mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

パソコンは時代遅れなのか――現代の『城』

2016-03-05 19:20:17 | 日記
 
 図書館で「神意」を感じたと昨日書いた。もうひとつ、あった。こちらは困ったこと、というか……。
 
 図書館が2週間閉じていたと書いたのは誤りで、「リニューアルのために閉じていたのは」10日間であった。何をリニューアルしたのか? 在庫整理の方は知らないが、図書館のWEBサイトをリニューアルしたのである。そんなことをしているとは知らないから、お休みの後に図書館にアクセスして、私の借りている本の内「延長」できるものは延長しようとしたら、WEBサイトに繋がらない。
 
 何度か試みたのち、別のアクセス回路からつなごうと「さいたま市図書館」を「検索」した。サイトのURLが表示されている。アクセスする。と、「ただ今混んでいますから、時間をおいてもう一度試みてください」と表示が出てきた。「なんだ、そうか」と時間を置く。だが、それでも同じ結果になる。仕方なく、標示されたWEBサイトのメイン画面から「マイページへのログイン」をクリックする。と、「図書カードの番号」と「パスワード」を入れる箇所が表示されてくる。これまでは、ここまでパソコンの画面が「記憶」していて、入力を省略して次へすすめることができたのだ。
 
 「なんだ、面倒だな。でもどうして?」と思うが、カミサンのカードも入力しなければならない。私のパスワードは、昔使っていた古いやつだが、すぐに思い出した。ところが、カミサンの「パスワード」が思い出せない。なにしろ入力したのは5年も前のことだ。覚えていたら、記憶力年齢が20歳代になってしまう。何度か、あれやこれややってみるが、受け付けてくれない。
 
 「パスワードの変更」という表示があるから、では、変えることにしようとクリックする。ところが、「これまでのパスワード」を入力するところがある。そうだよなあ、そうじゃないと他人がカードを拾って、「パスワードの変更」をしてしまったら、それで使えてしまうものなあと、セキュリティというほどではなく、こういうサイトをつくるアルゴリズムに思いを致す。
 
 結局ふと、そうだカミサンの好きな鳥の名前だったと思いだすが、それがどんな鳥だったか思い出せない。むろんカミサンは即座に応えた。無事アクセスに成功。こうして、新しくつくられた画面に従って期限を調べ、延長できるものは延長をした。だが困ったことというのは、そのときに感じた気分だ。
 
 まず「借りている本」のリストを開く。ところが、これまではひと画面で十数冊の本を一覧でみることができたのに、今回はひと画面でみられるのは1冊か2冊。これまでのように一覧ではない。1冊が何行かを使って、項目の一つひとつに色付けをしていて、ちょっと見にはおしゃれだが、今日が期限の本はどれとどれというのが、一目で飛び込んでこない。いちいちスクロールして、しかも目を右から左へ上から下へと動かさなくてはならない。何がリニューアルだ! めんどくさくしただけではないか、と怒りがこみ上げる。
 
 「予約している本」も同様だ。やはりひと画面で十数冊見られたものが、ずいぶんスクロールしてしまった。あるいは「詳細検索」という蔵書検索の画面も、同じようにひと画面の収録数が少なく、しかも「予約申し込み」をしてからスクロールして下の方へ画面を動かし、「申し込む」をクリックするという二度手間をかけなければならない。どうしてこれが、リニューアルなのだろう。
 
 とはいえ、図書館のIT化によって、私はずいぶん恩恵を受けている。なにしろ蔵書を難なく調べることができる。手近の図書館に取り寄せてもらえる。予約本が到着したとメールで知らせてもらえる。これでほぼ私の持っていた本は全部処分しても不都合でなくなった。それだけでも感謝している。だから、少々画面がみずらくなったからといって、モンクを言い立てるのは気が咎める。
 
 でも、言わないではいられない。冷静に考えてみると、何をリニューアルしたのか、ということだ。新しく加わっているのは、自分の借りた本の「履歴」を登録しておくことができるという点だ。たしかにこの点についてこれまで私は、自分でエクセルを使ってリストをつくり入力して、パソコンに保存している。それが、「市のデータ」に保存してもらえるわけだ。だとしても、そのために上記したような見ずらさと引き換えにするようなことではない。
 
 ひとつ考えられるのは、スマホで使うのに好都合にしてあるのかもしれない、ということ。私はスマホを使ったことがないからわからないが、画面の1冊が数行を使って色付けされて、見た目におしゃれになっているのは、若向きでもある。たしかにスマホ画面の形に適合するかもしれない。そういう時代になったのよ、もうパソコンでスクロールしてなんてのは、古い古い、と言われそうである。
 
 図書館へ行った折に、その係の人に聞いてみた。彼女は、リニューアルのことはホームページでお知らせしていた、という。ふつう利用者はいちいちホームページの「お知らせ」をみたりはしないよ、ふつういきなりマイページにログインできるようにパソコンの設定をしているんだよ、というと、彼女は「お知らせ」したプリントを取り出して私にみせた。それも、特段の断りがなければわざわざ見るものではない。しかも、これまでの設定ではいきなりマイページにアクセスできませんという断りもない。パソコン利用者は、どうしてアクセスできないのかと困ってしまうじゃないか。
 
 なによりリニューアルの趣旨が何なのか、わからない。パソコン利用者がどのようにアクセスするかを想定しないで、見栄えをよくするデザインに工夫を凝らしても、リニューアルとは言うまい。若いデザイナーがそこまで思いつかなかったとしても、それをチェックするのが上司の役割ではないのか。そういう愚痴を受け付けるところがわからないから、あなたに言うのだが、ぜひとも、こういう苦情が持ち込まれたと、担当部署に伝わるようにしてほしい、と申し入れた。若い係の人は平身低頭して聞いている。あなたが私に頭を下げる必要はない。上司に、この趣旨を伝えてくれさえすればいいといったのだが、あとで思い返すと、この人もまた、ボランティアの係り員だったかもしれない。
 
 IT化にともなって、それこそ、カフカの「城」のようになってきたのだろうか。