mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

春の物とてながめ暮らしつ……と

2016-03-01 17:44:13 | 日記
 
 《時はやよひのついたち、雨そほふるに(恋人ノモトヘ手紙ヲ)遣りける。起きもせず寝もせで夜をあかしては春の物とてながめ暮らしつ》
 
 と『伊勢物語』のはじめの方にあります。( )内の註は、古典文学研究者・筒井ゆみ子のつけたもの。今日は雨は降っていませんが、気持ちもそぞろになる季節なのだと思って、ふと、そうだ、旧暦の「やよひついたち」なのだから、今でいえば、4月も半ばになるかと思い返した。
 
 高校生の頃、
 
 「ねがはくは 花の下にて春死なむ このきさらぎのもち月のころ」
 
 という西行の歌の「花は梅ではなく桜」というのを聞いて、(たとえ旧暦でも)如月に桜が咲くかと古典の教師に質問したら、「月の変わり目は新月に当たります。如月は春分の日を含む季節。望月のころだと咲いても不思議ではありませんね」と優しく返してもらったことを覚えています。それからすると、「やよひ」は、桜も散って藤の花が咲きそうな季節にまでずれてしまいますね。
 
 ちなみに、この古典の先生の旦那さんに、私は中学の時に社会科を教わっていて、ちょっぴり尊敬していたのでした。この中学の社会科の教師は、「大学の卒業論文でジャン・ジャック・ルソーを取り上げ、その(J.J.R.)の名に従って上中下の三章で構成したそうだ」と担任をしてもらった私の次兄から聞いて、(なぜか)ひどく敬意を持ったことを思い出します。
 
 痛風の痛みに耐えて「起きもせで寝もせで夜をあかしては」いるのですが……。
 
 ゆっくりとですが、痛み止めの薬は効いているようです。発症して三日目には、だいぶ和らいで喜んで居たのですが、四日目の昨朝は、起き上がって踏み出すと、ぴりぴりと右足の親指の付け根に痛みが走り、ありゃ、こりゃあ、まだ駄目だと思わせました。ただ回復しているのではないかと思われたのは、増えていた体重が落ちはじめたことです。、浮腫みが取れ始めているのだと思っていました。
 
 発症三日目に体重計に乗ったところ、山へ行く前に比べて2kgも増えていて、驚きました。ここまで増えたのは、じつは私の人生で、初めてのこと。BMIを計算したところ、「24」という数値が出て、あと一歩で「肥満」の領域になります。なるほど、過度の飲食、過剰な運動、太り取り過ぎと、「三拍子そろっている」と友人のKさんにからかわれた通りでした。これまでは、山から帰ってくると1、2kgは体重が落ちたものですが、今回は泊まりの宿での暴飲暴食がたたったのだと思っていました。ところが、四日目の昨日は1kg減って、BMI値も「BMI 23.5」と、いつもの振れ幅の上限に近づいています。あと1kg減れば、いつもの体重。「BMI23」の前半。少し多いが、山歩きのエネルギーの蓄えを考えると、そのくらい余裕がなくてはと、普段は考えています。
 
 でも、痛風が生活習慣病だと思えば、「余裕」を取り払って、さらに2kg落として「BMI 22台」に乗せ、「BMI良好」にしなくてはならないかもしれません。山歩きの余裕とか、プリン体が入ってなければアルコールはカロリーの問題でしょとか、あれこれ理屈をつけて、自分の生活習慣を保守しているのでは、思い切った切り替えができません。生活習慣を切り替えるには、年相応のカロリー摂取、何であれアルコール飲酒習慣を半減して、まず体重の削減から取りかからなくてはなりませんね。
 
 ところが発症五日目の今日、足が痛くありません。体重計にはまだ乗っていませんが、右足の親指の付け根を手で押さえると、ちょっとひりひりとする程度、おおむね痛みが取れたのでしょうか。あるいは夕方になると、また、ぶり返すのか。油断はなりませんが、歯医者に出掛けるカミサンを車で送って、ついでに買い物をしてきました。自転車に乗るのに心配はなくなりました。できるならお天気の良いうちに浦和の図書館まで行ってこようかと思ったりしたほどです。
 
 医者は、痛みが取れるまで3日から7日と言っていました。5日目となると、ほぼ中間値。痛みがすっかり取れた感触が得られるまでは、あとしばし、我慢しましょう。
 
 さて、「春の物とてながめ暮らし」たいと思い立ち、良い日寄りに誘われて午後、500メートルほど先にある井沼方公園へカワヅザクラを見に行ってきました。風は冷たく、手袋が欲しいほどです。ゆっくりですが、坂道を上ると少し右足に違和感があります。歩いているうちに、左臀部の太ももとの境目に近いところに、いやに負荷がかかります。たぶん、右足をかばって重心を左に引き寄せようと身体が動いているのでしょう。まだまだ、ということですね。
 
 カワヅザクラはもう散りはじめていました。冷たい風のせいで、人影もちらほら。でも遠景は満開の様子でした。やはり、弥生三月花のころ、です。「(恋人ノモトヘ手紙ヲ)遣りける」とはいきませんが……。