やっと春らしくなってきた。24節気は穀雨。昨日の雨のように穀物をうるおす春の雨が降るころののこと。72候は「葦始めて生ず」水辺の葦が芽を吹き始めるころ。以前の日本にはいたるところににこんな景色が広がっていたのだろう。そう言われて私が思い浮かぶのは、琵琶湖の岸辺にある「水郷めぐり」くらいのものだが、葦原が珍しいのかそこら辺りは、今ではドラマの撮影に使われるほどだと聞いた。
そういえば、春の行事は案外雨に見舞われる事がある。花見がいい例で「花散らしの雨」はよくある。山国は春が一斉に来たように、桜の季節には桃や杏、遅咲きの梅、などが同時に咲き、誠に賑やかである。最近はチューリップをよく見かける。長島の「なばなの里」や蒲郡のラ・グーナなどでは、チューリップを目玉にして客寄せに使っている。そういえば昨年東京のお台場に遊んだ時、ガンダムの巨大像の足元に咲いていたチューリップが色鮮やかだったことを思い出した。
顔を上げて遠くの山を見ると、雪解けが進み、黒い岩肌がくっきりとし、陰影が深くなってきた。自然に親しむ季節の到来だ。