遅いことは猫でもやる

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新蕎麦

2011-11-07 13:49:48 | 雑感



新蕎麦の季節である。

息子が訪れた機会に一緒に新蕎麦を食べに行った。
茅野駅前のよもぎ庵。以前は駅前の蕎麦屋なんて、どうせ観光客相手の店だろう
と、小馬鹿にしていたのだが、ふとしたきっかけで、食する機会を得た。

その時、変な言い方だが、予想を裏切って美味しかった記憶がある。
何でもこの辺の信州そばの会の会員で歴史を調べ、復元した「献上寒晒しそば」
などを季節限定で供するという。蕎麦の実を寒中渓流に浸しエグ味を除いてから
粉に挽く。将軍家に献上した歴史があるのだそうだ。なかなか研究熱心である。



今回の注文は、もりそばとかけ。いずれも蕎麦を味わう原点だ。
まずもりそばが運ばれる。少し茹でが足りないかなあと思うくらいの、固ゆで:
アルデンテ。表面がつやつやと光り、そば粉の粒が見えるような気がする。そば
つゆは甘くもなく辛くもなく丁度良い。つい箸が進み、あっという間に平らげ、
そば湯を味わう。濃い目でしっかり蕎麦の味がする。新米もそうだが、新蕎麦のせいか蕎麦の香りがいっそう新鮮に思える。



続いてかけそば。何のテラいもなく、真ん中に「なると」一つ。薬味ネギを落と
して、唐辛子を振って啜る。ちょっと寒い時には最高だ。麺の固ゆでが効いてこ
れだけで充分蕎麦が堪能できる。ニシンとか天麩羅は、この際いらぬお世話であ
る。

決して有名店ではなく、料理に特別の工夫があるわけではないが、それなりに美
味しい。蕎麦は肩肘張って、理屈をこねて食べるものではなく、こういうふうに何気なく
味わうものだろう。時間外れに訪れたので、隣の席にこの店の家族が賄い料理を
食べていた。中心は2,3歳の可愛い女の子。調理場から出てきたおじさんに「じ
じ、じじ」となついている。お爺さんメロメロ。

帰り際戸口に、入るときには無かった「本日の営業は終了しました」と看板が出
ていた。まだ3時半である。きっとこれからは尋ねてきた、孫と遊ぶ時間にした
のだろう。気持ちのぬくもりも一緒に頂き、店を出た。