★ 色は識別しやすく、便利
色が役立つ。地下鉄の。都内で13路線。色をたどれば色で分かる。JRも。日本語を読めない外国人にはこの色分けは便利。色の判断は瞬時にできる。病院の診療科も、色分けでたどり着けるようにしている。外国へ行っても同じ。
(バルセロナへ行ったとき、地下鉄の色をたどれば乗れたわよ)
オーストラリアのオットーハウス。木の幹とか岩肌にルートを記している。風雪にさらされても色のガイドは便利。小学生に違った色の帽子をかぶらせるとグループ分けに分かり易い。
★ 色は世界の共通言語
信号の色を赤、黄、緑にするのは、国際照明委員会CIBで決めて、三十数か国がそれに参加していて、共通事項を取り決めている。彩度明度色を度数で表している。推薦値で拘束力はない。「勧告がすんなり採用されるとは限らない。日本の信号は道路交通法にあり、「政令で決める」とある。「青の燈火」を青色と書いてある。国際的には緑にしなさいと書いてある。日本では限りなく緑に近い青としたのではないか。「青葉若葉」とか「青銅」(緑青ね)とか、意味が広い。法律に書かれると独り歩きして「青」になってしまう。目下股裂き状態にある。
(色が変わってるの?)
(LEDになってから色が違ってきたわね)
今は緑になっている。
(幅広く受け取られていた「青」が時代の進展で厳密に区別するようになったんじゃないの? それは問題にすべきことなの?)
子どもの場合困るじゃない?
(わずか12色しかなかった私たちの時代では、青と緑はすぐ隣の色であったのに)
空港のランプウェイにつけられている信号機はきちんと国際法に則って「緑」です。これは青と緑の曖昧さはない。参考までに世界のポストの色ってわかりますか。
(赤じゃないの?)
イギリスの植民地だったところやイギリスから学んだところは赤が多い。アメリカ行った人は「青」だったでしょ。それから黄色がある。私はこれ気がつかなかった。ドイツ、フランス。オレンジがチェコとエストニア。深緑もあるのね、アイルランドと中国。ポストカードを書いて入れるでしょ。
(カードを入れたら、それゴミ箱だよって言われたことがある)
太陽の色温度度数というのがある。それは5500ケルビン。標準以下だと赤く見える。肉売り場には赤い照明を当てる。野菜など青々と見せたいときには5500ケルビンよりも上にしておくとよい、と。蜜柑を買ってきてたしかもっと橙が強かったのに。
(それは何が違うの?)
光には温度はないでしょ。
(温度はある。熱持っている。)
ケルビンて出てくる。
(絶対温度だよね)
ただし色彩というのは個人差が大きくて、どう感じるかは人それぞれ。
国旗です。色のことはcolorって言いますが、the colorっていうと、国旗とか軍旗のことなのね。日本が承認している国は194か国(2009年)、国旗で一番多い色は「赤」131か国の国旗に赤が入っている。色数が多いのは3色。一色のみというのはリビアの緑だけ。緑はイスラムの色よ。
(さっきの光と温度だけど、欧米の人は室内は全部白熱電球なのね。日本では蛍光灯だけど、欧米人はそれをものすごく嫌う。あれは何だろう?)
温かさがないっていうわけ。
(感じ方が違うんじゃなくて、電燈の光が頭の中の物語を狂わせるわけでしょ。5500ケルビン以下だとあったそうにみえるっていうのは、白熱灯に慣れ親しんで暮らしてきた人たちにとっては蛍光灯は冷たく感じられる。慣習化された生活への愛着というか、保守性というか、それが欧米の人たちには強いんじゃないか)
(LEDにはどう反応するんだろう)
(LEDには白熱灯に近いのとか蛍光灯に近いのとかありますよ。)
最近のはその両方に切り替えられるのがある。白っぽくとか赤っぽくとかも調節できる。それでいて消費電気量が1/8と少なくてすむから推奨されているわけよ。
(白熱灯や蛍光灯はもう製造されなくなるんでしょ。)
(LEDは3LDKで10万円ぐらいするんでしょ。)
何言ってんの。そんなに安くないよ。高い高い。うち全部LEDにしたけど、30万から40万円かかったわよ。
(部屋が広いんだ)
(LEDは寿命が長い。老人だからLEDの方が長生きするって)
そういう川柳、読んだ、読んだ。
★ 流行色
流行色はつくられている。国際流行色委員会というのが、イタリアかどこかにあって、加盟しているのは15か国しかない。主要なブランドの国は入っている。
(衣服業界の組織ね)
そうそう。それが今は、家電製品や携帯電話や車にも使われている。ピンクのクラウンが売れないと思っていたら完売しちゃったってこともありました。人間てどういうっ風に転ぶかわからない。うちの息子も、ピンクのポルシェに乗ってたんだって、私は聞いただけだけど。これは中古屋で安かったからではないか、と。
流行色を使うと、翌年着たらすぐに流行遅れってわかっちゃう。
(それを着ている人はどう思っているの? 国際流行色委員会の陰謀に操られているって、あなたは思うわけ?)
いえいえ、そういう流行にさとくて、セレブリティな人は流行色を着ても翌年は着ない。けどわれわれ庶民は、去年着たのを今年も着る。着まわす。
ところで、流行色を着る人って、全体の何パーセントだと思いますか?
(1割?)
(5%くらい?)
そう、3%から5%なのね。
(流行はどう作られるの?)
ハイそれは、決めるんです。委員会が何にしましょうかって何色かに決めて、それにしたがってファブリックをつくるわけ。半年ぐらいに色見本でつくって、業者にこれで製品ができるかどうかをはかる。そして一年後に製品ができてきたら、そこで選定色が決まる。そしたら発信がはじまる。それで一年半たつので、二年後に一般ピープルに向けて発信するわけですよ。
(それをいい色だと判断して受け容れるのは、どうしてなの?)
3%くらいが受け容れるのよ。
(3%の人がいいというほどのものを、どうして流行色って呼ぶの?)
流行色委員会が決めたから。
(笑い)
その色がすべての商品に波及してくる。だからすごいのだけど、売れているのはベーシックカラーなのよ。黒、茶、白、ベージュ。これがいつも安定して好まれる。売れるうちの7割を占める。トピックカラーというのはそれ以外のもので、全体の3割くらいしかない。ファッション業界が流行色として推薦するから。
(商売上は色を変えた方が儲かる)
(コマーシャリズムだよ)
陰謀というか、去年と同じものを出したって売れないでしょ。色を展開するってことで。
(流行色を着ていると心華やぎ、それを着ていないと落ち着かないってことがあるの?)
ない。むかしはこれは流行色よっていうのがあって、一部に取り入れようと思ったりしたけど。
(それは銀座のウィンドウショッピングをして、これが今年の色だと思って、少しは取り入れたりするってことね)
そういうことです。
(敏感に反応する人たちと違いがあるでしょ)
もちろん、もちろん。10代とか20代とか。銀座で一番現れる。
(六本木とかは、どう)
(銀座は中国人が多くって……)
うむ、渋谷とか新宿ってのは若すぎる。 (つづく)