遅いことは猫でもやる

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姉 逝く

2011-11-14 17:59:32 | 雑感


花に埋もれた棺

実の姉が亡くなった。3日に入院して僅か一週間、11日の午前6時に永眠した。
あっという間の事だった。私とは3っつ違いの活発な人だった。

はっきりした物言いの人で、表裏がなく(そのために目上の人に疎んじられることもあった
くらいだ)考えたこと、思ったことをスパスパ主張する。相手が誰であっても臆
することなく自説を主張する。しかしそれにこだわり抜くと云うわけではなく自
分に非あれば、あっさり撤回する。絵画、書道、音楽など芸術センスに優れ、回
りの家具、調度、食器の類にはかなりこだわった。

頭の回転が早く、明るい性格とあいまって、人の輪がいつも周りにはできていた。
そんな性格のせいか、労働組合の役を引き受け、職場の労働条件の改善に奔走し
た。職場で知り合った人も多く、沢山の人から慕われていた。

実は私も影響を受けた一人である。地元の進学校K高校に通っていた2学年年上
の姉は、生徒指導の先生?に睨まれたのか、高校時代担任の先生が家庭訪問の際、
本人不在の時勉強机の中を調べていた。当時の校長は、旧制中学の流れをくむK
高校の中でも名うての保守派校長で、校訓「質実剛健」を徹底させるべく、指導
をしていた。

学校の帰りなどによく映画などを見に行っていた、姉などは特にその指導対象に
なったのだろう。指導は制服のスカート丈、襞の数まで厳格に規制されていたよ
うだ。そんな管理体制を聞いた私はその高校に行く気にならず、名古屋の高校を
目指した。中学校の頃、恋愛映画を見に行って、ラブシーンに出くわし、真っ赤に照れている私をからかったのもこの姉でした。

71歳と4ヶ月の人生でしたが、難病を抱え、若い頃から身体にガタが来ていた体
がよく持った、というのが周りの一致した見方でした。彼女の幸せは、春風駘蕩
を絵に描いたようなご主人と一緒になったことで、この大きな愛情に支えられて
70の坂を登ったといっても言い過ぎではありません。

本人の遺志により、無宗教の家族葬で、本当に親しい人に囲まれ、自宅の居間で、
お気に入りの音楽に送られ、花に埋もれて旅立った。
肉親が亡くなったのは、両親以外では妻方でもまだ例がなく、初めてのことで、衝撃はかなり大きい。明るい元気な声がまだ耳に残る。

遺体は焼却場の扉の向こうに消えた