mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

干天の慈暴風雨

2023-08-01 20:57:58 | 日記
 ご近所のクリニックへ「健康診断」の結果を聞きに行く。カミサンの検査結果票を診て医者は「こりゃあすごい。どこも悪いとこないよ。百まで生きますね」と太鼓判を押す。カミサンは「いやだあ」と恐縮している。まるで深沢七郎の小説に出て来るおりん婆さんみたいだ。
 私はいくつかの持病の確認で終了した。だが、もう十年近くやっていないので大腸内視鏡検査をお願いすることにした。この医師、先代が引退するまで副院長であったが、内視鏡の上手として評判で、健康診断の胃検査をいつもやって貰ってきた。暑いからですかね空いてますよと進められ、今週末に予定を入れ、前日からの腸洗浄のレクチャーを受けた。熱中症にならないように細かい注意があった。
 帰宅後すぐに、3・5㌔先の生協へカミサンと買い物に行く。カミサン一人で十分間に合うのだが、運動でもするつもりならと一緒に出る。外へ出てみると北西の空に雨雲がかかっている。戻って折りたたみ傘をリュックに入れ、歩き始める。カミサンもリュックを担ぎ、オランダで手に入れた大きな日傘を差してご機嫌である。
 買い物をして、私が別のことに気をとられている間に、荷物は全部カミサンがリュックに入れる。でもまあいいかと歩き始めたら、ポツポツと雨が落ちる。雨宿りするならとお店に戻る。激しくなる。しばらく店の大きな庇の下にいたけれども、落ちる雨は激しくなり北西の雲はますます暗くなっていく。店の中のフードコートに行って椅子に座る。もう空いている椅子も二つ三つ。座っている人たちは、距離をとってあり、外の雨を眺めている。ごろごろと雷が強く鳴る。続々と人がやってきて、雨宿りをしている。
 外を見て驚いた。ガラス越しに見えるのはしぶきを上げて横殴りに吹き飛ぶ雨の塊のようだった。稲光は見えないが雷鳴はゴロゴロガラガラと絶え間ない。こりゃあ干天の慈雨だ、木が喜んでるとうれしがっていたカミサンも、茫然として水しぶきに目が釘付けだ。
 こうして1時間ほどを過ごし、いくぶん小やみになったのを見計らって帰途についた。雷鳴はいくぶん遠くなってはいたが家に着くまで鳴り止むことはなかった。歩きながら考えていたのは雷のことであった。雷って、落ちるところを探して天空の暖気と寒気の出合う端境をうろうろと彷徨っているのだろうか。それとも、別に落ちるところがあってもなくても、構わず彷徨って遊んでいるのだろうか。ときどき落ちるのは、どういう偶然に出会したときなのだろうと、山歩きのときの雷に畏れを抱いて身を潜めることをおもっていた。
 干天の慈雨は、朝方洗って干していた洗濯物に、しっかりとお湿りを施し、草木と違う人の営みを思い出させたのであった。