どこにでも転がっているグッドデザインのメッカ・日本
ニューヨークに訪ねてくる日本人の多くは 「日本は本当に特別でユニークですから・・・」という人が多かった。
そのたびに 「そうかしら」 と考えることが多かった。しかし3年前ニューヨークより帰国して考え込むことが多い。
日本中どこにでもあるグッドデザインは、背中を見て一生をかけて到達した人たちの無駄のない匠の世界に裏付けられている。
今私は谷中に住んでいる。谷中の面白さは庶民の町であることだろ。お寺や墓石に見る日本の紋章デザイン、極限まで簡素化された美しいデザインの数々に感動する。
本で見るだけでなく、実際の生活に溶け込んだ家紋のデザインが墓石に刻まれてある。谷中の墓めぐりは楽しい発見の散歩だ。
複雑なデザインよりも単純なデザインの方が注意を引く。紋章は国や風土、歴史など象徴的なデザインで表現され、外国ではライオンや一角獣、双頭の鷲などロイヤルデザインは命を懸けて複雑で手の込んだものがおおい。
西洋では都市や騎士団、修道院やギルドなどの特殊階級だけ家紋を使用した。日本の家紋は、13世紀はじめ貴族の牛車を識別するためにつけられ、一族の紋章は厳格な階級制度の産物でもあった。平安時代、公家社会に起こり武家社会に広まり、一般庶民の家紋になったのは江戸時代後明治になってからだという。日本の家紋には411種類以上、5,000以上の種類があり、現在では2万近くあるとのこと。
日本の家紋ほど単純で明快なイメージないと思う・ 谷中は江戸時代の庶民の町なので豪華版はない。法華経のシンボルが橘とわかって以来、何度も歩くお寺の墓の家紋をあらためて絞り見て歩いた。
よく見ると墓石の家紋が凸で彫ってあるもの、凹はどうも古い墓石にはないことに気が付いた。まだ谷中にたくさんある石屋さんに聞いてみると、凸は家紋のデザインばかりでなく墓石平面全体を削らねばならないので高価になるので現在は誰も作らないという。各家族の手うち水桶にはどの桶にも家紋がついている。家柄を誇るよりも牛車の識別と同じようにわかり易いというシンボルの効用だとおもう。すごい!やはりユニークと言える。