今日は 2008年3月9日付のワシントンポストの記事を紹介します。中国の太陽光パネル関連企業が引き起こしていた公害について伝えています。
8年前に太陽光パネルの元になるポリシリコン製造が環境を汚染するということはわかっていたわけですね。↓ (翻訳・強調は管理人)
Solar Energy Firms Leave Waste Behind in China
By Ariana Eunjung Cha Washington Post Foreign Service Sunday, March 9, 2008
太陽光発電の会社は中国の背後に廃物を残す
「それは毒の空気なのです。時折、外で座っていられないくらい悪くなります。扉と窓を全部締めなければならないのです。」と、
1才の息子の健康について心配するQiao Shi Peng (28歳)は、村の埋立地の前で示しながら言いました。
(Zhang Quanfeng -Zhang Quanfengによる写真)
中国GAOLONGに住むLi Gengxuanさんは、近くの工場からダンプカーが彼の村へ入っていくのをはじめて見たとき、何が起こったのか信じることができませんでした。トウモロコシ畑と小学校の運動場の間に停車し、作業員がバケツで泡立った白い液体を地面に投棄しました。そして振り向くと何も言わず、すぐに居住地のゲートを通って戻って行きました。
この儀式は9ヶ月間ほぼ毎日続いた、とLiさんと他の村人たちは述べています。
産業が猛烈なペースで成長している中国では、このような環境汚染の話は珍しくありません。
しかしここ黄河近くの河南省の中央平野にある、洛陽Zhongguiハイテクノロジー(株)は、一つの理由で際立っています。
この会社は、世界中で販売されている太陽光パネル用のポリシリコンを製造する自然エネルギーの企業なのです。しかしポリシリコン生産の副産物 - 四塩化ケイ素は環境に危険をもたらす毒性の高い物質です。
「四塩化ケイ素を投棄あるいは埋め立てする土地は不毛となります。草も木もそこでは育ちません・・・それはダイナマイトのようなものです・・・有毒であり汚染していきます。人間は決してそれに触れることはできません。」と、河北工業大学材料科学科のRen Bingyan教授は言いました。
Liさんの村の状況というのは、化石燃料の供給量が減少していく中で、世界が大急ぎで行っている環境取引を示しています。
森林はパーム油のようなバイオ燃料を育てるためにクリアされるけれども、このような森の大規模な帯状の消滅は、気候変動に寄与していると科学者は主張しています。水力発電ダムは、石炭火力発電所と置き換えるために建設されていますが、生態系全体を水中に沈めています。
同様に中国では、太陽光発電市場に参入するための攻勢は予想外の結果となっています。
石油や石炭価格の高騰に伴い、世界中の政策担当者は、水を熱するため、さらに電気を発生させるために、大規模な太陽光発電所に注視しています。
しかし過去4年間、世界はポリシリコン、つまり太陽光捕捉ウェハーの主要な構成部分、の不足に悩まされてきました。それが太陽光発電技術の価格を押し上げ、その採用に対する障壁となっているのです。
ポリシリコンの価格は、過去5年間で1kgあたり20ドルから300ドルまで急上昇しており、中国企業はその隙間を埋めたがっているのです。
中国では、ポリシリコンプラントは新しいドットコム企業です。
ベンチャー・キャピタルおよびクリーンなエネルギーの代案を捜す努力をアピールする中央政府からの惜しみない助成金と低利貸付によって、20以上の中国企業がポリシリコン製造工場を開始しています。
これらの新工場を合わせた容量は、80,000~100,000トンと推定されます ― 今日全世界で生産されている40,000トンの倍以上です。
しかしながら中国企業の廃棄物を扱う手法というものが完成されていませんでした。
環境汚染の恐れがあるため、先進国のポリシリコン企業は、化合物を製造工程に戻しリサイクルします。
しかし、リサイクルのため1800度以上に物質を熱する膨大なエネルギー消費が必要となることは言うまでもありません。高い投資コストと時間は中国の多くの工場に、同じことをすることを思いとどまらせました。
洛陽のZhongguiのように、中国のその他の太陽電池工場は汚染物質が環境に出るのを防ぐ技術を導入しなかったか、それらのシステムをオンラインで完全に持って来るわけではなかったと、業界筋は言っています。
「リサイクル技術はもちろん考えられていますが、現在それはまだ完成していません。」と、Shi Junさん(中国科学院の元光電池テクノロジー研究者)は言いました。
「Shiさん、ポリシリコンの深刻な不足があるので、今のところ政府はこの問題を見過ごすつもりなのです」とプロエンターテック(上海で最初のポリシリコン調査会社)の最高責任者は言いました。
「もしこれが米国で起こったとしたら、あなたはおそらく逮捕されるでしょう。」と彼は言いました。
独立した全国認定試験所は、ワシントン・ポストの依頼により、洛陽Zhonggui工場の近くのゴミ捨て場から汚染のサンプルを分析しました。試験結果は塩素と塩酸の高濃度を示し、四塩化ケイ素の分解から生じた可能性があり、自然の土壌中には存在しません。
「作物はこの上で成長することはできません、そして人々が近くに生活することは適当ではありません」と、Li Xiaoping氏(環境科学上海アカデミーの副所長)は語りました。
Wang Hailong氏(洛陽Zhongguiの取締役会の秘書)は、同社が住宅地の中に大量の廃棄物を投棄すると考えるのは「不可能である」と述べました。
「村民の一部は、真実を言いませんでした」と、彼は言いました。
しかしながら、Wang氏は、同社がすべての環境規制を遵守し「最小量の廃物」を排出しているのだと述べました。「我々は、特定の方法で特定の場所に廃物を排出しています。廃物は排出される前に、厳しい処理手順を通過しています。」
Yi Xusheng氏(河南省環境保護庁の監視長官)は、「工場が操業する前に審査を通過したが製造工程の一部に汚染物質が存在しており、検査官がそれに気づいていなかった可能性がある」と述べました。
Yi氏は機関が調査することになると言いました。
2005年に、新しい太陽光発電の会社が近くに工場を建設すると聞いたとき、Liの村(Shiniu)の住民は祝いました。
シルクロードの東端近くに、約2、300の貧しい農村が中国の最近のブームから取り残されていました。
国内では、平均賃金が1か月200ドルに上っている地域もありますが、多くの村の住民は1年にちょうど200ドルです。彼らには、新しい隣人が地域経済を始動させて地域を産業のハブに変えていくのを手伝うという高い望みがありました。
ドイツのシーメンス社によって50年かけて開発されたポリシリコン精製技術を進歩させるため、洛陽Zhonggui工場が国の研究機関の努力で生まれました。知的財産権の問題について懸念し、シーメンス社は、その技術を中国に売ることを先送りにしました。それで中国人は彼ら自身のものをつくろうとしました。
昨年、洛陽Zhonggui工場は、300トン未満のポリシリコンを生産していると推定されましたが、今年はそれを10倍に増大させること--中国最大の稼働プラントにする--を目指しています。
サンテックパワーホールディングス(創設者Shi Zhengrongが最近中国で最も裕福な人々のリストのトップになった太陽光パネルの会社)への重要なサプライヤーであります。
地球の最も豊富な物質--砂--から作られるポリシリコンは、製造に慎重を要します。
それには膨大な量のエネルギーを必要とします。そして生産上の小さいミスでさえ、不純物を持ち込んでバッチ全体を台無しにしてしまいます。
その他の主な課題は、廃棄物についての扱いです。
ポリシリコンを1トン生成するごとに、その過程で最低4トンの四塩化ケイ素廃液が発生します。
空気中の湿気に接触すると、四塩化ケイ素は酸と有毒な塩化水素ガスに変わります。
人々が吸い込むとめまい、胸部が収縮します。
「一般的に、企業がポリシリコン工場を立ち上げてきちんと稼働させるのに2年かかります。多くの中国の企業はその半分の以下時間でそれをやろうとしているのです」と、カリフォルニアに拠点を置くコンサルティング会社Sage Conceptsの社長リチャード・ワインガーナーは言いました。
その結果、河北工業大学のRen教授は、いくつかの中国の工場は危険な物質を後でそれを処分する方法を見つけ出すことができると期待して備蓄していますと言いました。:
「これらの工場が2年前、四塩化ケイ素をドラム缶に保存し始めたということを、私は知っています」
Pro-EnerTechのShiは、ほかの企業--洛陽Zhongguiを含む--はどこにでも不法投棄していると言います。
「理論的には、企業は有毒な要素を取り除くため、集めて処理またはリサイクルしなければなりません。現在Zhongguiは技術を持っていません。今、彼らはそれをダイレクトに大気中に放出しています」と最近工場を訪問したShiが言いました。
Shiは、中国企業が汚染回復を導入しないことで数百万ドルを節約していると推定しています。
彼は、もし環境保護テクノロジーが使われるならば1トンを生産するコストは約84,500ドルである、と言いました。しかし、中国企業は1トン21,000~56,000ドルで作っています。
GaolongのZhongguiの新しい工場団地にあるキラリと光る白い建物と対照的に、それを囲んでいる村の状況は暗いのです。
約9ヶ月前、工場からおよそ50ヤードに至るLiさんの村の住民は、作物が白い粉のゴミの中でしおれていることに気がつきました。
左側にグリーンエネルギーの会社が近くの村に産業廃棄物を投棄した後、中国の河南省のトウモロコシ畑は死にました。
液体廃棄物は蒸発し、白い粉を残しました。
投棄された場所の土の検査では、天然には存在しない高濃度の塩素及び塩酸を示しました。
(Zhang Quanfeng - Zhang Quanfengによる写真)
時には、かすんだ雲が、ゴミ捨て場の近く高さ3フィートまでありました;そこで収穫している一人の人が気絶したと、何人かの村人が言いました。蛇口の水を沸かすために使われるやかんの中に小さな石が蓄積しはじめました。
村人によると、工場の煙突は、毎晩、目をひりひりさせて呼吸困難にする刺激のある気体をヒューっと放出していました。
「それは毒の空気なのです。時折、外に座ることができないほど悪くなります。扉と窓を全部締めなければならないのです。」
と、1才の息子の健康について心配する28歳のトラック・ドライバー、Qiao Shi Pengさんは言いました。
汚染の最も明らかな証拠は、1日あたり最高10回、液体廃棄物を以前草原だったところに投棄していることですと、村人たちは言いました。最終的にはエリア全体が雪のように白くなりました。
村で息子と孫娘と一緒に住んでいる53歳のLiさんは「最悪の事態は、彼らが廃棄物を投棄するために独自の囲いのある居住区の門の外に出ていくということです」と言いました。
「私達は、8月の収穫まで、作物が枯れ始めるまで、それがどれほど有害かを知らなかった」と彼は言いました。
今年の初め、村人の1人が汚染土壌の一部をビニール袋に入れて地域の環境局に行きました。それらは戻ってきませんでした。
農家と小さい起業家である45歳のZhang Zhenguoは、その理由について理論を持っていると言いました。
「政府が工場を支えているので、検査しなかったのだ」
「中国の太陽光パネルメーカーだからこうなんだ」などという見方は、間違っていると思います。
利潤を追求すれば、どの国も同じです。日本だって例外ではありません。
ポリシリコンを作れば、始末に負えない廃物が出て、環境が汚染されるという事実は変わりません。工業生産の宿命です。
上の記事のポリシリコンメーカーは Luoyang Zhonggui High-tech Co., Ltd.
太陽エネルギー大手Suntech Powerの供給元です。
日本の太陽光発電所にも、ここの太陽光パネルが使われてるわけですから、「日本とは関係ない」とは言えません。
ポリシリコンだけでなく、金属を製錬するということは、環境を汚染する行為なのだということを知る必要があります。
毒物や公害に「よりまし」はありません。 公害の被害者の身になって考えれば、そんなことはわかるはずです。
にも関わらず、「放射能よりまし」という市民が、太陽光発電推進界隈にはいるのです。
日本でも国策を守るために、御用市民がたくさん雇われています。
放射性物質による内部被曝も、低周波音、電磁波、化学物質もみな被害者が出ています。
ひとにぎりの科学者によって開発されたろくでもない技術によって、人体実験されているのです。
科学技術を適用する尺度が間違っている。
科学技術を適用する尺度を間違って、やり過ぎになってしまうのなら、科学技術自体も問い直す必要があると私は思います。
工業生産により環境汚染を広げることになっているからです。