって何度、諦めかけたかわからないもの。
はっと気がつくと朝6時半、聞き取れないほどの寝息。今日の仕事はキャンセルしようと思いながら30分後、「チビ」と声をかけて首筋をなでてみた。暖かいけれどなんだか変・・・。
7年前、チビはマンションの庭で生まれた。兄弟もみんなこの庭で生まれ育ち、そしていつしかいなくなった。チビは母乳の摂取量が他の兄弟に比べて悪く、体質的に問題を抱えていて、手を差し伸べずにいられなかった。とにかく世話のやける子だった。体力的な発育が遅く、口元に病気を持ち、後年は腎臓も病んでいた。
最後の力を振り絞って、あの晩チビがどこに行きたかったのかわからない。母に手伝ってもらい、庭の桜の木の近くに埋葬した。
今頃、家族に会って喜んでいるような気がするなあ。
チビの写真を探したが、兄弟と幸せそうに過ごていた時代の姿ばかりが残っている。この姿を見ているから、どうしてもチビを家猫にすることができなかった。
我が家のベランダにチビの姿がなくても、この庭のどこかでチビは猫仲間と一緒に楽しそうに暮しているんだろうなと、思うのである。