きょう18日のニュースで、中国の通信機器「ファーウェイ」の創業者であるCEO(最高経営責任者)が中国の本社で日本メディアのインタビューに応えて、顧客の機密データの提出を中国政府に求められても提供しない、これまでも提供したことはないと述べたと報じられている。
ファーウェイは高速大容量の次世代通信方式「5G」の分野で、技術やコスト競争では代表的な企業の一つ。特許の出願件数も多く、国連の専門機関、WIPO(世界知的所有権機関)を通じた国際特許を出願した件数でも、企業別でファーウェイが世界1位となっている(2017年の国際特許登録の出願数、WIPOプレスリリース)。12月1日にカナダのバンクーバー国際空港で、CEOの娘の副会長が、アメリカの要請でカナダ捜査当局に逮捕された。この事件がきっかけで、アメリカがファーウェイの5Gに安全保障の上で懸念があり、締め出しに動いていることが世界に拡散した。
会見したCEOは機密データの提出を政府に求められても提供しないと述べたが、腑に落ちないのが、2017年6月に施行された中国の「国家情報法」だ。法律では、11項目にわたる安全(政治、国土、軍事、経済、文化、社会、科学技術、情報、生態系、資源、核)を守るために、「いかなる組織および国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助および協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人および組織を保護する」(第7条)としている。CEOがいくら外向けに機密データを政府に提供しないと述べたとしても、中国国内では国家情報活動に協力しなければならないという法律があるではないか、と懸念を抱いてしまう。
副会長がカナダで逮捕されて以降、中国ではカナダ人が相次いで逮捕され、今月14日には中国で麻薬を密輸したとして懲役15年を言い渡されたカナダ人がやり直し裁判で死刑を言い渡されている。これは中国政府の報復措置ではないかと世界中が見ているに違いない。中国側の過敏とも言えるこの反応が、むしろファーウェイの国家情報活動との関わりを示唆するのではないか。
中国は「一帯一路」の巨大な経済圏構想を掲げ、アジアやアフリカの各国に融資し、港湾や鉄道、情報通信のインフラ整備を積極的に展開している。しかし、有事の際に中国の安全が脅かされると判断されれば、容赦なくファーウェイは政府や軍にハッキングやデータ提供に協力せざるを得なくなる。アメリカはそうなる前に国防権限法を昨年8月発効させ、中国5社から政府機関が製品を調達するのを今年8月から禁止、2020年8月からは5社の製品を使う企業との取引も打ち切るなど徹底する。アメリカは日本など関係国にも働きかけを強め、オーストラリア、ヨーロッパ各国も追随する流れだ。
アメリカの検察当局はファーウェイがアメリカの携帯電話会社「Tモバイル」からスマートフォンのテストに使うロボットの技術を盗んだ疑いで捜査していると、ウォール・ストリート・ジャーナルのWeb版(16日付)=写真=が伝えている。起訴されれば、知的財産権の侵害に対しても、アメリカだけでなく国際世論が沸騰するのではないだろうか。
⇒18日(金)夜・金沢の天気 あめ
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